この記事は5386文字です。(読破予想時間:約12分49秒)
今日の記事は、とてもプライベートな事で、本来は記事にしなくてもいい事なのかも知れません。
でも、今まで、何度も、僕のブログに登場した美容師さんの話でもあるし、アーティストにとって、とても大切な部分を信頼してお任せしていた方であると言う事で、やはり、書く事にしました。
以前、僕が約20年に渡って、髪を切って貰っている美容師さんが癌で闘病中である話、闘病のため、店を畳んだ話を、このブログでも書かせて貰った事があります。
◇僕には、闘病中の健闘と回復をただ祈る事しか出来ない。
◇美容師選びで苦悩中
その美容師さんからのメールの返信が途絶えていたので、気になってたのですが、そのメールの返信が、美容師さんの娘さんから、さっき届いたんです。
美容師さんは、12月いっぱいでお店を閉めた後、次の月の1月に、既に他界されていたそうです。
胸が詰まって涙も止まらぬその内に、娘さんへの返事を送信して、そのまま、このブログ記事に向かっております。
本当に、悲しくて寂しくて悔しくて残念で・・・。
ただのお客と行きつけの美容師の間柄なのに、何がそんなに悲しいんだ?と思う人も、きっと、いらっしゃる事でしょう。
今日は、そんな人にも出来るだけ分かる様に、僕の思い出と共に、美容師さんの追悼の意味を込めて、記事を書いていくつもりです。
ちょっと長い前書きになりましたが、始めさせて頂きたいと思います。
まず、この美容師さんの事をざっと紹介しておこうと思うが、この美容さんは、僕と同い年の女性である。
女性の場合、いろいろと勘ぐる人がいると、その人にも周りにも迷惑がかかるので書かせて貰うと、彼女と僕の間には、男女の関係や恋愛感情は一切ない。
お店以外で、プライベートで彼女と待ち合わせて会ったりした事もなく、何度か、偶然外で遭遇した事がある程度だ。
話は、ぐっと、20年以上に遡るが、僕がとある街に引っ越した時の話だ。
引っ越したばかりで環境が変わって困る事の一つに、理・美容室選びと言うのがあって、僕も、いつもこれに悩まされて来た一人である。
その街に引っ越した時も、悩みながら、近くの理・美容室を順に試してみたのだが、なかなか、いい店を見つける事が出来なかった。
ま、軽く端折らせて貰うが、僕の中でいろいろ回るうちに、僕の選択肢の中から理容師は消えて、美容師一択になったと言うのがあるので、ここからは、理・美容師ではなく、美容師と書かせて貰う事にする。
僕は、他人からはあまり信じて貰えないが、人見知りである。
それと関係あるのかないのか、とにかく僕は、美容師さんとの相性を重視する。
そして、常連扱いされるのも苦手である。
◇常連扱いされるのは苦手
そう言う訳で、近所の店を順に試してみたのだが、なかなかいい店が見つからず、徐々に、自宅から離れた店を探していく内に、流石に距離も限界だと言う時に見つけたのが、この店なのだ。
通常、その美容師さんとは合わないと感じたら、二度と行く事はないのだが、この店の場合は、数回通ってから、ここだと決めたのだ。
それ以来、数度の引っ越しをしたのだが、例え、引っ越して遠くなっても、この店に通い続けている。
この店には、当時3人の美容師さんがいたのだが、正直、初めて行った時に切ってくれた美容師さんは、僕の中ではハズレだった。
十軒だったか二十軒だったか忘れる程たくさん回った時だったので、次を探す気力がないままに、深く考えずにまたその店に行って、他の美容師さんに切って貰ったのだが、また、ハズレ。
ここまで、男性の美容師二人に切って貰ってハズレだったのだが、その店は指名が出来ると言うし、最後の一人である、女性の美容師さんに切って貰ってダメだったら、また、他を探そうと言うつもりで店を訪れた。
すると、その女性美容師さんの腕のいい事!
更に知識も豊富でセンスもいい。
そして、人見知りの僕には、ちょうどいい具合の距離感で接してくれるのだ。
因みに、しばらくして、その男性美容師二人は店からいなくなる事になったので、本人達に伝わる事はないだろうと言う事で、ハズレだと正直に書かせて貰う事にした。
後で知る事になるのだが、この女性美容師さんが店のオーナーさんだったと言う事もラッキーだったと思う。
そこから長い付き合いは、始まった。
最初は、お互い、髪の毛の事以外はあまり話さなかったのだが、本当に自然に距離が縮まっていって、知らない間に、互いにうるさいくらいに、ぺちゃくちゃおしゃべりをする様になっていて、いつの間にか次に店に行くのをいつも楽しみにする様になっていた程である。
他のお客さんがいない時や、他のスタッフが近くにいない時は、店の経営に関する愚痴や相談、家庭の事、生い立ちの事、プライベートな事など、「どうして俺にこんな事まで?」とか「本当にそんな話、聞いてもいいの?」と、こっちが戸惑う様な話までたくさんされる様な距離にまで縮むのに、そんなに時間はかからなかったと記憶している。
彼女は、僕がいつまでも結婚しない事を心配してくれて、「将来、孤独死になるで」だとか「私が、お嫁さん探したる!」などといろいろ言ってくれてたが、それも果たされぬまま、結局、彼女は帰らぬ人となってしまった。
勿論、お嫁さん探しを期待していて残念がってる訳ではない。
僕も彼女には、仕事の裏側や、企業秘密などもけっこう話したし、ソロ・アーティストとして独立してやっていく事を最初に話した人でもあり、その為に、スタイリングの協力をお願いした相手でもある。
彼女は快く引き受けてくれて、本当に、同じプロダクションのスタッフの様に、親身になり、一生懸命相談に乗ってくれたのだ。
引っ越す度にいつもなかなかいい美容師に巡り会わないと言うのに、今回、新たな美容室に行く事になった際、本当に一生懸命、僕の立場に立って話を聞いてくれる、素晴らしい美容師さんにたった一回で巡り逢えたのも、もしや、彼女が既に亡くなっていてその導きがあったのではないかと言う気がしていたのだ。
◇初めての美容室〜赤が好き!
でも、亡くなっていて欲しくないと言う思いがあって、それを心の中で否定しようとはするのだが、僕の直感と本能が、それを否定させてくれなかったのだ。
でも、その直感と本能が当たってた事を娘さんから、さっき、知らされる事になった訳なのだが。
僕は、ソロでやろうと思った時、人間関係をほとんど断ち切ったと言う話をどこか別の記事で書いた事があるが、それが故に、この数年間、心の中で、友達感覚で接していた相手は、唯一、美容師の彼女だったと言う事になる。
僕は、人間関係そのものが今は煩わしい。
でも、彼女だけは別だ。
これは、出会いこそ、美容院だったと言うだけで、僕の生涯で、トップクラスにいい相性を持った人物であり、その出会いは、お互いにとって、おそらく何か大きな意味を持つ、そんな縁ある出会いだったと僕は思っている。
◇縁の話
彼女は、昔僕に言った事がある。
「お客さんとは、一定の距離をおいて接っする事にしている」と。
一線を超えてしまうと、何かと問題がある事は僕にも理解出来るし、それは、物凄く素直に受け止めた。
随分、昔の話であるが、僕も覚えていたし、彼女もどうやら僕と話したその時の事は覚えてた様だ。
しかし、やはり相性と言うものはある。
話していると楽しいし、何か安心感があると言うのは、これは止められるものではなく、お客さんであると言う範囲のギリギリの枠を目一杯使ったコミュニケーションがあれだったのだと、僕は思っている。
その後は、ちょくちょく老後に一緒に昆布茶飲みながら、あんな事をしようだとか、そんなたわいもない話をしたりはしたものだが、僕は、店のオーナーと客と言う立場が変わっても、仲良くしようと言う意味だったのではないかと言う捉え方も半信半疑ながら、持っていた。
僕にとって、彼女は大切な存在であり、彼女もある程度、存在感を感じてくれていた様で、これは、僕にとっては、今は悲しいが、この先きっと生涯の宝物になるであろう僕の大切な歴史だ。
こういう感情には、焼きもちだとかそう言ったものはない。
例えば、彼女にもっと親しいお客さんがいたってかまわないし、自分が一番であろうとも思っちゃいない。
僕と彼女が接したきた事実が、事実として存在する。
それが確かな事であると言うだけの話なのだ。
そして、最後にカットをして貰った日、彼女は僕に「治ったら、これからはご飯も一緒に行こう!」「お酒は飲めないけど、一緒に呑みに行こう!」などと言って、メールアドレスの交換をした。
そして、その当日、メールを往復させて、これからは友達として改めてお願いしますと言う話をした。
その後、AWGと言う治療をしていると言うメールを明るく元気な文面で、一度貰った。
それを最後に彼女からのメールは途絶えた。
僕が店を最後に訪れた日、僕は彼女に生きていて欲しかったので、縁起でもない事を含む事は何一つ言いたくなかった。
闘病の励ましすらも、危険な状態だと、彼女に念を押す様で嫌だったのだ。
で、これまでのお礼もたくさん言いたかったのだが、それではまるで、今生の別れの様で、それすら口に出来なかった。
言えたのは、お店を畳むと告げられた立場のお客として、これまでのお礼くらいのもので、本当は、いっぱい励ましてあげたかったし、一人の人間として、これまでのいろいろをありがとうと言いたかったのだ。
しかし、それらの言葉は、彼女の生還を祈り信じて、全て飲み込んでいつも通り、明るく振るまった。
そして、今まで髪を切ってくれた事や、店がなくなって切って貰えなくなる残念さや、安くしてくれてた事に気付いてた事などを店を出る直前に伝えたのだ。
彼女は、「泣いてしまうから、お礼とか、言わんとって」と言ってたが、最後は、僕の手を握って泣きながらお礼を言ってくれた。
僕も、泣きそうになったが、「また、会えるじゃん」と言わんばかりに我慢した。
そして、いつも通りサラッと店を後にした。
その時、塞き止めた涙が今、溢れている。
どこまで伝わったか分かりませんが、これが、ただの美容師とただのお客の20年間です。
僕にメールをくれたお嬢さんも、小さな頃から知っています。
娘さんも、シャイで人見知りなのか、そして、僕も人見知りで子供の扱いが分からない人間だったので、ほとんど会話をした事がありませんが、彼女の成長をずっと見てきましたし、本当に、娘さんの事が気にかかります。
ちょっと気が強い所もあって、物の言い方なんて、小さな頃からお母さんに本当によく似てて、可愛らしくて、娘さんが母親と話してあっちへ行った後によく、本当に似てると二人でよく笑ったものでした。
彼女もきっと、その娘さんの事が一番気がかりだったと思います。
いろいろ、彼女の家庭の事情に触れてしまうのは、本意ではないので、娘さんの話はここで終わりますが、彼女の悔しさだとか心残りだとか無念だとかを思うと、いてもたってもいられません。
と言っても、僕には何も出来る力はありませんが。
まだまだ、言いたかった事もあるのですが、長くなりすぎるのでこれくらいで筆を置きたいと思います。
僕の人生を振り返る時、彼女は、僕の歴史の中に確実に存在した、しかも大きな存在の人ですので、また、記事の中に登場するかもしれません。
その時は、また、読んで頂けると幸せです。
そして、彼女は僕の中で確実に生きた人で、更には、今も生き続けている人なので、曲作りの中には、知らず知らずにエッセンスとして組み込まれてしまうのだろうと思います。
場合によっては、モロに、彼女の事を曲にする事があるかもしれません。
その時は、たくさんの人に届けばいいなって思います。
行き当たりばったりの文章で、かなり散らかってるかも知れませんが、これを追悼に替えさせて頂きたいと思います。
長い文章、読んで頂きありがとうございました。
美容師さん、本当の本当に今までありがとうございました。
いつか、僕がそちらへ往った時にはよろしくお願いしますね。
さようなら。
最後に。
彼女のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
皆見つかさ(Tsukasa Minami)
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
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