car-T療法、エクソソーム療法について-(2) | Goukkunのブログ

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再び、癌の立場で;

元の癌塊にとっても、転移する細胞にとっても、宿主の免疫機構ほど、厄介なものはないでしょう !..................ここでも、前に書いたブログに書いたことですが、....

ねずみの実験では、他系統のマウスの癌を、お腹に注入した場合、激しい勢いで癌は腹水を作り、 6日目には、癌性腹水で注入されたマウスのお腹は、破裂寸前になります。ところが、7日目の夜、瀕死のマウスのお腹は、急激にしぼみ、8日目には、毛は少し逆立ちしょぼった雰囲気ですが、マウスは、何事もなかったように正常になりました。.........これが、免疫の力です。
 もちろん、これは、癌免疫が働いたというより、移植の拒絶反応免疫が働いたと考えるべきでしょうが、いかに、免疫が発動するか、されないかで、宿主の運命が変わるかを、実感できるものでした。........................

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話が少し飛びました。ガーン癌に対する免疫を抑制するものが自分の中にいるということは、ずいぶん前から、言われていました。
 私の免疫を習う頃(約35年ぐらい前)に、日本でも千葉大学の多田富雄先生らの精力的研究などがあり、私も、癌細胞といわゆる癌細胞を殺すキラーリンパ球を混ぜがん発生を阻止できるはずの所に、担癌マウスのリンパ球を混ぜると、癌が発生するのを阻止できなくなり、癌が増勢するることを、実験で確認していました。
 
でも、その細胞の本体を十分に、分離同定できなかったのです。長い間...............

なぜか?
 それには、遺伝子解析の技術、と、細胞外環境研究(エピジェネチック)の概念の、到来が必要だったのです。

図 8-A

図 8-B
前に書いた絵です。

細胞は、教科書的に、確固とした分類が最初からされているものでなく、時と、場合により反対の状況にもなる、ということです。

今、判っている、免疫抑制細胞は

①Treg細胞と言われるものです。
   是も、二つに分かれ、●nTreg(内在性Treg)→ マクロファージ、キラーTの抑制


             ●iTreg(誘導性Treg)→、末梢で、未分化(ナイーブ)T細胞が、変
              化したもの。;→炎症、下痢....更に二つに分類。
 

②iTregと似て末梢での変化となりますが、癌の産生するPDL-1という煙幕を張る物質が、本来癌を攻撃するキラーT細胞の表面に出たPD1(programmed cell death protein 1)いう鍵物質に引っ付きこのキラー作用(癌をやっつける作用)を制限する様に変わってしまった、役立たずとなったTキラー細胞(これが、他の免疫作用を抑制するかは??)

が知られてきました。他に、分子で、TGF-β、IL-10等。。。。

上記のPD1,PDL1の効果をなくす抗PDL-1抗体,抗PD1抗体は、もう実際の薬が出来て、悪性黒色腫、腎がんなどに治験中で成果は出ていることから、少なくとも一部は、免疫抑制の②の細胞を止めることで、癌を治癒できる道筋が出来そうです。

①、②とも、癌の発生には、関与しそうです。一方、自己免疫を抑えるには、免疫抑制細胞が必要です。①に対しても、抗CTLA4等、薬が開発され、人は、新たな、薬への深い理解が必要になってきました。.........................

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大きな、癌塊の周辺では、②の反応は、十分起こり得ます。
問題は、そこから離れて、移動する際中の単体癌細胞です。よほど、身体全体が免疫抑制状態になっていないと、無理です。または、いまだ、人の知らない癌細胞を守る”しくみ”が存在するのでしょう。

次は、これらに対する治療としての。CAR-T,CAR-NKの試み、等…書きたいです。