この記事は4106文字です。(読破予想時間:約9分46秒)
木藤潮香(きとうしおか)さんが書かれた『いのちのハードル「1リットルの涙」母の手記』を読んだのは、『ラストレター「1リットルの涙」亜也の58通の手紙』を読んですぐの事だったので、この本も『ラストレター』と同じく読んでからけっこう月日が経ちます。
いのちのハードル「1リットルの涙」母の手記/木藤潮香
ラストレター「1リットルの涙」亜也の58通の手紙/木藤亜也
脊髄小脳変性症と言う難病と最期まで闘った少女の日記である『1リットルの涙』と言う本があるのですが、この『いのちのハードル』と言う本は、その闘病を亜也ちゃんの母親である木藤潮香さんが母の視点で書かれた本です。
なので、この本に関しても出来れば先に『1リットルの涙』から先に読まれる事をお薦めします。
今回も、この本について一つ一つ丁寧にレビューを語り始めると、原作の長さを超えてしまいそうなので、本全体のマクロレビューと、話をピンポイントに絞ってその1点を広げた話をしていきたいと思ってます。
と言う訳で、今回は思いっきりネタバレが入ります。
このまま読み進めるのかどうかは読者である皆さんにお任せしようと思います。
この『いのちのハードル』と言う本の内容は、当然の事ながら『1リットルの涙』と密接に話がリンクしています。
僕もこの歳なので、子供から見た親や大人と言うものと、実際の大人と言うものには随分と隔たりがあると言う事は十分に分かっています。
僕も子供の頃、母を神格化していた様な部分があって、それが大人になるにつれ、大人ってもっと余裕があるのかと思っていたけど、案外一杯一杯で生きているんだと言う事に気付いたりもしました。
そして、過去の母と同じ年頃に同じ様な出来事に出会ったりして、その中で母も僕と同じ様に悩みながら迷いながら歳を重ねていったのだと言う事や、人格者で完全無欠で何でも知ってて頼りがいがあると思っていた母にも弱い所や欠点もたくさんあって、どこにでもいる普通の母親なのだと言う事に徐々に気付き始める時期なんかもあって、今に至っています。
そして今は、その頃とはまた違った別の意味で自分にとっては特別な存在であると思っています。
この本を読んでいても、娘の亜也ちゃんから見た母の姿と必死で娘を育てる現実の母・潮香さんの中身のギャップが見て取れます。
それでもやっぱりこの木藤潮香さんと言う方は凄い人だなと僕は思ってしまうのですが。
亜也ちゃんから見て母である潮香さんは、必ず正しい答えを与えてくれて正しい道へ導いてくれる、そんな存在です。
しかし、母親の潮香さんは、初めからその答えを持ち合わせている訳でもなく、本当にその時その時必死に娘の心をすくい取ろうとし、そして、寄り添おうとしておられるのですが、娘の亜也ちゃんには物凄く心強く頼れるお母さんに見えているのです。
これは実際に、心強く頼れるお母さんである事もまた事実なのですが、子供からみている程、余裕があった訳でも答えを持っていた訳でもなく、ただただ必死に娘の為に正しい答えを模索していたのだと言う意味です。
読解力次第では、僕がまるで、潮香さんが何処にでもいる普通のお母さんだと言ってるいる様な誤解を受けかねない表現かもしれませんので、この際ハッキリと書いておきたいと思います。
亜也ちゃんのお母さん、木藤潮香さんは、人としてもたいへん立派な方だと思いますし、母としても二人といない偉大なお母さんだと僕は思います。
この本の元となる『1リットルの涙』を読んでから『いのちのハードル』を読み比べると、その事がとてもよく分かります。
何かが起きた時に、亜也ちゃんがこんな風に思っている時、お母さんはそんな事を感じ・考えていたのかと驚かされたり、やっぱりそうだったのかと納得させられたりと、二冊で1つと言っても過言ではない様な本です。
そして、『1リットルの涙』や『ラストレター』に比べて亜也ちゃんの写真がたくさん掲載されてて、亜也ちゃんと言う女の子の表情やキャラクターなどもよく分かります。
そして、病状の変化も写真によって、想像からよりリアルな理解へと変化させてくれます。
以前、『1リットルの涙』のTVドラマのエンディングに本物の亜也ちゃんの写真がたくさん出て来ると書いた事がありますが、その中でも、見る度に僕が涙を流していた写真がこの本には収録されています。
これがその写真です。
木藤亜也ちゃんがリハビリを必死に頑張る姿
本の1ページをスキャンして勝手にアップする訳にはいかないので、本の表紙を写真に収めるのと同じ様に、自分の持ち物の写真を撮影したと言う形で、一枚の写真としては利用価値のあまりない本の開き具合とアングルで撮らせて頂きました。
亜也ちゃんの写真で好きな写真はたくさんあります。
屈託ない可愛い笑顔だったり、真っ直ぐな目をしたいい表情の写真だったり、友達や家族と一緒の幸せそうな写真だったり。
でも、どうしてか上手く話せませんが、僕はこの写真を見ると涙が出てなかなか止まらなくなるのです。
そういう特別な一枚として紹介させて頂きました。
取り敢えず、細かい所を語り出すと大変な事になるので、全体的な書評としてはこの辺で終わりとしておく事にしますが、僕が是非共語りたい話をこの後、完全ネタバレで語りたいと思います。
亜也ちゃんの日記にもありましたが、亜也ちゃんは自分が亡くなる時、どう言う状況で死んでいきたいかと言う事を語っています。
「きれいにさいた花のじゅうたんにのって、好きな音楽を聴きながら静かに見送られたい」と。
当時、保健婦(現在では保険師と言う呼称ですが時代背景に合わせた表現を敢えて使ってます)であった潮香さんだからこそ、そして、亜也ちゃんのお母さんだからこそ、亜也ちゃんとの別れが近付いている事を悟れたのだと思いますが、亜也ちゃんの死が目の前に迫っている事を感じ取ったお母さんは、亜也ちゃんの希望通り亜也ちゃんを見送ってあげたいと思い、旦那さんにその気持ちを打ち明け相談します。
嫌らしい言い方を敢えてするなら、まだ生きている娘を、死ぬ事前提で死化粧を施したり、花のじゅうたんをしいたりお別れの為の曲を流したりしながら娘の死を待とうと言うのです。
生前葬と捉えられない事もないですが、よくある生前葬とは意味も形も全くの別物です。
亜也ちゃんのご両親は、これがどれだけ非常識な事かを理解した上で、亜也ちゃんの希望通り送ってあげる事に決めます。
正直、僕はこの決心は凄い事だと思うし、尊敬に値する判断と行動力だと思います。
こんな事をしようと言い出すお母さんも素晴らしいけど、それをすぐに理解し受け止める事が出来たお父さんも素晴らしいと思います。
意識は既にないものの、こんな形でこんな両親に送る準備をして貰って、皆に見送られた時、きっと亜也ちゃんは幸せを感じていたのではないでしょうか?
僕には子供はいませんし、それどころか結婚した事すらありません。
しかし、子供の様に大切な人間がこうして送って欲しいと言っていたのなら、常識はずれでもいい!世間から罵られてもいい!
僕もこんな風に送ってあげたいと強く思いました。
この救いのない話にこの部分だけは「感動」の二文字を使わせて貰ってもいい様な気がします。
ご両親の判断と行動に、本当に感動しました。
未だに感動がやみません。
『1リットルの涙』があまりに衝撃だったので、そこだけで終わってしまう人も多そうですが、この『いのちのハードル』はセットで読んだ方がいいと思います。
いろんな意味で。
木藤潮香さんが書いた本はあと二冊。
『お手本なしの人生「1リットルの涙」亜也の詩(うた)』と『ふところ「1リットルの涙」母子物語」と言う本が出ていますが、新刊ではどうやらこの二冊は手に入らない様です。
と言う事で、僕は古本でこの二冊を見つけて安値で買いました。
状態はけっこういいです。
但し、Amazonマーケットプレイスでは、定価を大幅に上回るタチの悪い出品者も大勢います。
でも、丁寧に探せば定価以下で状態のいい本も見つける事が出来ましたので、金額には要注意です。
と言う事でこの二冊は買ったばかりなので、まだ、読んでません。
読んだ暁には、またここでレビューを書かせて貰うかもしれませんし、何も書かないかもしれません。(笑)
前も書いたけど、約束するとブログの執筆自体が重たくなるのでね。(追記:レビュー書きました)
それでは次回、他のネタになるのか本のレビューになるのか分かりませんが、また。
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