TRIANGLE -16ページ目
最後をなぞる
視線が追いかけるのは
何時しか遠ざかった背中で
終わりは黄昏に抱く
白く浮かび上がった
血の気の失せた表情の裏
揺れ動いた感情の先で
貴方が囁いていた
未来は何処にもない
何秒先だという嘘も
全部並べてしまえば
大差ない夢物語の残滓で
終焉を運んで
その幕引きに指をかけた
鳴り響くアンコールと
破裂音の雑音に
僕は諦めたように目を伏せて
愛を語るには近すぎた
その唇に紅を引いた
最後が辿る
まるで救いがない様だ
それだって良かった
望んだのは何時だって
忘れてしまった
その表情一つでいいのに
貴方が引き摺ったのは
伝え損ねたエンドロールだった
垂らした雫に
忘れてしまった
どれだけの愛で
貴方の事を憂えば
全てを許されるのだろう
それは優しさに
愛しさに満ちて
真綿に染み込ませた
夢や希望など
嘘に隠れて
もう伏せてしまった
貴方の未来を
足踏みしてまで
進む秒針の音を
どれだけ願い続けたか
きっとこの世界は
誰も望んじゃいない
人々の未来の話など
一つも関係なくて
また一つ忘れていく
合わせた両手の意味を
抱きしめた腕の意味を
もう誰も思い出せなくて
苦しみで溢れていく
その心の先じゃ
もう目を開いたって
遅いんだよ
その瞳が逸らした
未来が零した涙に
何の意味も無くなる日に
貴方は愛を語るのだろうけど
正義を模したグラスを傾ける
飲み干した懺悔と罪悪感は
刺激的な愛を象る
それが正しいさ!
零しもしない涙なら
誰だって一緒じゃないか
僕に突き立てたナイフだけで
生き残るぐらいなら
拡声器の中で溺れた声で
本意は一体何処に在るのか
そんなマジックを重ねて
指差した言葉の位置に
察しているんだろうって
理屈の上で胡坐をかいて
当てない理想郷を覗いた
正義のグラスが溢れだす
伝う滴の行き先なら
誰よりも君が分かっているだろう
表面だけの愛情を選んで
薄ら冷えていく感情に
何重にも重ねた思い出を
さぁ!飲み干せ!
理屈に跪いた
偏屈を探り当てればいいさ!
苦し紛れの言葉で
君を傷付けた
離しきれない
そんな優しさで
そんな目で見ないで
瞳伏せてまで
君を殺めるには
あまりに近すぎた
遠ざける為の掌は
君には届かないように
知らないでほしいと
願うための両手は
何時しか君を忘れた
意味がないんだろう?
理由がないふりをして
全部上から重ねた
そんな笑い方で
泣く様な事があるなら
もう僕は、知らないと
枯れていく言葉を
君が只管嗄らして
浮かべた表情の中
微かに覗いた傷が
僕らの距離になる
瞳に溢れた希望から
零れ出す死骸を
抱きしめる程の最愛を
君は知らないだろう
僕が選んだ最善が
君が忘れたい絶望なら
どれだけの幸せを渡せただろう
それでも僕は知らないまま
君の幸せの上を歩き続ける
それが幸せであるように
それが最愛であるように
君が先を歩く
その線路の上を
草木が横たわる
砕けた夢の欠片が
アスファルトに転がって
笑っておくれよ
正しかったんだって
そう言っておくれよ
君さえ正しければ
僕はもうそれでいいんだ
もう誰も見てはいない
映画のエンドロールみたいに
僕は舞台から降りていく
君の視線を背中に感じながら
僕は笑いながら
独り幕を下ろすんだ
泣かなくてもいいのさ
そんなもの必要ない
例え遠くに行ったって
君が此処に在るのなら
たった一つ、それだけで
僕はわらってみせるよ
正しかったんだって
僕だけでも言ってみせよう
答えなんて必要ない
夢の続きはこの線路の向こうで
僕の途切れた世界の続きを
君が零した涙の上で
君が笑っていられるよう
願いなんてちっぽけなものだ
そう言って目を伏せた
道標は優しく足元に散らばる
正しさの答えなんて
何処にもないのだから
君がこれから先も在る様
ただそれだけが幸せで在る様
君だけが君の正しさで在る様
ただ僕は、願うんだ

