この先の行く末~お客が男になった時~ -9ページ目

拠り処

寄り処とはなんだろう?



辞書を引いてみる。



《寄り処》
より、もとづく所。
根拠(とする所)



とある。



私は彼にとって、拠り処だそうだ。




『あなたという拠り処があるから、頑張れるんだ』




相変わらず、多忙を極める彼に労いの言葉をかけると、遠慮がちに、少し恥ずかしそうな様子で彼は言った




では、私にとっての『寄り処』とは




彼?
それとも友達?
もしくは家族だろうか?



どれも違う。




私にとっての『寄り処』


それは、私自身に他ならないからだ。

正座

『そこに座って』



私は静かに、でも怒りを込めて言った。



客に。




一糸纏わぬ姿で、廊下に放置。




『帰りたかったら、自分でフロントまで行きなさい』



そう言って、私はドアを閉めた。




『俺も女だったらな~。楽して大金稼げるのに』


その客は、のっけからそうご挨拶。



まぁ、よくある事なのでスルーした。



しかし、その後も、侮辱のセリフを撒き散らし、鬱憤晴らしてご満悦なご様子。



して、締めは『こっそりゴム取り』ときたもんだ。



私は接客中、滅多に怒らない。




仲の良い仕事仲間からも『怒った顔が想像つかない』と言われている。



だがな~!




最低限のマナーは守りましょう。



久々の強敵に、流石に黙っていられなくなり、モード切り替え。



金さえ払えば何やったって許される。



んな訳あるか!



女王やってた血が騒いでしまった。

健全

お付き合いを…そう、言ってきてくれた希少なその人は、優しく誠実で、事情を知らない信頼する共通の男友達からも慕われていた。



そして、その人が私を大切に思ってくれている事も、私には充分過ぎる位に伝わっていた。



なのに、その人からの言葉に素直に喜べない自分がいる。



会っていても楽しいし、連絡が来れば嬉い。



それでも、先に進めない。



どうしてだろう。



彼の存在があるからだろうか。



それも違うような気がする。



彼に貞操を誓う義理もなければ、私もそこまで理性を失ってはいない。




では、なぜ?と一人思案しながら、人の良さそうな、その人の顔が思い浮べる。




そそらない。




その人は、私の五感を揺さぶらないんだ。




きっと二人きりになって、目の前にベッドがあっても、その人は私を押し倒したりはしないだろう。



もし、そうなっても その人が私に甘い痛みをもたらす事は無いのを私は直感した。




健全すぎるのだ。



欲望をもたらさない間柄


それは、私に火をつける事はない。



健康的。でも不健全な男が好きなのだと、私は自分の好みを思い出した。