TRIANGLE -112ページ目
もういないなら
君がいないなら
僕のこの言葉も
声も全部
意味なんかないんだ
明日の事も
昨日の事も
忘れてしまった様に
置いてきた様に
一人立ち竦む
道の上で泣いてる
僕の掌は
冷たくなった
後悔ばかりで
戻れないのが
悔しくて蹲る
それだけで僕は
歩けなくなって
弱くなっていく
結ばれない音が
静かに落ちていく
紡がれた言葉も
もう意味がない
不安が心に満ちて
その瞳を覗いても
もう何一つ分かりはしない
ただ立ち竦んで
動けない僕を
遠くで笑う
君がいただけだった
それもなくなって
何もなくなって
僕もいなくなって
ただそこにあるだけの
現実が小さくしぼんで
笑えなくなる
泣けなくなる
だけどそれはもう
残された世界の全て
僕が選んだ世界なんだ
嘘みたいな事と
足並み揃えた不幸ばかり
満たされていく戯言
流されていく絵空事
きっと一人ぼっちだから
寂しがりを殺して
繋いだ其れは本当に掌だったか
思い出せない事は
嘘みたいな日常に埋もれて
その瞳は光を失った
太陽なんて最初から
それは夢だったのだと
眩む様な証明と
ステンドグラス越しの祈り
膝をついた少女は
その血の中に蹲って
許しを請う様に
両手を組んでいたり
そんな世界の中で
僕が零した一言は
どれだけの価値を持つのだろう
笑えない冗談と
君が握り潰した答え
舞台の上じゃ
ささやかな明かりで
足元狂う様な踊りと
君が忘れたままの人生論
それでも僕が望んだのは
きっと不幸せな中に潜む
確かなもので
それでいいんだろうと
どれだけ言い聞かせても
不幸せに変わりはなくて
振り向いた先は
何も変わらずに同じ景色
開いた口も
放つ音はいつも同じ
幸せなんて
そんなものだと
歩き出して落ちた
煌びやかに鏤めた
光だって暗く滲んで
淀んだままで思い出す
世界の中で溺れた
僕が受け入れたのは
そんな単純な事で
嘘みたいな世界が
嘘みたいな僕が
きっと此処で生きる事
それが答えだ
塞いだ耳の奥から
騒いで狂う薇と
嘘吐きと叫んだ歯車
埃被って錆付いたまま
軋んで歩き出せないよ
傷付いた片足じゃ
何処にも行けやしないけど
誰の為でもなく
その色を失って
だけど思う事も
今じゃ遠くに感じた
滲んだ音の隙間も
感覚が歪んでいくんだ
大きく笑えない
誇りだけの歌なんて
誰も聞きやしないよ
僕が選んだ
その全てが間違いだとして
それをどうすればいいのか
分かりやしないけど
変わりはしない事が
増えていくんだ
機械仕掛けの世界で
君がまた耳を塞いで
僕を拒むだけで
置いてった
悲しそうな
誰かの笑顔と
僕の心が
静かに離されて
俯いたまま
その背中を撫ぜる
「どうしてだろうね」
「幸せな筈なのに、」
「幸せなのに」
飛び出した足のまま
二人に触れて
もう忘れてしまって
それでも語る世界が
美しいままであるように
その手を離して
その指が離れて
僕が笑う
君が笑う
泣いたその顔で
見送ってほしいと
語る唇に
乗せられた音は
懐かしい世界の想い出
美しいまま
綺麗なまま
今日を終えて
明日をまた迎えて
何も見えなくなっても
確かに此処に在ったって
そう言えるように。
僕の幸せが
此処に、確かに存在したって、
そう言える様に。
声を出して
隠して、
僕が残った
蒼穹の空
置いてけぼり
涙だけが
静かに浮つく
触れるたび
溶けてしまう
真白の世界
「其れが答えだろう」
遠くの言葉が
夢にしがみ付く
消えたままの
その全てが
爪先で弾いた
弦に伝わせる
音。
泣いたりはしない
其れでいいんだろう?
この思いだけが
言葉に成るのなら
虚ろに開かれた
その答えを
空に隠して
仰ぎ見た世界
僕は、
歩き始める。

