顧問CFO川井隆史のブログ -482ページ目
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見える化を妨げる4つのポイントーつるし上げの恐怖

私も昔はサラリーマンだったので叱責されるのは嫌で褒められるのは大好きでした。ましてつるし上げられるなんて身震いがします。ある米系の会社で私はAnalysis Manager(日本企業だと経営企画部のマネジャーでしょうか?)でした。その際、会社で不良製品の問題が起きその財務上のインパクトをシニアマネージメントに説明することとなりました。若かった私は偉い人へのプレゼンということで張り切って資料を用意しましたが、結果散々でした。SVP(上級副社長)やVP(副社長)たちはその財務上のインパクトの大きさに怒り、私はA級戦犯扱いでつるしあげられました。要は私の上司や関係者はだれも猫に鈴をつけたくなかったので若くてオフィスポリティックスもわからない愚かな私に白羽の矢をたてたわけです。

 私のプレゼンの仕方というのも別途反省要因ではありますが、ここでのポイントは悪い情報をくみ上げるような仕組みができているかです。上記の例は約15年くらい前になるので、今、米系企業などの上級管理職は結構コーチングなどのトレーニングを受けこのようなことは少なくはなっているようです。ただ、人間の性質として悪い情報を聞いたとき不愉快になるのは当然ですよね。

 このあたりの解決法は後に譲るとして、次に「給料を減らされる恐怖」を挙げたいと思います。

東電の炉心溶解(メルトダウン)報告

東京電力福島原子力発電所の炉心溶解の発表は見える化を行う際の問題点を端的に表しています。人々、特に(官僚的な)大企業の方々は悪いデータは隠し、小出しにしていきます。今回も、約2か月の日が経過してからまず1号機の炉心溶解の発表をし、その後2,3号機の発表をしています。理由として詳細に分析をおこない検証を重ねたためということですが、企業経営においても悪いデータが伝わるのに時間がかかる理由としてよくあげられます。企業の経営者やこの場合日本の首相である管総理としてはいち早く悪いデータは入手して早めに対処したいはずです。なぜこんなことがおこるのでしょうか?

 残念ながら企業の体質によっては悪いニュースを伝える人間=A級戦犯となってしまうことがあげられると思われます。"Don't shoot the messenger" (直訳はメッセンジャーを狙撃するな)という言葉がありますが、悪い情報を報告した人間がつるし上げられたりすることは避けなければなりません。担当にとっては悪い情報は鮮度の悪いものを少しずつ様子を見ながら小出しにしていくと追及はうやむやになることが多く助かるわけです。

 見える化を妨げる要因その1「つるし上げの恐怖です」。私も結構かつて世界的なエクセンレントカンパニーと思われている某米国系多国籍企業勤務のころは何度か痛い目にあいました。その話はぼちぼちしていこうと思っています。

はじめまして

経営見える化コンサルタントかわいたかしです。以前はCFOという仕事(肩書はDirectorだったり、管理本部長だったりいろいろですが)をしていました。外資系はともかくとして、近年上場企業などでCFOという肩書の方は増えてきたようですが、まだまだ認知度や本来の役割はまだまだあいまいです。さまざまな役割がCFOにはありますが、私は究極的には「経営者のビジネスパートナー」だと思っています。もう少しいうと経営者(経営チーム)が重要な意思決定するにあたってサポートをする役割です。そのために「見える化」というのはもっとも重要な要素の1つです。見えない中で判断すると間違った方向にいってしまいますよね。「見える化」を妨げる要因は大きくいって2つあります。

 特に大企業に多いのは「見える化」することへの現場の不安感です。本社の何もわからない社内官僚に現場をかきまわされたくないという気持ちです。(たぶん私は大企業勤務時は社内官僚と思われていたに違いありません)中堅から中小企業に多いパターンはインフラや人材の問題でしょう。ただ、実はそんなに難しく考えることではありません。やる気になればできます。現場は(社長様は馬鹿だともっているかもしれませんが)意外に賢いのです。現在私はこのあたりのお手伝いをさせていただいております。

 今後様々な見える化やその問題点(および日々の駄文含め)記していきたいと思っています。


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