この先の行く末~お客が男になった時~ -5ページ目

友情

一人の男にうつつを抜かしている私。




彼も、それは解っていた筈だ。




逢う頻度が減り、逢っても食事だけで帰って行く私。




それでも彼は、変わらず私を誘った。




次、会う時にハッキリさせよう。




そう思っていた矢先、件のバーで例の彼女と出喰わした。




気心しれた男の子と楽しく飲んでいる私の元に、先日の出来事など無かったかのように彼女はやって来る。




当然のように隣に座る彼女を拒否する訳にもいかず、私は当たり障りのない話をするに留めていた。




その彼女が私に聞いてくる。



『どう?あれから?』



その顔は、他意など微塵も感じさせない。





この前の、棘のある彼女の言動が嘘かのような素振り。




だが、私は彼女の質問には答えず、逆に聞き返す。




『どう?って何が?』




もう、彼女と心を通わせ会話をする用意は私には無いのだ。




そう態度で示したつもりなのに、彼女は会話を止めようとはしない。




『上手くいってるのかなぁ?って心配になって…』




し、心配!?



一体、どの口が言ってるの?




私は鼻白んだ。



私と二人きりになると、悪意を剥き出しにする彼女。




でも、近くに他の誰かが居る時は間逆の態度を取る。




薄々気付いていたもののあの一件で、疑念が確信へと変わった。




そもそも、私がこのバーに来るのは、誰に気兼ねせずとも『お気楽な』時間を過ごす事が出来るからに他ならない。




数少ない、憩いの場。




これ以上彼女と深く関る事で、それを侵される理由はどこにも無い筈だ。



『友達ごっこ』をする程、私も暇じゃない。



媚びと作為で、友情は築けないのだから。

決意

ホテルへの誘いを断ってからも、その人とは頻繁に会っていた。





飲みに行く事もあれば、打ちっぱなしへ行ったり、片方が遊んでいる場に呼び寄せたり…。





気付けば、一度会うと、次の約束をして別れるようになってもいた。




有り体に言えば『友達以上恋人未満』と、いったところか。




相手の出すサインは解っているけど、自ら動く事はしない…。




そんな事が続く中、私は彼とのことを考えていた。




『キッパリ別れよう』




その人への思いを考えた時、私の中で出て来た答えだ。




『彼』という存在がなくても、その人が好きだ。



そしてやはり、その人に対して誠実でありたい。そう考えるようにもなっていた。



さて、どう切り出そう。

胸騒ぎの…?腰つき

してみたかったけど、チャンスがなく…。




その一つが、ゴルフ。



折しも、それに触れる機会がやってきた。




未経験だと言う私に『教えるから、一緒にどう?』と、その人は言った。




興味があっただけで、ルールもマナーすら分からない私。





半ば緊張感気味になりながら、打ちっぱなしへ。




立ち位置から、クラブの握り方まで、まさに『手取り足取り』




要領がなかなか掴めない私を見て、その人が言う。



『そんな、悩ましい腰つきでおねだりしても、ナンも買ってやんねーぞ(笑)』



その人のジョークで、私から肩の力が抜ける。




『楽しい人だな』




一緒に居ると、私は笑いっぱなしだ。




日常の中で、些細な事も笑いに出来るその人に、私は益々惹かれていった。



そして、手解きをするべく、私の背後に寄り添うその人の(常套手段?笑)体温が私の心拍数を上げていく。




『それ、打ち終わったら帰るか』




言われて、残数を確認すると、あと十球もない。



まだ、帰りたくないよ。