この先の行く末~お客が男になった時~ -7ページ目

告白

『いやぁ、出来る時は出来ちゃうもんなんですねぇ』
その人が言うと、それを聞いていた他の二人は、意味ありげに私を見た。



件のバーで、私とその人は顔馴染みの仲間達とゲームに興じていた。



バーが閉店になると、その人は階下のお店へと私を誘った。




少し酔いが回っている私の手を引き、階段を下る。



後から、バーのスタッフ二人も一緒に。



カウンターだけの、小さな造りのその店に、四人で腰を掛けると、店のママがからかうように、その人に言った。




『あれぇ?綺麗な彼女、連れちゃって~』



それに対しての言葉が、冒頭のセリフだった。




隣で聞いていた私は、何気ない様子を保っていながらも、内心は驚きでいっぱいだった。




『それって、ある意味告白?』

所は、馴染みのバー。



そこは友人が取り仕切っているのもあり、安心して行ける場所の一つだ。



そして、ちょっとした娯楽施設も兼ねていて、それに夢中になっていた私は、ここのところ暇さえあれば、このバーに来ていた。




そんな折、彼からの連絡で珍しい提案があった。



『迎えに行くよ』




まるで、ステディみたいな扱い。



とても嬉しかったけど、私はそれを断った。




理由は、その店の閉店時間である深夜過ぎまで、腰を据えている事が殆どだから。



もう一つは、気になる人がいるから…。




その、気になる人とは 何度もバーで顔を会わせるうちに意気投合し、最近は二人で逢ったりもしていた。



いつも、楽しく酒を飲み、良く笑い、ユーモアに溢れるその人。



でも、私が気になって仕方ないのは、彼の手だった。




体に不釣り合いな程の、大きな手。



骨張った力強い手。




その人の手は、大きな魅力を放ち、強い自己主張をしているように、私の目には写った。



『いやらしい手だなぁ』



私は、その人の手で、自分の頬を挟まれている様を想像し顔を赤らめる。



『彼女、いるのかしら?』

クイズ

『さぁ、正解はどれでしょう?』



飲みの場で、そんなクイズが出た。



出題はこうだ。



結婚をして十年経つ、妻子ある男性が不倫をしていました。
しかも数人と。
一番高い慰謝料が要求されるケースは、次のどれでしょう?




①月一度会うA子、付き合いは十年。



②週一で会うB子、付き合いは五年。



③週三で会うC子、付き合いは一年。



それぞれの、根拠を述べながら各自答えを出す。



正解は『①番』



理由として、基本的には、不貞行為の回数の多さの違いで左右されるらしいが、この場合…。




『結婚当初から、既に浮気相手が存在している』=『はなから結婚生活を維持しようとする意志が見られない』



と、いう事らしい。



って、彼と私のケースじゃん。



貯金、崩せないな。



などと、心の中で不遜な考えが浮かび上がった。