お茶目さん | この先の行く末~お客が男になった時~

お茶目さん

彼女と初めて顔を会わせたのは、一年前の冬。






一人で、ふらりと立ち寄ったあのバーで。






友達数人と遊びに来ていた彼女は、明るく私に声を掛けてきた。





互いに年が近い事と、彼女の姉と私が同名だと言う縁?もあり、私達は直ぐに打ち解けた。





でも、何度か彼女と行動を共にするにつれ、私の中で上手く言葉に出来ない何かが、引っかかるようになっていた。




誰の話しにも真剣に頷き、時には涙を浮かべる彼女。





バーに一見さんが入って来ても、楽しげに話し掛け輪に入れる。



みんなが下ネタで盛り上がれば、上手に相槌を打つ。






そんな彼女の行動は、周囲の人間から『彼女って明るくて、イイ子だよな』と言う賛辞を引き出す。





ゲームで失敗をすれば、『ごめんねぇ』と言いながら小さく舌を出したり、からかわれると頬を膨らませ、少し拗ねてみせたりする。





そんな彼女を見ていると、私は『お茶目さん』と耳打ちしに行きたくなってしまうのだ。





確かに彼女は、周囲の言う『明るくイイ子』に違いない。






私もそれを感じたからこそ、仲良くなった。





けど私には、それを充分承知しながらも、気付いていないフリをし『図らずもそうなってしまった私』を演じている様に思えてならないのだ。







無垢は、無垢なように振る舞うから、そう見えるのであり、真っ白な布ですら、そのように施してあるからこそ白いのだ。





彼女を見ていると、どうしても『人工的で無い為の』作為を私は感じてしまう。



胡散臭い。





逆に




異性を意識しドレスアップする。
惚れた男を惑わす為に、香水を手に取る。




私は、そんな友人達が大好きだ。




そして、そんな即物的な友人達は、皆『イイ顔』をしている。






性別が介在する場に於いて、自分に素直になる事。





それは『自分のケツは自分で拭う』という、自己責任にも繋がるように思う。




私は、どんな異性からも好かれていたい。とは思わない。




まして『お茶目さん』を演じるつもりもない。





私は、自分が惚れた男から賛辞を受け取りたいのだ。





そんな風に思う私は、彼女の目には奇異に映るのかもしれない。







なのに、なぜ懐く?






私は『お茶目さん』の仲間入りはしないよ。