TRIANGLE -104ページ目
悲しみを両手で救う
誰にも返せない
答えなど誰も知らない
その眼を
静かに潰す
見えない世界など
何の意味もない
問うべき問答すらも
すでに皆無なのに
何を求める
痛みだけが残って
染み付いた匂いと
切望した命の香り
この足が踏み潰す
希望すらも
その瞳には映らない
絶望だけが犇めく
喉を掻き毟る
背の荷に押し潰される
言葉など誰も持たない
救われずに
掻き消された呼吸音
この両手の上で昇華する
問うべきは重さなのか
それとも存在意義なのか
分かっている事も
言わなければただの空気
無干渉の傷口と
癒える筈のない感傷と
薄れない絶望に
忘れた記憶を並べて
ただ静かに悲しみだけ
この手に掴んで
何も言わない
言える筈のない言葉を
引き摺る様に笑う
その歪んだ笑みにすら
慣れる事はなくて
そのくせ怖がるのは
全ての最初の話
悲しみが生きる為に息衝いて
忘れた筈の涙を流して
許す事を許して
救われない悲しみを生かした
それが答えではない事は
気付いてはいたけれど
気付いた事も
全部飲み込んで
指先から零した感情
知らないふりを続ける
静かに溺れてしまって
僕はそれに触れない様に
望まない様に
息をする事も忘れて
叫んではその手を離す
もう、見ないでいてよ
叶えたい事は
何も残したくないのに
裾を掴んで
見下ろした君の事を
失くしてしまいたかった
この命が語る言葉が
全て意味を持つのならば
僕は知らないでいたかった
愛する事も愛される事も
染まってしまう世界が
あまりに鮮やかに視界を刺す
差し出された両手も
抱きしめた身体ごと
何も返したくはなかった
苦しいのも受け入れて
終わらせられたら
どうしてか傷口に触れて
砕いてまで僕を殺して
零した涙ですらも
悲しみくれたまま
もう何も返せないよ
だから残したくはないのに
愛した事も
抱きしめた事も
握りしめた事も
混ざり合うノイズの中で
生きてと望む声に泣いた
もう許してほしいだなんて
二度と言えないのに
言葉が詰まって
何も言えなくて
どうしようもなくて
泣きたくなって
そして今度は
静かに息詰まった
付いてきた言葉が
吐いてきた言葉が
責める様に積もり始めて
罪悪感を問われる
倫理観すらも全部
飲み込んでしまった
渡す事はもうないだろうね、
綺麗なものだって
それで結局終わりだ
汚い色したそれだって、
同じ様なもので
似たり寄ったりの僕たちが
街の外のほうで騒いでる
吐き出すを諦めたのに
あげ始めた言葉なんて
何の意味もないんだよ
行き詰って
どうしようもなくて
だけどまた歩き出した
さよならの愛を語る
それだけの事を
君は馬鹿にしたような目で笑う
それなら語らないでくれよ
君の言葉なんて
何一つ伝わらないから
苛立って捨ててしまった
返らない言葉と
返さない言葉と
二つ折り重ねて
僕は涙を零すんだ
癒えないと言えなくて
美しいものを並べて
だけど今日の僕が死んだら
何の意味もないんだって
誰も知らないんだ
詰まって
積もって
忙しなくざわついた
どれだって結局
心を殺してまでの価値を
見出す事なんかないんだって
気付いてくれよ
気付いてほしいのは
何時だって僕らのほうだ
生き詰まって仕方ないから
どうにもならないって
生きる事を殺してしまった
そうなる事だって
君を愛する事だって
最後は同じなんだ
結局は同じなんだ
簡単に掴める幸せも
一つ一つ丁寧に並べて
握り潰していけば
倫理観も常識も
全部越えていける気がした
僕は嘘吐きだ
何も言ったって
信じてくれやしない
世界を敵に闘って
大声あげて喚いても
君は振り返ってくれないんだ
その喉を震わせる事も
その手を伸ばす事も
残らない温度で
漏れ出していくから
今の本当の僕が
耳を塞いで目を逸らして
優しい温度が殺していく
僕の身体の奥が
溶けて溢れるから
消してほしいのは
僕のほうなんだよ
流れ出した言葉も
芽生え始めた終わりで
もう一度甘い嘘を吐いて
おかしくなんかないよ、
きっとこれがそれなんだ。
聞いてほしい言葉も
聞いてほしい愛も
聞いてほしい歌も
何も残ってないけど
言わないでほしいから
僕はもう声をあげることを止めた
そんな言葉で死んでいく
僕の事なんか
もう別にいいんだよ
倫理観で語られた価値より
誰かに望まれた愛で
息衝いた僕を殺して
指先灯った
微笑み返す
時計の向こう側
誰かの声が
静かに落ちていく
それは幸せを語る
紫苑の空
風景に溶け込んだ
手向けの言葉を
愛の行方探しと
歩く歩幅を
翻した何時かの答え
揺らいだ声に
過ぎた日の思いと
信じていた
涙の意味を
その花弁が
愛していたのが
誰であろうとも
孤独を選ぶより
辛く重い雑踏に紛れて
最後を迎える前に
その手を伸ばして
伝えたい言葉
思い、全てを
時計の向こう側へ
手向けの愛を
消える前の声で
灯る言葉の理由を
愛を語る
心の全てを

