顧問CFO川井隆史のブログ -481ページ目

見える化を妨げる4つの恐怖 - 測定や報告に手間がかかる恐怖

見える化は本来、遂行することによりみんなで協力して知恵を出し合って改善する幸せを創造するツールのはずです。しかし、私を含めたフツーの人々は目先にある恐怖のほうに反応してしまいます。その恐怖その4は「測定や報告に手間がかかる恐怖」です。皆さんのまわりにもこの手の残酷物語は山積しているのではないでしょうか?

 よくあるのは、営業の見える化ということで導入されているIT日報ツールです。営業の人は顧客回りから帰ってくると7時ごろから日報作成に励みます。ただ、本人のITスキルが低いせいかやたらと時間がかかります。ようやく9時ごろ完成、ここから営業所長さんは自分の営業部員さんの日報をみてコメントを書きます。5人の営業部員さんの日報を見てコメントを記載したらそろそろ終電の時間となりました。・・・・・

 また、ある課長さんの日課は報告資料の作成と差異の原因の究明で1日終わっています。部下からはあの人は一体何をやっているのだろうと疑問の声が上がっています。部下もあれを調べろこれを調べろで仕事ができません。

  こういう怖い話を聞いているとあまりみんな前向きになりませんよね。一体何が問題なのでしょうか?

 

見える化を妨げる恐怖 -収入を減らされる恐怖

今回は収入を減らされる恐怖について話したいと思います一定規模以上の企業であればKPI(業績指標)やBSC(Balanced Score Card -平たく言うと業績指標ですがもう少しシステマティックなものです)の導入はされていたり検討されているかと思われます。

 しかし、あくまでも、ツールの主目的は「改善」にあります。継続的な改善をはかるもので、本来導入はその現場の人々の幸せをもたらすもののはずです。でも実際には、評価尺度としてムチを打つためにつかわれるケースが多々あります。そして、ひどいケースではそのツールを振り回してあれこれと口をはさむ人が増えてきて、実際その業務をやっている人よりも報告を求める相手のほうが多くなるなどという笑えない笑い話になることもあります。別に評価尺度に使うのが完全に間違いとはいいません。ただ、使い方なんですよね。

 これが、「費用削減のための成果主義」を導入している企業だと人件費削減ツールとなってしまいます。達成困難なKPIをあたえて、達成しないと賞与削減などというフローができるのだったら皆やりたくないですよね。

わかっていない人間に振り回される恐怖 -福島発電所の給水停止問題

昨日「給料が減らされる恐怖」の話をしようと思っていましたが、また見えるか化をさまたげる好例がでてきたのでそちらを話してみたいと思います。ご存じのとおり、東電の経営陣は(日経新聞によれば)官邸の空気を読んで海水の注水を中止する指令をだしました。しかし、実は所長は注水の中止をしていなかったという問題です。つまり現場の見える化はできていことが明らかになっています。

 たぶん原子力発電所の現場は(例えが適切かはわかりませんが)日露戦争、ロシア旅順要塞の203高地を攻略する兵士のような悲壮な決意で日夜取り組まれているのではないかと思われます。その中で経営陣の判断が「原発を安全に停止させる」という目的にきちんと従っているか疑わしく、政治的な動向によって本来の目的が歪められるのではないかと思えば「見える化」を妨げる現場の気持ちは理解できます。

 このように見える化を行ったことにより、現場の状況をきちんと理解していない人間により本来の達成したい目的がゆがめられる恐れがあると、現場の人々は見える化を妨げます。ある意味合理的な判断かもしれません。