TRIANGLE -11ページ目
向かい合った自分自身に
かける言葉も見付からず
散らかったままの感情は
不自由な心を持てあました
悲しくは無い
自分の事を
愛する事はない
寂しくは無い。
寂しさなどは
とうの昔に殺した
夢の続きは
烏に食われて死んだ
信じる事も
前を向く事も
寄せた掌も
真直ぐな視線も
まるで理想を描いた
そんな地獄絵図だ
焼け付く様な痛みも
死んでいく温度も
全部胸の内だけで
眼に映る絶望は
確かに見慣れた暗闇で
愛しと泣いた嘯きも
吐き出した毒素の様に
白鳥は、烏に食われた
血肉も心も全て
鳴き出す烏の腸に
虚ろに隠した声の在り処を
此処に在った筈の
心の臓を探し続けて
声が、遠く
小さく俯く
瞬きを
夢を
覗き見る
煌めくように
駆けていく
空は
鮮やかに映る
寂しさは
何処にもないさ
まるで
まるで恋の様な
綺麗な様相で
涙の先で
濡れた双眸を
きっと
愛しいと
そう思う
悲しい言葉だけを
並べ落ちる瞳の影を
踏み締め感じた
そこに在った筈の時間を
僕はきっと忘れてしまった
どれだけの憂いを呑み込めば
僕は前に進めるだろうか
その胸に抱えた淀みも
つっかえたままの感情も
きっと綺麗じゃない事も
一つとして取りこぼさないで
意味もないままに開いた
口の奥に覗いたモノを
目を逸らさずにいられたら
塞いだまま知らないと
そう言える幸せに
僕は不幸を覗き見たから
どれこれそれと並べて
選んだ事を誰も知らないさ
悲しみに満ちている
その瞳から零れた雫に
跳ね返り飛び越えた空が
花束を巻き上げて溶ける
その先の事なんて
知らない癖にさ
幸せに散っていった
不幸せな感情を
僕らは悲しみと呼んで
そしてその感情を知る事を
僕らはまた、幸せと呼ぶんだろう
足元から崩れ去る
欲に塗れた汚い其れを
僕は一つ、呑み込んだ
薄くぼやけたガラス越しの
その瞳の意味なんて
僕は知らないんだよ
知らないんだよ。
投げ出した日常が
宙に浮かんで、
それで、
それで。
踏切を飛び越えた
緩やかな風は
落ちていけと背を押す
僕はどうでもいいよ
どうなったって、
何も関係ないだろう
陣取りの様な曖昧さで
確かなものを望んでは
正当性を両手で差し出した
嘘が腕に絡み付く
離れないのは
僕は選んだからで
欲が喉を詰まらせる
膝が汚れて蹲る
漸く、だなんて
そんな簡単な言葉で、
日常が溶けていく
喉の奥で、
変わらない何かを。
隠した腕の下で
笑えない嘘を重ねる
間違いを呑み込み
その開かない
扉を想う
君は独り先行く
その足音が
途切れ途切れに離れる
追いかけるだけの力は
いつしか振り上げる腕に
何を思えば良かったのか
正しい形を知りたくて
握った指先を
僕は解けやしなかった
君は知っていたんだろう
その瞳の奥の絶望は
温い水で満たされている
閉じた心の中で
突き破れない痛みを
諦観を孕んだまま
そんな熱量で
君は愛しているだろう
笑った筈の口元に寄せた
罪の痕を抱きしめて
呼んで欲しいのは
きっと羨望の眼差しで
その心に満たされた
正しく間違いだした道を
僕は愛しているさ
君と二人で終わるなら

