左手で捲る夕暮れのページに
僕は溶け出した茜を見つけた
いっそ愛しさすら浮かぶ
そんな心根の輝きを思い出した
瞬き毎に変わっていく景色と
鍵かけたまま開かない宝箱
ずっと胸の奥に仕舞ったままの
蔦塗れになった教会に
僕は何時だって心を置いてきた
傷付くだけの思い出は
最早僕だけの記憶で
変わりたくはなかった
それでも変わってしまった
色彩の奥底で眠る君の微笑みは
何時だって色鮮やかなのに
白紙のまま進まない
その本の最後に目蓋を下ろす
今ですら、それが正しいのか
忘れないまま心に残る
罅割れた日常が正しいのか
分かりはしないまま
あの街の中で君が笑う
鍵の在り処は瞬き一つで消えてしまう
二度と手には出来ない泡沫に
僕は知らず笑ってしまうんだ
たった一言
それだけは言えないまま。