この記事は3683文字です。(読破予想時間:約8分46秒)
生き物を殺す事はいけない事だ。
子供の頃、学校や親や身の回りの大人達から、大抵の人はそう習います。
しかし、犬や猫を苛めている子がいると、「可哀想でしょ!やめなさい!」と言う大人はたくさんいますが、そんな大人達も、腕にとまった蚊などは平気でパチンと叩き殺します。
そんな大人達の教えに矛盾や疑問を感じながらも、何となくぼんやりとした線の中で、自分も大人になり、また、子供達に同じ様に教えているって人も少なくない事でしょう。
クジラやイルカは賢いから食べちゃダメだと、日本の古くからの伝統的な漁をする捕鯨船などを海賊さながらに攻撃してくるシーシェバードの様な外国の危ない団体もいます。
僕の中では、こういった団体に入っている末端の人達は、冒頭で話した様な矛盾した教えを奇麗事の部分しか消化しきれず、真実を受け止める勇気すら持てずに、こじらせてしまった人達の様に感じずにはいられません。
そして、そう言う団体の上層部は大抵、動物の生命や他民族の文化の事なんて全く考えてなくて、ただの政治利用だったり、単なる金儲け目的に利用しているだけだったりします。
こんな風に自分の考えを無理矢理押し付けたりする様な人はどれくらいいるのでしょう。
或いは、食文化について自分なりの答えをしっかりと持っている人は何割くらいいるのでしょうか。
そして、殺生していい場合と殺生してはいけない場合の境界線をしっかり説明出来る人はどれくらいいるのでしょうか?
今日は、それが絶対の答えだとか真理だとかって意味ではありませんが、自分なりに随分前に出した答えをこの記事でシェアしていこうと思っています。
長いまえがきになりましたが、よろしくお願いします。
まず初めに断っておく事がある。
生き物の命を食するのに、可愛いからとか賢いからとかそう言ったものは基本的に関係はない。
そんな事を言い出せば、人から忌み嫌われる様な虫でも、大好きだって人はいるし、植物だって可愛くて仕方がないって人もいる。
それはあくまで、個人個人の好みや贔屓であって、そこに人類共通の基準なんてものはない。
そこへ基準を定めようとしたって永遠に定まる筈がないし、いろんな意見を尊重すると、人類は、結局、何も食せなくなって餓死するしかなくなると言う事になる。
これを踏まえた上でもう一つの絶対不変の大前提を忘れてはならない。
人間は水だけでは生きられないと言う事。
必ず他者の命を食らわねば生きていけないのだと言う事。
ここが一番重要なのだ。
故に、日本人は昔から、今まで食べたもの、つまりは、自分を生かす為に犠牲になってきたもの達に感謝を捧げ、供養し、祀ってきた訳だ。
日本の土着宗教と言えば、日本神道である。
ここからしばらくは受け売りなのだが、周知の通り日本神道は八百万の神と言う考え方の元に成り立っている多神教で、キリスト教やイスラム教などの一神教の教えとは大きく違う点がいくつかある
日本人は、全てのものに神が宿ると言う考え方をもっており、森羅万象ありとあらゆるものに感謝をして生きて来た民族である。
故に、食事をする時には、その食材に対して手を合わせて感謝を表す。
昔から日本人はそうして、食材とその命に対して、そして、神々に対して感謝を捧げてきたのだ。
そして、後には、手を合わせて「いただきます」と言霊を発するその礼儀に込められた気持ちを、食材だけではなく、その食材を取って来た人や調理した人に対しても込める様になった。
対して一神教の信徒達は、食材が我々に捧げてくれた命に対して感謝を捧げたりはしない。
食材を与え給うたのは神であると言う考え方の上で、一神教の信徒達は、目の前の食材も食材の命も神が与えてくれたものとして、神のみに感謝する。
◇親離れに見るこれからの宗教との関わり方
こう言った違いが、シーシェバードなどの考え方と絶対に折り合う事が出来ない要因の一つなのではないかと僕は思う。
食材の命に対して、礼を尽くし感謝を捧げる民族は勿論、日本人だけではないが、かなり少数派であるのは間違いない様だ。
念の為、以前にも何度か記事に書いた事をもう一度言わせて貰う事にする。
日本の「神」と言う概念と、一神教における「神」と言う概念は全く違うものなのだ。
そもそも、その昔、一神教が外国から入って来た時に「God(ゴッド)」と言う単語を「神」と訳してしまった事から、その混乱は始まったと言われている。
つまり、「ゴッド」とは本来日本語で言う所の「神」とは全くの別物なのだ。
それを話すとどんどん主題から離れていってしまうので、その違いについては、興味があれば、ご自身で勉強して頂きたい。
ようやく、殺生していい時と悪い時と言う本題に突入していく事になるのだが、そう言うDNAを持った日本人である僕は、生きる為に生命を食らう事に目を背けたりはしない。
つまり、食べる為の殺生は問題なしと言うのが、まず、最初の結論だ。
この最初の結論も含めて、僕が殺生して良い悪いのラインを引くのに、基準にしたのは、大自然のルールだ。
要は、自然の摂理に従えば、何の問題もなく、この二つを分ける事が出来ると言う話だ。
食べる為以外で言うと、自分が身の危険を感じた時の殺生はOKである。
いわゆる、防衛の為の殺生で、人間社会で言う所の正当防衛だ。
自然界の動物だって、我が身や我が子や仲間達を守る為には、全力で相手に向かっていく。
そこに手加減などは一切ない。
獰猛な動物や虫などに襲われそうになって、武器を持って撃退するのは勿論仕方がない事だし、自分を襲おうとした蚊を手の平でパチン!とやっつけるのも、自然の摂理に従った自然な行動だと言える。
そして、次に、自然の摂理に従うと、自分のテリトリー(縄張り)に入って来たものは容赦なくやるのも大自然の掟の一つだ。
ライオンだって、ミツバチだって、自分の巣や縄張りを荒らされたら、全力で抵抗する。
これは人間の場合だって同じだ。
では、人間のテリトリーとはどこまでなのだろう?
これは、そのシチュエーションによっても変わってくるが、まず基本的な所では「住処(すみか)」だろう。
つまりは、「家」だ。
この空間は、人間が人間の為に、自分達の為に作り上げた空間だ。
ここに無断で侵入して来た、虫などの異生物は、殺虫剤でやられてもスリッパで叩き殺されても文句は言えないと言う考え方になる。
そして、人間が人間の為に作った空間と言うと、街や村などの人間の為の集落があるが、これも人間のテリトリーと考えていいだろう。
最近、山から熊や猪が降りて来て、人間が大けがをさせられたり殺されたりしているが、時には、山から降りて来た動物を鉄砲で射殺する場合もある。
これは、悲しい事ではあるが、我が身や自分の種族・仲間を守る為には仕方がない事だと言える。
そう考えると自分から相手のテリトリー(なわばり)に入っていって殺すのは当然ダメな行為だと言う事である。
自分のテリトリーに入って来るのはダメで、自分は相手のテリトリーを荒らすのはOKなんて、そんな都合のいい話はない。
つまり、人間は今まで、自然界に対して相当酷い事を繰り返して来たと言う事なのだが、今は、それを反省する主旨の記事を書いている訳ではないので、ちょっとその話は横に置いておく事にする。
この考え方からすると、勝手に人間が山に入っていって、意味もなく殺虫剤を撒きまくるなんて行為や、食べる為でもなく、動物を撃ち殺したり、叩き殺したりする行為は、ただの残虐な行いと言う事になる。
勿論、ハイキングなどで山に入ったりした時に、身の危険を感じたときは別の話だ。
我が身や仲間の身に危険を感じた時は前述の通り、結果、殺生をする事になるのは仕方がない。
そして、当然、食材の確保の為の漁や狩猟ならば問題はない。
これが、僕の中でのルールだ。
僕が気付いた殺生の境界線やルールは、自然の摂理や大自然の掟に従うと言うものです。
たったこれだけの事です。
そして、付け加えるなら、他国・他民族の文化に口出しをしてはならないって事です。
「自分達が食べないからお前らも食べるな」などと言い出すと、間違いなくどの民族もいい気持ちはしません。
「そんなもの食べなくても生きていける」などと言う理屈はただの屁理屈で、都合よく数種類の食材だけを抜いた所で生きていけるのは当たり前の話です。
なら、何を基準に食べていいものと食べてはいけないものを分ければいいのでしょう。
そんな基準は、各民族の風習に任せればいいのです。
世界基準なんて作ろうとしたって、それは結局、力のある国の「自分達基準」でしかないのです。
人は、結局、命を食らわねば生きていけません。
ならば、それを受け入れて、感謝して頂いた命を有効に活用していくしかないじゃないですか。
そして、自分もいつか土に還る訳です。
そうして、世界は回っていくのです。
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