TRIANGLE -10ページ目
激情に心を委ねても
何一つ救われやしない
変えれない感情は
悲しみ一つ乗り越えられないで
黒く塗りつぶした胸の内は
君にも伝わらないだろう
望んでいた物も
目を開けてみれば
全部溶けてしまって
泡沫の夢だなんて
それなら夢をすらも見せないで
形ある造形に
心を壊される前に
憎しみなんて知りたくなかった
心一つで君を殺せる
永遠なんて今の僕には
必要なんてないんだ
それで救われたなんて
どうして思える
僕は帰れない
変えれない世界の上で
立ち竦んで動けないで
笑われていたって
意味がなければ
感情は動かないんだよ
君の声は何処に落ちる?
僕の心は何処に落ちる?
其処は救われるか?
底は救われるか?
それならいっそ殺してくれよ
僕が僕であるうちに
僕が僕でなくなる前に
眼から溶け出す
淡い雫が
少しずつ冷えていく
何を得られたのか
何を求めたのか
それすらも
あやふやになって
千切れた言葉は
継ぎはぎだらけで
曖昧な感情ほど
遠くに弾き出す
優しいだろう
そんな世界を
何時だって夢見て
紛れ途切れ続く
この足音は
望みを選んで
ぬかるんでは
足を取られる
それでも只管に
前だけを見ていても
枯れた声は
喉を引き裂いて
感情のままに
言葉を吐き出す
冷たく尖る
穿った言葉は
心に柔く突き刺さって
幼い孤独は
柔らかな死に包まれて
このまま消えてしまっても
何一つ変わらないさ
この二つの硝子玉も
小さく灯る沫光も
きっと、変わらないさ
そうやって笑って
それでも眼が
映す世界の色彩を
僕は知らないままだろう
優しい世界は
僕にはあまりに脆く
愛おしいだけの
夢に過ぎないから
左手で捲る夕暮れのページに
僕は溶け出した茜を見つけた
いっそ愛しさすら浮かぶ
そんな心根の輝きを思い出した
瞬き毎に変わっていく景色と
鍵かけたまま開かない宝箱
ずっと胸の奥に仕舞ったままの
蔦塗れになった教会に
僕は何時だって心を置いてきた
傷付くだけの思い出は
最早僕だけの記憶で
変わりたくはなかった
それでも変わってしまった
色彩の奥底で眠る君の微笑みは
何時だって色鮮やかなのに
白紙のまま進まない
その本の最後に目蓋を下ろす
今ですら、それが正しいのか
忘れないまま心に残る
罅割れた日常が正しいのか
分かりはしないまま
あの街の中で君が笑う
鍵の在り処は瞬き一つで消えてしまう
二度と手には出来ない泡沫に
僕は知らず笑ってしまうんだ
たった一言
それだけは言えないまま。
目を抉じ開けて
真正面に見えた物
その全てが正しくあろうと
僕に牙を剥いたとして
その首筋に当てた刃を
振り上げたこの腕は悪魔か?
誰かの優しさを踏みつけて
飛びあがるだけの力を
抱きしめるだけなんて
出来るわけないだろう?
どれだけの正しさと間違いの
上っ面を僕らは歩き続けて
骸の上で遊び呆ける
そんな残酷な世界を
君は許しとして扱うのか?
矛盾の間を走り抜ける
跳ね上がる雫と血と涙の隙間を
どれだけの悲しみで埋めて
憎悪に塗れた怒りを
綺麗事で済ませられるか?
どれだって残酷さ
振り上げた刃のあっち側で
銃口がこちらを向いていたとして
君はそれさえ正義というだろう?
何が変わらない?
どう違うというのか?
分かる様に口に出して
教えてくれよ
そんなわけないだろう
どれだけの権利と義務を経て
君は神に成り上がる?
口先だけの神様なら
誰も望んじゃいないのさ
正義も悪も矛盾さえも
その腕一つで抱えて
笑って見せてくれよ!
貴方を失った僕が
立ち上がるまでの力を
両手に抱えてまで
口にする事すら憚れた
痛みを伴う叫びを
ただ只管に見つめ続けた
正しさを疑って
貴方の喉元に突き付けた
言葉の刃なんて呑み込んで
動けないのはどっちだった?
気付かないまま踏み付けて
足裏を傷付けてまで
歩き続ける理由は何だった?
羽をもがれ堕ちていく
その目蓋の奥で
何を思う事を赦された?
貴方が押しつけた感情を
僕は何時だって傷口に塗りつけて
そう笑っていたんだ
泣き笑いのままで
合う事のない視線を追いかけて
伸ばした掌を振り払う
いつだってそうだった
貴方ばかり先を行って
僕が動き始めた時は
何時だって貴方はいない
それが、正しいと言う様に
気付けば痛みしか残らず
苦しみに息を詰めて
歩き出すにはどれだけの
時間や感情があればいい?
込めた力の行き先を
きっと僕は知らないままさ
ずっと引き攣ったまま
願う事も出来ないままの
思いが口から漏れ出して
それでいいんだよだなんて
笑わないおくれよ
貴方の事なんて
忘れてしまった方が
きっと楽なのに。

