北風 | この先の行く末~お客が男になった時~

北風

北風が私のコートを翻す。



それでも、私は寒さを感じていなかった。



これから彼と逢う。



その高揚感で。



ほどなくして、彼がやって来るのを認めると、自然と顔がほころぶ。



仕事帰りのビジネスマン達が行き交う中、私達は定番になりつつある、雰囲気の良い飲食店へ向かった。



他愛のない話をし、食事を充分楽しんだ頃、彼は聞いてきた



『まだ、時間、大丈夫?』



駄目な訳、無いじゃない。


そう思いながら、私は肯定の表情で彼を見つめた。



店を出ると、さっきよりも風の冷たさが増している。


こんな日に、一人でいるにはあまりにも寒い。


早く暖め合わなくては。