この先の行く末~お客が男になった時~ -16ページ目

三日後

『美味しかったね』
『お腹いっぱい』



私達は、そんな会話を交わしながら店を後にし、次の目的地へと向かっていた。



世間は師走の忙しさに紛れ、誰もが一年を振り返る。そんな頃だった。



忘年会を終えたであろう人達をすり抜けながら、二人で指を絡ませ先を急ぐ。



私も彼も、早く抱き合いたい。そんな気持ちだったと思う。



事を終えると、寒さで冷え切っていた互いの体が嘘のように、二人とも汗だくになっていた。




シャワーを浴び一息ついた頃、そういえば。と思い私は彼に聞いた。



『式、いつだっけ?』



返ってきた言葉に、私は少なからず驚いた。



それは、もう三日後にせまっていたからだ。

北風

北風が私のコートを翻す。



それでも、私は寒さを感じていなかった。



これから彼と逢う。



その高揚感で。



ほどなくして、彼がやって来るのを認めると、自然と顔がほころぶ。



仕事帰りのビジネスマン達が行き交う中、私達は定番になりつつある、雰囲気の良い飲食店へ向かった。



他愛のない話をし、食事を充分楽しんだ頃、彼は聞いてきた



『まだ、時間、大丈夫?』



駄目な訳、無いじゃない。


そう思いながら、私は肯定の表情で彼を見つめた。



店を出ると、さっきよりも風の冷たさが増している。


こんな日に、一人でいるにはあまりにも寒い。


早く暖め合わなくては。

変わらぬ態度

それでも彼はやって来た。


私の憶測に反し…。


式を終えてからも。


新婚旅行に行ってからも。


そして、それらの準備で忙しい筈の時も。



今までと変わらず私の体を大切に扱い、それでいて淡々と抱いた。



店でも、それ以外の場所でも。



変わったのは、彼が独身では無くなった事。



会う回数が増えた事。



私に対する彼の変わらぬ態度は、むしろ潔さを感じる程だった。



では、私は…?