【主張】総連施設税減免 判決踏まえ見直し加速を
在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の関連施設である熊本朝鮮会館の固定資産税などを熊本市が減免していた問題で、福岡高裁は減免を取り消す判決を言い渡した。Sankei Web 産経朝刊 主張(02/04 05:00)
「会館が公益性のために利用された形跡は全く認められない」「全体が朝鮮総連の活動拠点として使用されている」というのが判決理由だ。朝鮮総連についても「北朝鮮と一体の関係にあり、わが国社会一般の利益のための組織ではない」とした。
朝鮮総連とその関連施設の実体を正しくとらえた妥当な判決である。一審・熊本地裁の判決は「朝鮮会館に公益性がある」として、熊本市の減免措置を認めたが、その判断が覆された。熊本市は、減免措置の見直しを迫られることになろう。
朝鮮総連地方本部などがある自治体は東京都と四十八市だ。以前は、多くの自治体で「外交機関に準ずる機関にあたる」などとされ、固定資産税などの減免措置がとられてきた。
石原慎太郎都知事が平成十五年に朝鮮総連中央本部などへの課税を表明して以降、新潟市や水戸市、和歌山市などで、減免措置を見直す動きが広がったが、総務省の調査では、いまだに三十市で減免措置が継続されている。このうち、千葉市など十九市は全額免除している。
福岡高裁の判決を契機に、これらの自治体は早急に減免措置を見直し、適正な課税方法を検討すべきだ。
高裁判決が指摘したように、朝鮮総連は北朝鮮と一体の組織である。北の指導を受け、統一戦線部に直結する組織として、さまざまな工作活動に関与してきた。拉致事件では、原敕晁(ただあき)さん拉致に朝鮮総連幹部がかかわったことが判明している。
そのような組織の関連施設が税の優遇措置を受けていることは、国民感情からも納得できないのではないか。
昨秋、警視庁は朝鮮総連傘下の在日本朝鮮人科学技術協会(科協)などを薬事法違反の疑いで家宅捜索し、科協の副会長二人を逮捕した。また、整理回収機構(RCC)は朝銀信組の不良債権問題で、朝鮮総連に六百億円の返還を求める訴訟を起こした。
税に限らず、朝鮮総連とその関連組織に対しては、こうした法に基づく厳正な対処が必要である。
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[朝鮮会館課税]「『減免』を違法とした妥当な判決」
正当な理由もないのに、自治体が特定の者に税金をまけてやるのは違法――。福岡高裁の判断は、公平性を大原則とする課税の趣旨から見ても、至極当然のものと言えよう。2月4日付・読売社説(1) : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
熊本市の在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の関連施設「熊本朝鮮会館」をめぐり、市が固定資産税などを減免したのは違法と、北朝鮮による拉致被害者の支援団体幹部が訴えていた。
地方税法は、天災被害や貧困など特別の事情がある者に限り、自治体の条例に沿って固定資産税の減免が受けられる、と規定している。
熊本の市税条例は「公益のために直接専用する固定資産」を減免対象に含め、具体例として公民館類似施設、消防団施設などを挙げている。
裁判では、朝鮮会館が、公民館のような公益性の高い施設に該当するかどうかが最大の争点となった。
1審・熊本地裁は、公益性を認めて原告の請求を退けた。「会館の設備や利用実態などからみて、公民館類似施設にあたる」という理由だった。
逆の判断を導き出したのが、高裁判決だ。公益性について、三つの観点から検討を加えていることが注目される。
第一に、朝鮮会館の所有者はだれか。会館の所有だけを目的に設立された、活動実態のない会社である。減免理由となる「特別な事情」もなければ、公益目的で専用しているとも認められないから減免は違法だ、と早々に結論に至る。
第二に、ここで言う「公益」とは何か。高裁は「わが国社会一般の利益」との解釈を示し、朝鮮総連の活動に、そうした公益性があるかを検討した。判決は明確に否定する。「北朝鮮と一体の関係にあって、北朝鮮の国益や在日朝鮮人の私的権利擁護のために活動している」
最後に、利用実態はどうか。高裁は1審とは逆に、「公益のため利用された形跡が全く認められない」などとした。
総務省の調査では、昨年1月の時点で朝鮮総連の中央・地方本部などのある49自治体のうち、少なくとも30市が税の全額や一部を免除していた。そこでも、減免理由の多くは「公益性」だという。
所有者や利用実態などは、施設ごとに違うだろう。だが、公益性の観点から、初めて高裁が明確な判断基準を示した意義は小さくない。あいまいな裁量で減免措置を続けている自治体は、ただちに見直しの検討を始めるべきだ。
朝鮮総連側は東京、大阪などの地方裁判所で、自治体相手に減免を求める訴訟を起こしている。こちらの行方にも、高裁判決は影響を及ぼすだろう。
(2006年2月4日1時44分 読売新聞)
拉致事件が生んだ「とげ」 朝鮮会館判決
なぜ、このように司法判断が分かれるのか。これもまた、北朝鮮による拉致事件が社会にもたらした一つの「とげ」なのだろうか。西日本新聞 The Nishinippon WEB
福岡高裁は、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の関連施設「熊本朝鮮会館」(熊本市)に対して熊本市長が行った税の減免措置を適法とした昨年四月の熊本地裁判決を変更し、減免措置を取り消す逆転判決を言い渡した。
訴えていたのは拉致被害者の支援組織「救う会熊本」で、一、二審とも朝鮮会館が「公益のために使われているかどうか」が争点となった。
地方税法の規定に基づく自治体の条例を根拠とし、公民館に類似した公益性が施設にあれば税減免の対象となり、なければ対象外となる。
一審判決は、施設の規則や運用上、在日朝鮮人以外の利用も可能などとして公益性が「ある」と認めた。二審判決は、施設の利用状況などから公益性は「ない」と判断した。
朝鮮会館を含めあらゆる施設の税減免について、自治体が施設の目的や利用状況に即して適正かつ公平に判断すべきだということは言うまでもない。
一審判決は施設の公益性を二審判決より緩やかにとらえ、二審判決は一審判決より厳密にとらえたとみていいかもしれない。下級審と上級審で判断が異なるケースはよくある。
高裁レベルで初めての判断だった今回の判決は、他地域の自治体の方針や同種訴訟の行方に影響を与える可能性もある。ただ、今回の判決はあくまで熊本朝鮮会館についての判断である。
税の減免措置は、施設側の申請を受けて自治体の長が毎年判断することになっている。施設の利用状況は、運用する主体が地域住民との交流を活発にするなどすれば変化する。自治体側は、個々の施設の利用状況を踏まえて税減免の是非をその都度判断すべきだろう。
法解釈とは別に、この裁判の経緯には、拉致事件を契機として社会全体を覆うようになった北朝鮮に対する険しい国民感情が反映している。拉致事件は北朝鮮による言語道断の人権侵害であり、断じてあいまいな解決では済まされない。
拉致問題の解決に誠意のある対応を示そうとしない北朝鮮への反発から原告の「救う会」が、朝鮮総連の施設の税減免を問題視した裁判を起こしたいきさつについても理解できる。
ただ、拉致事件は北朝鮮当局が日本人に加えた重大な国家犯罪であり、何よりも日朝両政府間での解決努力が優先されなくてはならない。
朝鮮会館に「公益性」があるかどうかにかかわらず、在日朝鮮人の人々の暮らしにとって重要な拠点であることに変わりはない。拉致問題が一日も早く解決し、この問題による日朝間の「とげ」が消えることを願う。