顧問CFO川井隆史のブログ -69ページ目

マツキヨの不正会計に思う

決算発表の時期ということもあり、毎日のように地味にではあり


ますが不正会計による財務諸表訂正の記事が載っています。


東芝問題で不正会計はクローズアップされましたが逆にこの


問題が大きすぎるためあまり大した話題にもならずいいチャンス


かもしれません。


以前はこのような不正があった際はその影響額を直近の財務


諸表で修正すればいいだけだったのですが、平成23年に過年度


遡及会計が導入されてからは、不正で改ざんした過去からさか


のぼってすべて財務諸表を修正して提出し直さなければなりま


せん。私も仕事としてお手伝いしたことはありますが、会社の方


々は何週間下手をすると数か月、土日もなくひたすら修正手続


きをしていてお気の毒でした。



さて、マツキヨホールディングスの報告書を読むと比較的単純な


在庫の水増しのようです。売上原価は期首在庫+期中仕入-期


末在庫ですから期末在庫を大きくすると必然的に売上原価が


減り利益がでます。ただ、当期の期末在庫は翌期には期首在


庫になりますからまた翌期も在庫を水増しして・・・とだんだん雪


だるまのように増えていく可能性があります。これを防ぐのは実


地棚卸で経理部など他部署が実際に在庫数を確認すれば水増


しはばれてしまいます。どうやらこの案件の場合、実地棚卸をこ


の子会社では行っていたのですがその結果のチェックを誰もや


っていなかったので水増しなどやりたい放題だったようです。



報告書を読むとこの子会社の規模が小さく重要性が乏しいため


内部統制の手続きを踏まなかったと記載されています。確かに


金融商品取引法上の内部統制の評価の範囲には入っていま


せんが、別にやらないことを推奨しているわけではありません。


内部統制というのは確かに緊急性が低いので見過ごされ気


味ですが問題が生じると大きな損害を会社に与えます。法令


で定められたからやるというよりも企業のリスク管理として重要


だから行うのが内部統制の手続きです。なんとなく、法令に定


められたことさえやっていればと、やたらと押印のチェックや書


類を残すばかりなどをやるような「仏作って魂入れず」の内部


統制ではなく実際のリスク管理として考えてほしいものです。

保証協会の保証引き下げについて思う




朝の日経で経済産業省が中小企業の融資が焦げ付いた場合に


国が肩代わりする信用保証制度を見直すという記事が載っていま


した。現在は原則8割負担ですが約230業種程度全額保障の業種


があります。それを業種も絞りベンチャーなど創業まもない企業を


除き5~7割に下げるようです。


中小企業庁が発表した資料を見ると昨年度で5000億円の代位弁


済をしており、これが保証料収入を上回っているので財政補てん


が数千億円の単位で発生しているようです。全額保証の際は金融


機関が業績の悪くなった先の自行貸付分を保証協会分に借り換え


させるなどの事例などのモラルハザードが発生していました。その


ため、8割負担に変えたのですがリーマンショックの結果全額負担


業種先を増やしていました。景気回復してかつ財政事業が厳しい中


、見直しが図られたのだと思われます。


中小企業庁が金融機関別代位弁済率を発表していますが、やは


り金融機関でかなり差があります。昨年度をみるとメガバンクでも


東京三菱UFJ 銀行は1.4%(不良債権比率1.16%)ですが三井住


友銀行は2.3%(不良債権比率1.08%)と大きく開きがあります。カッ


コ内は保証協会付きではない一般貸付債権の不良債権比率で


その比率は2行でほとんど変わらないですから、三井住友銀行


の場合は保証協会付きの審査は甘くなっているという見方がで


きるかもしれません。したがって、やはりこのような金融機関の


姿勢を正す意味でも保証率の引き下げはやむを得ないものと


思われます。



一方これによって中小企業は資金の借り入れで苦しまむかという


ことですが全国銀行協会参加行の預貸率は70%を割っている


状況です。どちらかというとまともな業績であれば貸したい金融


機関が多い状況です。紺状況で借り入れができない企業が退出


を図られるのはマクロ的にはやむを得ないものはあるかと思い


ます。ただし、天災などによる影響など一時的かつミクロ的な救済


は必要だと思われます。

三菱商事KFC株売却の意味



11月6日にKFCが親会社の三菱商事がKFC株を売却し、保有割合


を65.8%から37.9%に減らすと発表しました。プレスリリースでは株


式流動性を高めることによる投資家層拡大と言っていますが、その


通りではないでしょう。日本経済新聞の解説記事ではKFC側が意思


決定のスピードを高めたい意図があると述べており、三菱商事の派


遣した取締役が辞任することからもそのことが伺われます。どの程


度の意思決定まで三菱商事側が関与していたかは不明ですが外


食産業のように意思決定にスピードが要求される業態で親会社


の承認が必要ではうまくはいかないと思われます。


一方で三菱商事側も保有資産の査定を厳しくしていて利益を上


げられない資産は積極的に処分していく方向なことも挙げられる


と思われます。ここ5年間のKFCの業績の動きをみると売上は


23年3月期の888億から下がり続け26年3月期は834億まで


下がりました。27年3月期は小幅回復しましたが846億円です。


経常利益も23年3月期は37億ありましたが27年3月期は6億


まで減少しています。そしてピザハット関連で減損処理したこと


により純損失5億の赤字に転落しています。ピザハット事業の


営業損失が11億と足を引っ張っていることが業績面としては


大きいと言えるでしょう。少子高齢化でフライドチキンなどを食


べる若者の数が減る一方、ヤムレストランとのフランチャイズ契


約は日本国内のみですから三菱商事が将来性のない資産と考


えても無理はないかも知れません。私はどちらかというと三菱


商事側の意図が強かったと思いますね。


余談ですが私は幼少のころKFCが大好きでその当時住んでいた


川崎から二子玉川にできたKFCまでフライドチキンを家族で買い


に行った記憶があります。確かにあの当時の味への驚きは私の


子供などを見てもないようです。