もういないなら

君がいないなら

僕のこの言葉も

声も全部

意味なんかないんだ


明日の事も

昨日の事も

忘れてしまった様に

置いてきた様に

一人立ち竦む

道の上で泣いてる

僕の掌は

冷たくなった


後悔ばかりで

戻れないのが

悔しくて蹲る

それだけで僕は

歩けなくなって

弱くなっていく

結ばれない音が

静かに落ちていく

紡がれた言葉も

もう意味がない


不安が心に満ちて

その瞳を覗いても

もう何一つ分かりはしない

ただ立ち竦んで

動けない僕を

遠くで笑う

君がいただけだった


それもなくなって

何もなくなって

僕もいなくなって

ただそこにあるだけの

現実が小さくしぼんで

笑えなくなる

泣けなくなる

だけどそれはもう

残された世界の全て


僕が選んだ世界なんだ


嘘みたいな事と

足並み揃えた不幸ばかり

満たされていく戯言

流されていく絵空事


きっと一人ぼっちだから

寂しがりを殺して

繋いだ其れは本当に掌だったか

思い出せない事は

嘘みたいな日常に埋もれて

その瞳は光を失った

太陽なんて最初から

それは夢だったのだと


眩む様な証明と

ステンドグラス越しの祈り

膝をついた少女は

その血の中に蹲って

許しを請う様に

両手を組んでいたり

そんな世界の中で

僕が零した一言は

どれだけの価値を持つのだろう


笑えない冗談と

君が握り潰した答え

舞台の上じゃ

ささやかな明かりで

足元狂う様な踊りと

君が忘れたままの人生論


それでも僕が望んだのは

きっと不幸せな中に潜む

確かなもので


それでいいんだろうと

どれだけ言い聞かせても

不幸せに変わりはなくて

振り向いた先は

何も変わらずに同じ景色

開いた口も

放つ音はいつも同じ

幸せなんて

そんなものだと


歩き出して落ちた

煌びやかに鏤めた

光だって暗く滲んで

淀んだままで思い出す

世界の中で溺れた

僕が受け入れたのは

そんな単純な事で


嘘みたいな世界が

嘘みたいな僕が

きっと此処で生きる事


それが答えだ


塞いだ耳の奥から


騒いで狂う薇と


嘘吐きと叫んだ歯車


埃被って錆付いたまま


軋んで歩き出せないよ


傷付いた片足じゃ


何処にも行けやしないけど




誰の為でもなく


その色を失って


だけど思う事も


今じゃ遠くに感じた


滲んだ音の隙間も


感覚が歪んでいくんだ


大きく笑えない


誇りだけの歌なんて


誰も聞きやしないよ




僕が選んだ


その全てが間違いだとして


それをどうすればいいのか


分かりやしないけど


変わりはしない事が


増えていくんだ




機械仕掛けの世界で


君がまた耳を塞いで


僕を拒むだけで


置いてった


悲しそうな


誰かの笑顔と


僕の心が


静かに離されて


俯いたまま


その背中を撫ぜる




「どうしてだろうね」


「幸せな筈なのに、」


「幸せなのに」




飛び出した足のまま


二人に触れて


もう忘れてしまって


それでも語る世界が


美しいままであるように




その手を離して


その指が離れて


僕が笑う


君が笑う


泣いたその顔で


見送ってほしいと


語る唇に


乗せられた音は


懐かしい世界の想い出




美しいまま


綺麗なまま


今日を終えて


明日をまた迎えて


何も見えなくなっても


確かに此処に在ったって


そう言えるように。




僕の幸せが


此処に、確かに存在したって、


そう言える様に。


声を出して


隠して、


僕が残った


蒼穹の空


置いてけぼり


涙だけが


静かに浮つく


触れるたび


溶けてしまう


真白の世界


「其れが答えだろう」


遠くの言葉が


夢にしがみ付く


消えたままの


その全てが


爪先で弾いた


弦に伝わせる


音。


泣いたりはしない


其れでいいんだろう?


この思いだけが


言葉に成るのなら


虚ろに開かれた


その答えを


空に隠して


仰ぎ見た世界


僕は、


歩き始める。