色鮮やかに

落ちていく硝子玉

弾きだした

計算式すら遠い

何度も繰り返した

言葉も色付いた

それは愛なんですと

言えば安くなる気がした


音が襲いかかる

気付いてほしいと

零れた呼吸を

君に投げ渡す

呼んで欲しい名前は

距離に泣いた

両手じゃ届かない

音に乗せた意味も

悲しく飽和した


硝子に映るのは

君が移る息の音

鼓動が奏でるのは

僕が望んだ名前




愛してるよ

もう迷わない様に

君の理由を包んで

震わせた喉を

淡く抱きしめて

落ちていく硝子玉は

弾けて足元に転がる


拾い上げた君の両手に

優しくキスするように


仰ぐ様に腕を伸ばす

この空が映す僕は

何処までも果てしない

少しだけ音を立てて

広がる様に背中を押した

君の声を重ね合わせる

涙の跡を辿ってみれば

忘れる事の出来ない

あの時の、温度


木漏れ日は穏やかに

優しく降り注ぐ

拭った目元の嘘を

乾かす様に風は撫ぜる

変わっていく時の中で

君は笑っていた

分かってるよ、

変わらない僕の心の中で

君は確かに息衝いている


全ての色彩が包む

この絵画の世界で君は

腕を振り上げては

緩慢な動作で力を抜く

白く変わっていくそれは

眩いまでの光を放つ

綺麗なままで筆を動かす

指先は繊細に描き始めた


僕の元へ、帰ってくればいい

この両手が出来る全てが

君に与える事が出来たら

きっとこの世界は色付く


この手の中で、

君が笑ってくれるなら


上擦る声を引き摺る

眩しいだけの太陽は

見下ろす紅の街角

真白な月さえも

淡く色付いていた


人差し指差し出して

止まる揚羽蝶には

誰も気付きやしない

溜まる言葉の上に

均衡を保つ水面下

限りある命の意味さえも

染み付いた匂いに紛れる

甲高い金切り声は

僕の後ろを突き刺して

割れた雲間を眺める


もう言わないよ

戻らないから

心配しないで

滲んだ端の方を

指で摘んで弾く

似た様な思いが

鈴を転がす様に笑う


越えられればいいと思う

喉の奥で止まったままの

引き出せない感情も

君が知っていてくれるなら

あの時の揚羽蝶の行方も

僕が知るところではないから


簡単なお別れで

この手を離そうか

小さな声で繰り返す

秘密話の向こう側

幽かに揺れる水面も

僕を送る様に漣穿つ

足首に触れる温度は

少しだけ哀愁を撫ぜて


綺麗な夜に落ちていく

色を失う空の中で


僕は君を失う。


口元隠す

込めた力は嘘吐いた

叫んだのは

君の為だなんて

そんなわけないよ、


届かないまま

墜落した感情も

向こうを覗いた


許せないのは

癒えない傷

零した言葉も

報われないのに

終わってしまえばいい

知らないまま

無知を吐き出す前に

僕の知らないことが全て

許される前に

枷を外す前に殺して

どうせ伝わらないなら

知らないと嘘吐いて


見えていたのは

全部偶像で

描いたままの君は

喉の奥で溶けた


「僕が、僕を。」


エフェクトばかりで

本音を隠した裏の僕

意味を持たないなら

最初から存在しない


入れ物は、君しかないよ

言葉も選べずに

行き先は一つだけなんだ


「ぼくが、ぼくを。」

その先に突き立てて

痛みを感じる前に

噛み千切ってしまって

笑った君の瞳は


僕を殺めた


月の眼開いた

染まる爪の先で

弾く様に叫ぶ

伝わらないのは

僕が言えないから


落ちた言葉

知ってたんだよ

開かない嘘は

掌で固まって

痛みを伴う

喉に刺さったまま

折れる様に

突っ立っている


俯くのは逃げで

浮かんだまま

君の言葉を信じた

伝わらなくていいよ

君さえいれば

それで良かったんだ


夜に広げた

紙飛行機は悲しく

嘆きを繋いだ

両の手には

君を弔うことは出来ないよ


いってしまったから

もう伝えられないよ

それでも僕は

君だけがいいのに