手 | この先の行く末~お客が男になった時~

所は、馴染みのバー。



そこは友人が取り仕切っているのもあり、安心して行ける場所の一つだ。



そして、ちょっとした娯楽施設も兼ねていて、それに夢中になっていた私は、ここのところ暇さえあれば、このバーに来ていた。




そんな折、彼からの連絡で珍しい提案があった。



『迎えに行くよ』




まるで、ステディみたいな扱い。



とても嬉しかったけど、私はそれを断った。




理由は、その店の閉店時間である深夜過ぎまで、腰を据えている事が殆どだから。



もう一つは、気になる人がいるから…。




その、気になる人とは 何度もバーで顔を会わせるうちに意気投合し、最近は二人で逢ったりもしていた。



いつも、楽しく酒を飲み、良く笑い、ユーモアに溢れるその人。



でも、私が気になって仕方ないのは、彼の手だった。




体に不釣り合いな程の、大きな手。



骨張った力強い手。




その人の手は、大きな魅力を放ち、強い自己主張をしているように、私の目には写った。



『いやらしい手だなぁ』



私は、その人の手で、自分の頬を挟まれている様を想像し顔を赤らめる。



『彼女、いるのかしら?』