この先の行く末~お客が男になった時~ -4ページ目

なぜ?

『おかしいな…』



私は一人、頭を悩ませる。




これで、三度目だ。






次の約束をしたのにもかかわらず、事前に確認を兼ね連絡をしてみると






『約束してたっけ?』
その人は言う。






同時に、ゴメン。と言いながらも、投げやりな雰囲気が電話口から伝わってくる。






戸惑いと怒りを押し止め、次に会う約束を交わし私は電話を切った。




何か怒らせてしまうような事を、私はしたのだろうか?





考えてはみたものの、答えは出ないまま、私は途方に暮れる。






その人から、これと言って確約を得た訳でも無かったが、私はその人と上手く行っていると思っていた。






繋いだ手の温もりも、抱きしめられた時に伝わる体温も、特別なモノに感じていたのは、私だけだったのだろうか。

お茶目さん

彼女と初めて顔を会わせたのは、一年前の冬。






一人で、ふらりと立ち寄ったあのバーで。






友達数人と遊びに来ていた彼女は、明るく私に声を掛けてきた。





互いに年が近い事と、彼女の姉と私が同名だと言う縁?もあり、私達は直ぐに打ち解けた。





でも、何度か彼女と行動を共にするにつれ、私の中で上手く言葉に出来ない何かが、引っかかるようになっていた。




誰の話しにも真剣に頷き、時には涙を浮かべる彼女。





バーに一見さんが入って来ても、楽しげに話し掛け輪に入れる。



みんなが下ネタで盛り上がれば、上手に相槌を打つ。






そんな彼女の行動は、周囲の人間から『彼女って明るくて、イイ子だよな』と言う賛辞を引き出す。





ゲームで失敗をすれば、『ごめんねぇ』と言いながら小さく舌を出したり、からかわれると頬を膨らませ、少し拗ねてみせたりする。





そんな彼女を見ていると、私は『お茶目さん』と耳打ちしに行きたくなってしまうのだ。





確かに彼女は、周囲の言う『明るくイイ子』に違いない。






私もそれを感じたからこそ、仲良くなった。





けど私には、それを充分承知しながらも、気付いていないフリをし『図らずもそうなってしまった私』を演じている様に思えてならないのだ。







無垢は、無垢なように振る舞うから、そう見えるのであり、真っ白な布ですら、そのように施してあるからこそ白いのだ。





彼女を見ていると、どうしても『人工的で無い為の』作為を私は感じてしまう。



胡散臭い。





逆に




異性を意識しドレスアップする。
惚れた男を惑わす為に、香水を手に取る。




私は、そんな友人達が大好きだ。




そして、そんな即物的な友人達は、皆『イイ顔』をしている。






性別が介在する場に於いて、自分に素直になる事。





それは『自分のケツは自分で拭う』という、自己責任にも繋がるように思う。




私は、どんな異性からも好かれていたい。とは思わない。




まして『お茶目さん』を演じるつもりもない。





私は、自分が惚れた男から賛辞を受け取りたいのだ。





そんな風に思う私は、彼女の目には奇異に映るのかもしれない。







なのに、なぜ懐く?






私は『お茶目さん』の仲間入りはしないよ。

真面目②

彼との事を『真面目』に考えているのか。




と、彼女から問われたあの日。





実は…と言うほどの内容では無いのですが、続きがあるんです。





当初は、省くつもりだったのですが、記した方が次に繋がりやすいかな…なんて思いまして。





興味のある方、良かったら読んでやって下さい。







『体だけ』そう、言い切る彼女に私は『つまる所…』という意味で、自分なりの真実を述べた。





彼女は『納得しかねる』というような表情で、尚も私に挑みかかってきた。






『正当化。じゃないの?それって』




んー




私は頭を抱える。




ここで、つまんない事を彼女と議論し、時間をムダにしたくないんだよー。




挑発に乗るつもりも、ないし。




変わりに私は、こんな質問を彼女にしてみた。




『じゃぁさ、どういう付き合いが、真面目。なのかな?』





それに返ってきた答えは、こうだ。





『彼がいながら、他の人(男性)と仲良くするのは、変だよ。それに、本当に好きだったら、寝なくても良い筈でしょう?』




んー。





質問の答えになってない…。




単に、彼女は私を批判したいだけなのかも…。





私は、自分の立場をわきまえているつもりだ。



彼との事に於いて。





連絡してはならない時間。
逢う事が出来ない曜日。求めてはいけない答え。





その上で、彼との時間を大切にし、それを守るべく互いのルールを犯さないよう心がけてきた。





香水は付けない。
相手を引き留めない。
気持ちを試さない。





こんな些細な事ですら、私には重大事項なのだ。





批判されるべき恋愛。だとは百も承知。




バレない為の小細工を、思い遣りにすり替えるつもりもない。





でも






好きだから、欲しい。





その気持ちに、嘘はつけない。






そして、内情を知りもしない彼女から、採点を賜る筋合いも無い。






まして、彼女の満足を得る為に、沢山の事を答える用意もないのだ。