文化部活動の地域移行についての専門会議の資料が、文部科学省のページに掲載されています。
みなさんはこの問題、どう思われますか。きょうは資料を読んで、所感を書いてみたいと思います。
こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。
部活動改革
文化部活動改革については、以前に記事に書いていますのでこちらも読んでみてくださいね。
さて、今回、これに加えて文科省は、部活動の地域移行ということを言い出したわけです。
その資料は、文部科学省のこちらのページにあります。
まず、大前提として書いておかなければならないこと、それは…
決して、改悪であってはならない、ということ。
もちろんそれは、子どもたちにとって、です。
環境
読むと、当面は休日の活動を地域へ移行することを考えているようですが、
まず問題になってくるのが、そのための受け皿が地域にあるのかどうか、ということ。
中央教育審議会の答申には、『環境を整えた上で』との文言があります。
現在の状況は、『環境はほとんど整っていない』です。
検討会議の検討事項の中にも、こうあります。
受け皿となる組織・団体等を整備、拡充し、またそれらの組織・団体等が安定的、継続的に運営できるようにするためには…
また、ICTなどの活用も考えているようですが、それは現状では難しいと思いますね…
(要するにオンラインレッスンなどですよね…)
お金の問題
環境の問題と相まって、お金、財政的な問題もあります。
以前、部活動改革の話の中で、部活動指導は教員の奉仕で成り立っている現状を書きました。
まずはそれを『奉仕』ではなく、ちゃんと手当が付く体制にすべきだ、と書きました。
現場の教員さんの中からも、そういう声は出ています。
ところがそれをせず、地域への移行…
そのほうがむしろ、お金はずっと多くかかるように思いますよ。
指導する人たちにも手当てが要る、会場費もかかる、そしてなにより、吹奏楽はお金がかかります。
そして少なくとも、子どもたちや家庭に、今よりも負担を増やすことになるのなら、
改悪以外の何物でもないように思います。
そのあたりを、一体どんなふうに考えているのか気になるところです。
文化部活動改革の目的
文化部活動改革の目的・目標について、こんなふうに書いてあります。
中学校等の生徒をはじめとする青少年にとってふさわしい文化芸術に親しむ環境を実現するためのものである。
また、『部活動改革の考え方』の中では、部活動の意義について、
- 学科教育とは異なる集団での活動を通じた人間形成の機会
- 多様な生徒が活躍できる場
とあります。
その退行になるのでなければいいのですが…
この文言、しっかりと目にしましたので、一体どうするつもりなのか見ていきたいと思っています。
それとも、現在の活動ではそれが実現できていない、そこに近づくためのものである、
ということなのでしょうか。
ほんとうにそうなのであれば素晴らしいですね。
学習指導要領
資料にもありますが、中学校学習指導要領のなかの『音楽』には、こんなふうに書いてあります。
少し長くなりますが、引用します。
表現および鑑賞の幅広い活動を通して,音楽的な見方・考え方を働かせ,生活や社会の中野音楽,音楽文化に関わる資質・能力を次の通り育成することを目指す。
(1)曲想と音楽の構造や背景などとの関わり及び音楽の多様性について理解するとともに,創意工夫を生かした音楽表現をするために必要な技能を身につけるようにする。
(2)音楽表現を創意工夫することや,音楽のよさや美しさを味わって聴くことができるようにする。
(3)音楽活動の楽しさを体験することを通して,音楽を愛好する心情を育むとともに,音楽に対する感性を豊かにし,音楽に親しんでいく態度を養い,豊かな情操を培う。
これはもちろん部活動のみならず、音楽の授業についてのことでもあると思いますが、
簡潔に書かれていますが、これ、とっても難しいことですよ。
教育実習のとき、指導教官の先生に、こんなふうに言われました。
「音楽って、教えることじゃないのよ」
今、ほんとうに身に沁みますね…
正解はひとつではなく、そう簡単に見つかるものではなく、また、『正解に導くもの』でもない。
理解にしても、技能にしても、それはひとりひとりみんな違うものなんですね。
音楽のよさや美しさ、感性…、それをどう感じ、育むのか、
今の学校で、果たしてそれが出来ているのか…
音楽が嫌いな子をつくったのでは、まったく逆行なわけです。
なにしろ、切り捨てではない、丸投げでもない、プラスになる改革を望みたいところです。
さて、みなさんはこの問題、どう考えられますか。