この先の行く末~お客が男になった時~ -10ページ目

出会い

真夏の暑い夜。



一度だけ、とあるバーですれ違った男性がいる。



『好みの顔だな』



そんな風に思った。


暫くして、友達が『イイ男なんだ』と言って私に引き合わせるべく連れて来たのは、偶然にも あの夜、ただ一度すれ違った男性その人だった。



その後、二人で何度か会い、マメに連絡をくれるようになった頃、その人は言った。



『結婚を前提に付き合ってくれないかな』と。

逢いたい時に、逢えない。



そんな相手と恋に落ちるなんて、バカみたい。



私はそう思っていた。



なのに、彼と逢えない切なさに泣いてる自分がいる。



彼へ張り巡らせていた警戒心も、自分を律する為に保ち続けていた筈の理性も、呆気ない程崩れ去っていた。




『本気じゃない遊びは、つまらないでしょ』




彼のセリフを思い出す。



この涙も、その中に入っているのだろうか。

色気

互いを味わい尽くしたら、私達は終わるのだ。



もしくは、そう思う別の誰かが彼や私の前に現れたら…。



でも、今のところそんな様子は彼には無い。



そして、私の前にそんな男も現れてはいない。



出会いがあっても、素敵だな。で、終わってしまう。



では、それ程までに彼は魅力的なのだろうか。




彼は別段、美しい顔立ちをしている訳でも、誰もが目を奪われる程のスタイルの持ち主でもない。


色気だ。



彼の無意識が作り出す、彼の色気。



それが彼を引き立たせ、私を惹きつけて止まない。



彼の仕掛ける甘い罠。



そこへ私は、自ら進んで嵌りにいく。



罪。と、知りながらも。