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『NHK Eテレ|SWITCHインタビュー達人達』、ヨシダナギさんと志茂田景樹さんの対談、観ました。
今回はそのレビューです。
ヨシダナギさんについてこれからあれこれ書こうと思うのですがその前に志茂田景樹さんについて一つ書きたいと思います。
それは、志茂田さんの小学生の頃の先生とのやりとりです。
志茂田さんは子供の頃、絵を描くと、いつもワクワクしていたそうです。
しかし、小学3年生の頃、担任の先生が変わって、その先生の初めての図画の時間に「思い思いの物を描きなさい」と言われて、教室を出て、志茂田さんは学校で飼っていた白いうさぎを描きました。
その小学校には兎小屋などなく、うさぎは、少し大きな多分ミカンの空き箱だったであろう箱の中に飼われていたそうです。
志茂田さんがウサギの絵を描いている時、その絵を覗き込んだ先生がいきなり志茂田さんを叱ったと言います。
「ダメじゃないの!そんな絵描いちゃ!どうしてうさぎがキリンみたいに首が長いの?それにあなたは白いウサギを描いてるんでしょ?どうして黄色く塗りつぶすの?」と先生は志茂田さんを叱りました。
志茂田さんは、空き箱のうさぎ小屋の中で窮屈そうにしているウサギを見て、「そんなもん突き破って校庭で思う存分跳ね回れよ」と言う思いがあって首を長く描いたのだと言っていました。
そして、それは四月の半ばで冷たい風が吹く日で、自分も寒かったけど、ウサギもうずくまってるので、「白いシャツじゃ寒いんだな」と思い「じゃあ黄色いセーターにしよう」と言う思いでウサギを黄色く塗ったのだそうです。
この事で先生を恨んだり嫌ったりはしなかったけど、それ以来、絵が嫌いになって描かなくなったそうです。
何十年も経って、再び絵を描くその日まで。
僕にはこれとそっくりな体験があります。
◇太陽の色は何色ですか?
僕の場合は、自分の思いで何か想像して絵の中に非現実を描いた訳ではなく、ありまのままの姿を絵にした為に、絵の先生にクレヨンで上からグリグリと塗り直されたと言う体験ですが、それ以来絵を描かなくなったと言うのは全く同じ体験だと言ってもいいでしょう。
子供だった当時は、どうして絵が描けなくなったのよくわかりませんでしたが、今ならそれが分かります。
絵を教える立場の人とは僕にとっては、絵の全てを知り尽くした人で、その人の言う事が絶対の正解なのだと言うくらいの意識を持っていたのです。
単純に素直だったとも言えますが。
その先生に自分が見た光景と違う光景に訂正されると言う事は、自分の目に映るものや、その描写である自分の絵を完全否定されたのと同じ事なのです。
その先生に自分の絵を完全否定されたのですから、何をどう描いていいのかも分からなくなったし、今まで絵を描くのが大好きでしょっちゅう絵を描いていたのに、描く事自体が苦痛になったのです。
僕が再び絵を描いたのは、20世紀の終わり頃、MacとIllustratorと言うツールを手に入れた時なので、30年近く経過してからと言う事になるのでしょうか。
正確に数えてませんが。( ´・д・)メンドクサイシ
◇Yodo Big River Blues・ジャケットデザインについて
今でも手描きの絵は描けません。
Macがないと絵を描けないのです。
その理由は手描きだと、長年の蓄積がないので、手が思う様には動いてくれないからなのですが、パソコンだと、知識とスキルがあれば、どう描きたいと自分が思った通りに描けてしまいます。
真っ直ぐな線も誰でも引けるし。
手描きの場合、絵の描き方や理屈が分かっていても鍛錬が足りない場合思い通りには描けませんが、パソコンだと描き方さえ分かってればそれが出来ます。
とまあ、この話はこれくらいで。
ヨシダナギさんについて書くつもりがつい長くなってしまって申し訳ないです。
ナギさんは子供の頃から言葉にして何かを表現するのだとかは苦手だったそうです。
そんな時、頭の中にある事をポエムの様にして書いたものを先生に褒められたそうです。
そして、紙とペンがあれば何でも表現出来ると言う事を教えられたそうです。
確かに彼女には文才の様なものを僕も感じます。
ヨシダナギさんのブログには、毎回毎回出だしに短い自己紹介の様なキャッチコピーが入るのですが、いつも、僕はこれを楽しみにしていますし、毎回、クスっと笑ってしまいます。
◇ヨシダナギ オフィシャルブログ「ヨシダの魂、百まで」
これを毎回書けると言うのは、完全に一つの才能だと思います。
ちなみに「ヨシダの魂、百まで」と言うタイトルもご本人が考えたのかどうかは分かりませんが、ナギさんらしく思えるしセンスを感じますし僕は好きです。
そして、ナギさんは紙にペンで絵も描きました。
彼女は意外な事にカメラが苦手であまり好きではないと言います。
カメラは自分にとっては、アフリカの少数民族が自分の目には、どんな風に格好良く写っているのかを表現するツールなのだと。
こういう事からも、彼女は、根っからの表現者なのだと改めて思わされます。
◇フォトグラファー・ヨシダナギさんの世界観に触れて
紙とペンと言う強力な武器を得たナギさんは、とても個性的な絵を描きます。
著作権の問題もあろうかと思われるので、勝手に無許可でネットで拾ってここへその絵を貼り付ける訳にはいきませんが、日本人離れした、けっこう異国的な画風です。
興味のある方は是非検索してみて下さい。
彼女は、ネットで出版関係の人と知り合い、ホームページを作って貰ったりする中、何をホームページに載せたらいいかなどアドバイスを貰う内、彼女の絵をその人に見せる事になりました。
そこから依頼されて絵を描く様になったみたいですが、仕事として依頼されて絵を描くうちに絵が描けなくなったそうです。
その理由は、いつも、夢の中に出てきたキャラクターや光景をそのまま絵にしていたのに、ある時を境にパッタリと夢を見なくなったそうです。
ナギさんは、「こんな絵を描いてくれ」だとか「ここをこんな風にしてくれ」と言われて絵を描くのは苦手なのだと言います。
そして、依頼された絵は描けないのだと。
依頼されて描いてるうちに脳が拒絶して夢を見なくなったのではないかと言う様な事も言っていました。
以上、志茂田景樹さんと、ヨシダナギさんと、僕の絵を描けなくなった3人の話でした。
アフリカに行くまで、ナギさんは「生きていく事の楽しさが分からなかった」と言います。
そして、日本人特有の常に先を、10年20年先の事を考えて「でも、失敗したらどうしよう」みたいなのがあってなかなか行動に移せなかったと言ってましたが、今の行動的な彼女からは想像もつかなかった過去でした。
でも、アフリカに行ってアフリカの少数民族に「何でお前はつまんなそうな顔をしてるんだ」と言われた彼女は「今は楽しいんだけど日本へ帰った時の生活の事を考えたらちょっとね、ごめんね」と返したそうです。
すると、「今日一日みんなでお腹いっぱいご飯が食べられて眠れたらそれ以上幸せな事はないじゃないか。まだ分からない明日、明後日、それよりも先の事を考えて今暗い顔をしてたら元も子もないじゃいないか。今つまんない顔をしてるやつに明るい未来はあるのか」と言われて、その時に、ちょっとハッとしたのだとナギさんは言ってました。
彼らは今を生きている。
そしてつまらない顔をしている自分には誰もついてくる訳がない、楽しそうにしていたら人が集まって来ると言う事を悟ったそうです。
今を生きると言う事はそう言う事なんだと僕も改めて思い知らされた気持ちです。
日本人は確かに「今の事だけ考えていてはいけない、もっと、先を考えて行動しなさい」と、子供の頃からいろんな大人達から聞かされて育ちます。
でも、その瞬間瞬間・一日一日を大切にと言う事も教わっています。
しかし、その瞬間を大切に生きる方はついつい忘れ去られがちになったり、そういう生き方に不安を覚えたりしてしまうのも事実です。
今の僕達の「今日を精一杯生きる」と言う事は未来を見据えて、自分の思い描いたレールから外れてはいないかと言う事を確認しながら、その日を精一杯生きていると言う感じがします。
言うなれば、どこか攻めきれない守り重視の姿勢ですかね。
それが悪いとも思いませんが、常に未来に不安を感じて生きるより、毎日幸せを感じて生きられたらきっと幸せなのでしょうね。
僕の曲で、まだリリースしていない曲に、『別れ際の言葉』と言う曲があるのですが、別れ際に放った言葉の真意はまさにそう言う意味で、自分と一緒にいた頃、いつも浮気やなんかを不安がっていた彼女に送った言葉は、自分と別れた後、今度は、ありもしない不安に怯えず毎日幸せに送ってねと言う優しい意味が込められているのです。
◇別れ際の言葉/皆見つかさ
ま、余談ですが。
そしてナギさんは「先の事も大事だけど、考え過ぎるのよくない、今を生きよう。」と思う様になり「何よりも今を大事にしないと、もしかしたら今後キツいかも」と言う事を彼らに気付かせて貰って、それから生きる事が凄く楽になったのだそうです。
ナギさんは志茂田さんの「写真は続けていくの?」と言う質問に、意外にも「一生続けていけるとは思っていない」と答えます。
少数民族は形を変えて段々今の自分達と変わらない姿になりつつあるとナギさんは言っていて、そう言う意味で少数民族がいなくなれば彼女にとっては、少数民族を撮る為のツールに過ぎないカメラを使って表現したいものは何もないと言う事なのでしょう。
だから「一生続けていこうとは思っていない」ではなく「一生続けていけるとは思っていない」と答えたのだろうと思います。
そうなった後の事を彼女は続けて話します。
「得意な事もないし、集中力もある方ではない」と言ってましたが、そう思っている事がまた意外な事でした。
なので「出来る事を探せば凄く道が狭い気がする。自分の出来ない事を見つけていけたら」「写真もそんなにスキルがある方じゃないので、何か新しいものを見つけられたら」と語っていました。
少数民族が減りつつあるこの時代、このタイミングでこの世にヨシダナギと言う少数民族に特化した天才フォトグラファーが現れた事にはきっと大きな意味があるのでしょう。
まさに、宿命と言うか天命と言うのか分かりませんが。
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
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