[朝鮮会館課税]「『減免』を違法とした妥当な判決」 | trycomp2のブログ
正当な理由もないのに、自治体が特定の者に税金をまけてやるのは違法――。福岡高裁の判断は、公平性を大原則とする課税の趣旨から見ても、至極当然のものと言えよう。
熊本市の在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の関連施設「熊本朝鮮会館」をめぐり、市が固定資産税などを減免したのは違法と、北朝鮮による拉致被害者の支援団体幹部が訴えていた。
地方税法は、天災被害や貧困など特別の事情がある者に限り、自治体の条例に沿って固定資産税の減免が受けられる、と規定している。
熊本の市税条例は「公益のために直接専用する固定資産」を減免対象に含め、具体例として公民館類似施設、消防団施設などを挙げている。
裁判では、朝鮮会館が、公民館のような公益性の高い施設に該当するかどうかが最大の争点となった。
1審・熊本地裁は、公益性を認めて原告の請求を退けた。「会館の設備や利用実態などからみて、公民館類似施設にあたる」という理由だった。
逆の判断を導き出したのが、高裁判決だ。公益性について、三つの観点から検討を加えていることが注目される。
第一に、朝鮮会館の所有者はだれか。会館の所有だけを目的に設立された、活動実態のない会社である。減免理由となる「特別な事情」もなければ、公益目的で専用しているとも認められないから減免は違法だ、と早々に結論に至る。
第二に、ここで言う「公益」とは何か。高裁は「わが国社会一般の利益」との解釈を示し、朝鮮総連の活動に、そうした公益性があるかを検討した。判決は明確に否定する。「北朝鮮と一体の関係にあって、北朝鮮の国益や在日朝鮮人の私的権利擁護のために活動している」
最後に、利用実態はどうか。高裁は1審とは逆に、「公益のため利用された形跡が全く認められない」などとした。
総務省の調査では、昨年1月の時点で朝鮮総連の中央・地方本部などのある49自治体のうち、少なくとも30市が税の全額や一部を免除していた。そこでも、減免理由の多くは「公益性」だという。
所有者や利用実態などは、施設ごとに違うだろう。だが、公益性の観点から、初めて高裁が明確な判断基準を示した意義は小さくない。あいまいな裁量で減免措置を続けている自治体は、ただちに見直しの検討を始めるべきだ。
朝鮮総連側は東京、大阪などの地方裁判所で、自治体相手に減免を求める訴訟を起こしている。こちらの行方にも、高裁判決は影響を及ぼすだろう。
(2006年2月4日1時44分 読売新聞)
2月4日付・読売社説(1) : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
