真面目
馴染みのバーで、気心知れたスタッフと世間話に花を咲かせていると、一人の女性がやって来た。
『元気だった!?』
その女性は、私を認めるなり人懐っこい笑顔で、私の側にやって来た。
満面の笑みと仕草で、久しぶりの再開を喜んだあと、私の隣に腰を下ろす。
互いに、アルコールが程良く体を巡った頃、彼女は私に言った。
『彼との事さ、真面目に考えてるの?』
唐突な彼女の投げかけに、私が答えられずにいると彼女は続けた。
『ズルいよね。イイとこ取りって感じ』
そこで、私は言葉少なに答えた。
『真面目に…。は、考えてないかな。』
私が妻子ある男性と付き合いのある事を知る彼女は、軽蔑の眼差しを向け、続ける。
『法を犯してるって、自覚はあるんだよね?』
畳みかける彼女。
今までにない、彼女の様子に戸惑いながら私は返した。
『じゃあ、真面目って何?男と女が恋に落ちるって、そもそもふしだらで自堕落な事じゃん。真面目からなんて、程遠い事じゃない』
アナタの言っている意味が分からない。とでも言うように。
かつて、今の私と同じ立場で男に恋した事のある彼女。
仲良くなり、私は彼女のそんな辛い恋の過去を知った。
『同じ鉄は踏んで欲しくない』と言う、そんな彼女なりの友愛の言葉であったのだろうか?
そう思い直してみるも、彼女の問い掛けはあてどもない方向へ。
『なんだ。結局体だけなんじゃない』
吐き捨てるように彼女は言う。
その通り。
だって、それがなければ何も始まらない。
自分の体と五感を駆使し、相手を知っていく。
こんなに楽しい事が他にあるだろうか。
でも、多分あなたには分からない。
勿体ないな…。
でも、仕方ないかもしれない。
男の肩書きにしか欲情しない彼女を見て思った。
『元気だった!?』
その女性は、私を認めるなり人懐っこい笑顔で、私の側にやって来た。
満面の笑みと仕草で、久しぶりの再開を喜んだあと、私の隣に腰を下ろす。
互いに、アルコールが程良く体を巡った頃、彼女は私に言った。
『彼との事さ、真面目に考えてるの?』
唐突な彼女の投げかけに、私が答えられずにいると彼女は続けた。
『ズルいよね。イイとこ取りって感じ』
そこで、私は言葉少なに答えた。
『真面目に…。は、考えてないかな。』
私が妻子ある男性と付き合いのある事を知る彼女は、軽蔑の眼差しを向け、続ける。
『法を犯してるって、自覚はあるんだよね?』
畳みかける彼女。
今までにない、彼女の様子に戸惑いながら私は返した。
『じゃあ、真面目って何?男と女が恋に落ちるって、そもそもふしだらで自堕落な事じゃん。真面目からなんて、程遠い事じゃない』
アナタの言っている意味が分からない。とでも言うように。
かつて、今の私と同じ立場で男に恋した事のある彼女。
仲良くなり、私は彼女のそんな辛い恋の過去を知った。
『同じ鉄は踏んで欲しくない』と言う、そんな彼女なりの友愛の言葉であったのだろうか?
そう思い直してみるも、彼女の問い掛けはあてどもない方向へ。
『なんだ。結局体だけなんじゃない』
吐き捨てるように彼女は言う。
その通り。
だって、それがなければ何も始まらない。
自分の体と五感を駆使し、相手を知っていく。
こんなに楽しい事が他にあるだろうか。
でも、多分あなたには分からない。
勿体ないな…。
でも、仕方ないかもしれない。
男の肩書きにしか欲情しない彼女を見て思った。
誘い文句
その人との楽しい時間はあっという間で、気付けばもう私の家の前。
だが、何故か私とその人は押し問答をしていた。
『だから、無理!』
何度も繰り返す私に、その人が言う。
『分かった。じゃぁ、どっちか選んで…』
『行くか』
『行こうか』
楽しげに言うその人に、思わず私も声を立てて笑ってしまう。
こんな誘い文句、初めてだ。
でも、今日は行かないよ。
あなたと、ホテルへは…。
だが、何故か私とその人は押し問答をしていた。
『だから、無理!』
何度も繰り返す私に、その人が言う。
『分かった。じゃぁ、どっちか選んで…』
『行くか』
『行こうか』
楽しげに言うその人に、思わず私も声を立てて笑ってしまう。
こんな誘い文句、初めてだ。
でも、今日は行かないよ。
あなたと、ホテルへは…。
繋いだ手
『なんだ~。やっぱ、そういう事だったんすか!?』
先程まで一緒に飲んでいた、スタッフが言う。
私の手が、その人に繋がれていたからだ。
二件目のお店も閉店となり『解散』
外へ出て、それぞれの家路へと向かう際、丁度二手に分かれた。
スタッフ二名。
私と、その人…。
さぁ帰ろう。という時、その人は私の手を握ってきた。
まるで、いつもそうしているみたいに…。
その行為は、同僚に挨拶するかのように、自然でさりげなかった。
でも、その人はスタッフの揶揄には答えず、別れの言葉を口にしただけでその場を後にする。
私の手を繋いだまま。
先程まで一緒に飲んでいた、スタッフが言う。
私の手が、その人に繋がれていたからだ。
二件目のお店も閉店となり『解散』
外へ出て、それぞれの家路へと向かう際、丁度二手に分かれた。
スタッフ二名。
私と、その人…。
さぁ帰ろう。という時、その人は私の手を握ってきた。
まるで、いつもそうしているみたいに…。
その行為は、同僚に挨拶するかのように、自然でさりげなかった。
でも、その人はスタッフの揶揄には答えず、別れの言葉を口にしただけでその場を後にする。
私の手を繋いだまま。