コラムなタイム -24ページ目

本との気持ち77


「辞書と頭は使いよう」ダイソー文庫5
(大創産業・105円)

 「100均の名著」第2弾。「電子辞書から百科事典までを使いこなす知的武装術」というサブタイトルが付いている。国語辞典、英語辞典を始め百科事典など様々な辞書の意外な使い方、活かし方、選び方などの知恵が222ページに9章にわたって100以上も紹介されていて、辞書は意味や読み方を引くだけでなく、使い方次第でいろいろと役に立つ便利な書物だということをこの本は教えてくれる。といっても全てがすぐに役立つというわけではないが、コラムを読むような気軽な気分で読む楽しさを味わうこともできる。日常から実践を積めば「知的武装」にもなりそうだ。
 さて、自分がなるほど実践してみたいと思った「武装術」を拾ってみることとする。それらは新しい発見でもあった。
 まず買う時の注意点として、選ぶのに迷ったら付録の充実度で決めるという手がある。特に古語辞典は付録の充実度で決めると時代考証などの知識が身につく。類語辞典や反対語辞典も表現力を身につけるのに意外と重宝する。そして、よく使う辞書は同じものを二冊買って会社と家の両方に置くと結構フットワークの効いた仕事ができるだろう。買ったらケースは外して、机には左前方に目線より低い位置に積み、重ねないで立てて置くと手に取りやすい。引き方では、国語辞典なら読めない漢字は音読みよりも訓読みで引いた方が早く分かるという。英和辞典なら、分からない単語はいきなり英和でなく中学校レベルの英英辞典を使った方が英語の勉強になり、英作文では小中学生の辞書を使った方が文例や文法上の注意もあり、やさしく分かりやすい表現ができる、等々。
 一方、百科事典にもまた便利な使い方がたくさんある。映画や演劇、美術などの鑑賞の時には予備知識として使うと楽しいし、結婚式などの挨拶やスピーチの時にも頼りになる。例えば、新婚夫婦の出身地について話す時に「山形県は母なる最上川が流れ、優美な京文化が伝わる紅花の里であります」というぐあいに、話す内容を豊かにすることができる。また気のきいた贈り物や引き出物にするのも良い。百科事典は、外国ではどこの家庭でも日常的に使われていて、嫁入り道具の一つにもなっているというくらいだ。
 さらに、百科事典は読み物として読んでも面白い。かのホリエモン君は拘置所で百科事典を読んでいたとか。孤独な彼の唯一の知的ブレーンだったのかもしれない。デートの待ち時間に読むのもいいかも。すぐに彼女に知識のあるところを聞かせられるし…。
 ところで、辞書と辞典ってどう違うのだろうか。徳富蘇峰や湯川秀樹はトイレで読んでいたなんてエピソードもたくさん紹介されいていて、とにかくこの真っ赤な本、頭の中が火傷するくらい面白い。そこで読んですぐにしたことは、それまでの広辞苑の付箋の箇所を開いて、一つずつノートに書き出して自分特製の辞書を作ったこと。できあがって、さっそく次なる新たな再スタートをした。来年には自家製の辞書がまた1冊完成していることだろう。

$コラムなタイム-辞書と頭は使いよう

本との気持ち76

「英語上達のカンどころ」ダイソー文庫シリーズ10
(大創産業・105円)



 サブタイトルに「十年間ムダをしたと後悔している人のために」とあり、まるで自分のためだけにあった本を見つけたような感動をもって手に入れた。所は100均の店。210ページの中味は値段の十倍以上の価値があった。

 目次を見ると、英語上達をめざす「話す力」と「聴く力」を身につけるための2章からなり、それぞれ「こうすれば簡単にできるようになる」という「カンどころ」の見出しが92ものずらっと並んでいる。

 第1章の「話す力」では、例えば「物理は好きな学科の一つです」と言いたい時のI like physics,which is one of my favorite subject.を、思い切り2つの英文にして
I like physics.It is one of my favorite subject.と、関係詞を無理して使わないで簡単に話せるようにするなど、例文がたくさん紹介されている。英語は結論から先に述べるので、前から短いセンテンスに刻んで理解していくといいというわけだ。
またPhysics is my favorite subject.と一つにして言うこともできてしまう。
 その他、否定文を肯定文にしたり、文法や字句にとらわれず易しく考え直して簡単な表現に置き換えるなど多くの「カンどころ」を教授してくれている。

 一方の第2章「聴く力」でも「カンどころ」がたくさん網羅されている。英語の勉強法のヒントにもなるからぜひ実践してみたい。話す場合と同じように、聴く場合も英語は強調したいことから先に話すので、話し始めの頭からセンテンスごとにしっかり聴く。日本語に訳そうとすると追いつけなくなるので、英語のままでほとんど聞き流していくように最後まで聴き取る。意味の分かる英語がいくつかあればそれでいい。その分だけで理解する慣れを何度もやって身に付けてゆく。また聴き方の勉強法として、聴きながら書き出してゆく方法がある。これも分からないのは飛ばして、重ねて聴けば概ね聴いて書き出すことができるようになる。辞書の使い方や英字新聞の読み方など普段から日課にして勉強できる方法も紹介してくれている。
 「カンどころ」さえつかめば「簡単にできるようになる」とはいうものの、人のレベルによってかなり違ってくるだろうけれど、本書には日常の中で身に付きそうなアイデアや発見が嬉しいくらいたくさん盛り込まれている。エピソードや参考文献なども所々にちりばめられ、エッセイ集のように楽しく読むことができるので気軽に読み始めてほしい。生きた英語に近づくコツがつかめる日もそう遠くないかもしれない。「100均の名著」にしたい。

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本との気持ち75

「仕事に効く『断捨離』」やました ひでこ
(角川SSC新書・819円)

 読んだ動機はやはり「断捨離」を実行したかったからだ。読み終わってさっそく実行、書棚と引き出しの中の物を思い切り整理処分する準備に取りかかった。「断捨離、断捨離」と呪文のようにつぶやきながら、よく体が動いた。思いなしか片付いた部屋を見まわしホッとした。しかしそれもつかの間、忘れていたアマゾンがまた届いた。
 「断捨離」という言葉、初め新語かと思っていたらヨガの“行法哲学”だというのだ。“断行”、“捨行”、“離行”の頭の文字を取ったもので、なるほど著者はヨガ道場に通っていたことがあってこの言葉に出会ったという。現在は世界でただ一人の「クラターコンサルタント」である。そのクラターを検索してみたところ、一番に彼女のHPが立ち上がって「ガラクタを片付ける」という意味で、片付かないで困っている人にアドバイスするプロということらしい。
 さて、断捨離というのは、困ったらまず軸足を変えて断ち、捨て、離れる。すると、そこから新しい自分が見えて来る。そんな自分にチャレンジして生まれ変わりなさいという意味。本書は「仕事に効く」ことをテーマにしているのでもっとも効果が期待できるのではと思い読んだ。結果は冒頭の通りである。
 では、どうすれば断捨離に成功できるのか。その手法は3つに取捨選択して分けることから始め全体的に俯瞰してみる。そして優先順位を決め段取りを付ける。あとは自信を持って取り組めば精度が上がり達成できるということだが、要はいかにモチベーションを維持して取り組むかが問われるというわけ。こう書くと、いろんなスキル本と同じようで、最後は決意・決断と実行力の程がその結果を決めることになり、結構難しそうに思えてならない。
 そこで、本や文具を整理していて一つ実践してみた。本書に従って3つの基準・ルールを作った。
  (1)1年以上手にしなかった物は捨てる。
  (2)3ヶ月に1度程度は手にした物はしまっておく。
  (3)毎月手にした物は見える場所に置いておく。
すると、断捨離するのは(1)だけで何となくできそうな気がした。その気づきが大事だという。断捨離という言葉にあまりストイックにならないことが成功の秘訣のようだ。片付けようとしている物が自分にとって“信頼の象徴”であるか、それとも“不信の象徴”であるか、それを見極めてほしいと著者はアドバイスしている。
 最後の決断力でいえば、よく本に附箋をしておくことがあるが、テイル・ドーテンの『仕事は楽しいかね?』にもあるように、あれは永遠に一時的なもので二度と目にすることがないに等しい行為の結果だということは誠に的を得ている。ばっさり捨てる勇気が必要であることもまた同じで、覚悟の程がその人の人格にも通じるのかもしれない。流儀とか品格とか生き方が問われる昨今、読んでおいて損のない一冊であることには変わりないであろう。強いて言えば、著者の女性の優しさゆえに今ひとつ毒がほしかった。

仕事に効く「断捨離」 角川SSC新書 (角川SSC新書)/やましたひでこ

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