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日朝協議:小泉首相の任期にらみ駆け引き

 日本と北朝鮮による(1)国交正常化交渉(2)拉致問題(3)安全保障--に関する包括並行協議が2月4日から開かれることが決まった。小泉純一郎首相の任期が切れる9月をにらみながらの協議で、「春から夏にかけて両国の駆け引きが強まるのではないか」(政府筋)との見方も浮上しているが、国交正常化の前提となる拉致問題解決で具体的進展が得られる見通しは立っていない。

 両政府は、3分野の並行協議開催に合意した昨年12月の政府間対話で、「懸案問題の解決のために誠意を持って努力し、具体的措置を講ずる」「日朝平壌宣言に沿って、国交正常化を早期に実現するため、不幸な過去を清算し、懸案事項を解決するための措置を取る」ことなどを確認した。

 しかし、政府が「拉致問題の解決なくして国交正常化はない」としているのに対し、北朝鮮は「拉致問題は解決済み」との立場を崩していない。

 政府は拉致問題協議で、生存者の帰国、真相究明、容疑者の引き渡しなどを改めて求める方針だ。しかし、北朝鮮が「英雄」として扱う辛光洙(シンガンス)容疑者ら3人の引き渡しに応じる可能性は低い。

 一方、国交正常化交渉は、02年9月の日朝平壌宣言に経済協力方式が明記されていることや、65年の日韓基本条約が基礎になることから「実務的作業はそれほど困難ではない」(外務省幹部)とされる。ただ北朝鮮が「日本は今年、過去清算の意志を実践行動によって世界に示すべきだ」(朝鮮労働党機関紙・労働新聞の1月15日の論説)と、国交正常化交渉を優先するのに対し、日本は拉致問題がこう着状態のまま、国交正常化交渉だけが決着することを明確に否定している。

 安全保障分野は6カ国協議が主体。北朝鮮は、マネーロンダリング(資金洗浄)に対する米国の金融制裁に反発し、6カ国協議の再開を拒んでおり、日朝間での協議進展は難しい状況だ。

 小泉首相は27日、拉致問題を含めた交渉進展の見通しについて、「なかなか難しい状況ですね。難しい」と記者団に語った。【中田卓二】

毎日新聞 2006年1月27日 18時57分
日朝協議:小泉首相の任期にらみ駆け引き-行政:MSN毎日インタラクティブ

特集WORLD・深層リポート:金正日訪中の謎 毛沢東の別荘に宿泊?

 隠密の旅だった。特別列車を仕立てた金正日(キムジョンイル)総書記の訪中(10~18日)である。改革・開放のシンボル、中国南部の経済特区を視察したとはいえ、将軍さまは北朝鮮のトウ小平になろうとしているのか?【鈴木琢磨】

 10日早朝、金総書記を乗せたとみられるモスグリーンの特別列車が通過した--。そんな中朝国境にある駅での目撃者の一報から、中国大陸を舞台にした追っかけはスタートした。「夕刻、北京に到着する」「中国経由でロシアに向かった」「専用機で上海入りした」。情報は錯綜(さくそう)し、五里霧中のまま時はいたずらに流れた。ついに本人をとらえたのは3日後の13日、日本のテレビ局だった。

 すでに金総書記は広東省の広州市にいた。おなじみのもじゃもじゃヘア、ジャンパー姿でホテルを出入りしたり、夜には市内を流れる珠江で遊覧船に乗っている場面までキャッチされた。望遠レンズ越しながら、ソファに座ってご満悦に見えた。その後、一行は経済特区の深センへ向かい、訪中の締めくくりとして北京に戻り、胡錦濤国家主席と会談したのだった。

 ●血で結ばれた友誼

 執念のテレビクルーに追いつかれるまで、金総書記は湖北省の武漢を訪れていた。語るのは中朝関係筋。「11日夜、武漢のホテルに随行員とともに泊まったとされていますが、本人は東湖公園内にある毛沢東の別荘に投宿した、と聞いています。亡くなった父の金日成(キムイルソン)主席も泊まったところです」。毛沢東はここで、洞庭湖で取れる武昌魚を好んで食べた。この別荘は現在、一般公開されているから、立ち寄っただけかもしれない。

 19日になって、朝鮮中央通信は武漢で金総書記と会談した黄菊副首相の発言を伝えた。<中朝友好の歴史が秘められている武漢市を訪問したのは、老世代の指導者たちがもたらした両国の友好関係をさらに輝かすことに大きく寄与する>。歴史をひもといてみると、1958年に金日成首相(当時)が足跡を残していた。朝鮮戦争を一緒に戦った中国人民志願軍の撤退完了にともない、「血で結ばれた友誼(ゆうぎ)」を再確認したのだった。

 ところで、毛沢東といえば、最近、出版された「中国がひた隠す毛沢東の真実」(北海閑人著、草思社)が面白い。57年以降、毛沢東の旅行は専用列車を利用すると決められていたと紹介されている。<専用列車は毛沢東の食、住、休息から娯楽、会議、舞踏会や京劇鑑賞までできるので、一種の移動行宮となった>。将軍さまの特別列車そのもの。父がまね、それを息子も踏襲しているだけなのだ。飛行機嫌い説はウソである。

 ●南巡講話

 さて、訪中の目的である。武漢→広州→珠海→深セン、その路程は92年にトウ小平が改革・開放を呼びかけた「南巡講話」の視察コースと重なる。金総書記が、その目を見張る成功例から、経済の立て直しのヒントを得ようとしたと考えられる。未確認ながら、宿泊先の広州のホテルでは「北朝鮮の経済開発座談会」も開かれたとされる。

 だが、トウ小平流の大胆な政策がとれるものなのか? 実は金総書記は経済特区になったばかりの深センを83年に秘密裏に訪れ、後に内部で「中国の修正主義は堕落した」と批判してもいたからである。

 「北朝鮮『虚構の経済』」(集英社新書)の著者、富山大の今村弘子教授は懐疑的である。

 「たしかに83年の秘密訪中の翌年、外資導入法を制定したり、01年に上海を訪れた翌年、経済管理措置を発表し、改革に乗り出しはしました。でも、平壌に経済テクノクラートはいるのか? 経済原則を無視していますから、うまくいくはずない。改めて深センへ足を運び、称賛したのは中国の顔を立てるため、ホンネは援助が欲しい。それと6カ国協議で協力を仰ぎたい。中国は北朝鮮崩壊のコストに比べれば、援助のコストの方が安いと考えているのではないか」

 おそらく、金総書記はあの因縁浅からぬ地、武漢で、父の代からの中国の恩義に感謝してみせ、さらなる支援を求めたのだろう。

 ●ロイヤルファミリー

 もうひとつ、しきりにささやかれているのが、アメリカによる金融制裁である。マカオの銀行が取引停止となり、平壌への資金の流れがストップしたからだというのである。在日の商工人が明かす。

 「痛手になっていますよ。中国に出ている平壌の商社関係者らも責任を追及されますから。彼らは第2経済委員会で、軍の経済を支えているんです。訪中の随行員に軍の最高幹部がいたでしょ。いくら先軍政治だ、と宣伝しても、そのサイフは空っぽなんです。トップの訪中で光が見えたのか、先遣隊として入った商社マンらが深センで宴会をやった、と耳にしました」

 だが、別の商工人は金総書記の訪中にはもっとしたたかなウラがあるとも解説した。「マカオに世界の視線を集中させておきたいんです」。どういう意味か? いささかミステリーじみてくるが、それこそまさに金王朝の闇である。

 「平壌に流れる秘密資金のルートは四つあるんです。ひとつが最も古いマカオで、これはすでにあきらめざるを得なくなった。あとはイギリス、イタリア、オーストリアです。その管理をしているのはすべて海外に出されたロイヤルファミリーです。ちなみにオーストリアにいるのは金総書記の異母妹です。そこにまで制裁がかかれば、もうお手上げになるんです」

 マカオとは目と鼻の先、金融制裁という名の「戦争」の最前線にまで赴いた金総書記は、自らアメリカをあざむくおとりになったというのである。だとすれば、恐るべしである。無事、平壌に帰還したいま、何を思うのだろうか。

MSN-Mainichi INTERACTIVE 北朝鮮

中国、北金融制裁緩和へ妥協案 口座凍結「一部解除の用意」

 6カ国協議再開に向け18日に北京で行われた米中朝首席代表による非公式協議で、議長国中国の武大偉外務次官が北朝鮮に対する米国の金融制裁の一部緩和につながる妥協案を示したことが26日分かった。協議参加国の複数の国連外交筋が明らかにした。

 北京の外交筋によると、北朝鮮の金桂冠(キム・ゲグァン)外務次官は米ドル札偽造やマネーロンダリング(資金洗浄)など米国が問題視する懸案について「今後、国際的な規則を順守する」との立場を表明。再発防止を示唆しつつ制裁解除を求め、ヒル米国務次官補にも「誠意」を示すよう求めたという。ヒル次官補も25日、ロイター通信に対し、北朝鮮側から一定の譲歩が得られる可能性を指摘、中国が2月中の協議再開を楽観視していると述べた。

 中国は北朝鮮の柔軟姿勢を受け、早期の協議再開を目指し妥協案を示したとみられるが、米国は「6カ国協議と金融制裁は別問題」との原則を崩していない。ヒル次官補も「われわれが興味を抱くのは行動だ。(不法)行為を(北朝鮮が)やめるのを見たい」と言葉だけでは不十分と強調、米朝が最終的に歩み寄れるかどうかはなお不透明だ。

 中国の妥協案は米国が昨年9月、北朝鮮の資金洗浄に利用されている疑いがあるとして、米金融機関との取引を禁じたマカオの銀行にある北朝鮮関連の複数の口座への対応。

 中国は、マカオの銀行で取り付け騒ぎが起きたため、北朝鮮関連の口座を事実上の管理下に置いているが、非公式協議で武次官は「中国は凍結を一部解除する」用意があると伝えた。

 解除対象は不明だが、資金洗浄と関係がないとみられる通常の海外送金などの口座を開放することで、米金融機関以外との取引に道を開き、北朝鮮の軟化を促そうとしたとみられる。(共同)
Sankei Web 国際 中国、北金融制裁緩和へ妥協案 口座凍結「一部解除の用意」(01/26 19:21)