人の温かさに触れる
ついにこの時が来てしまった。親族の葬式に、息子を連れて行かないといけない可能性。普段親戚付き合いのない私は、当然息子のことを話しておらず、どうするべきか悩んだ。息子のことを黙って、その場をやり過ごすやり方。これは短時間には効果がある。ただ、通夜〜葬式まで過ごすとなると、違和感を与えてしまうことは間違いなく、抑圧された行儀の良さを見通しなく過ごす環境は息子にもストレスがたまって不適切行動に走ることは目に見えていた。だからといって、人の死を理解しないままにするのも違う気がした。参加はさせたい。相手側の反応は怖かったが、ぱっと見で気付きにくい自閉症を抱えていること、迷惑をかけるかもしれないので参加はするが途中離れるかもしれないことを伝えることにした。相手側は驚いてこう言った。「うちの甥にもいるから、大丈夫よ。家族葬で格式張ってないし、暴れてもうるさくしても平気平気。気にせず連れておいで。」あぁ、救われた…と感じた瞬間だった。息子のことを正直に話したことで逆に親しみを持ってもらえた。お家にも誘ってもらえて、田舎でのびのびと楽しむ息子がいた。畑の収穫、メダカの観察など普段体験出来ないことをしていた。隠すべき存在ではないのは分かっているが、やはり相手も反応に困るだろう、偏見を持たせてしまうかと思い、オープンにするのは躊躇われることがある。でも、やはり受け入れてもらえる環境はいいな。ここにいていいんだと思える場所は本当に居心地がいい。温かい人の繋がりはいいなと実感した。葬式はこれからだが、きっと息子がどんな過ごし方をしても大丈夫だと思えた。