顧問CFO川井隆史のブログ -71ページ目

葛西JR名誉会長の「私の履歴書」




以前、日本経済新聞の「私の履歴書」で似鳥会長の話が抜群


に面白いという話をした一方で非常に生意気ではありますが大


企業のサラリーマン社長の話はあまり面白くないというコメントを


しました。そういった意味では葛西名誉会長の話は大企業のサラ


リーマン経営者なのに画期的に面白く読ませていただきました。


特に国鉄民営化前夜の民営化に消極的な国鉄経営陣とのや


りとりは緊迫感があり、最後、民営化反対の最先鋒の縄田副


総裁とエレベーターで出会うあたりは生々しく現場感にあふれ


ていたように思います。



多分面白いと思ったのは、本流を歩いていたわけではなく国労


などの労働組合に毅然とした態度で対応する一方、民営化に


反対の上層部とも戦うというおよそサラリーマンらしからぬとこ


ろだと思います。普通の大企業であれば比較的「長いものに


は巻かれろ」タイプの方が出世する傾向が強いと思います。


ふつうは国鉄などは役所的な風土と思われますからなおさら


です。しかし、このようなタイプの方が大きく左遷されることも


なく力をふるうことができたのはやはり応援する勢力があった


からと思います。確かに国鉄時代組織で腐っていた部分も


多々あったとは思いますが、志を持った優れた人々が少なか


らずいて、その方々の努力の下現在のJRがあると感じました。



一方JRに対し、道路公団の改革は遅々として進まないし、葛西


氏のような侍が現れないのはなぜなのでしょうか?

社外取締役に著名人はNGか



米議決権助言行使会社のISSが社外取締役2人以上、グラス


ルイスが「経営経験者」が必要との立場を示したようです。


社外取締役2人についてはこの6月1日から適用されたコーポレ


ートガバナンスコードでも言及されていますので理解できます。


一方「経営経験者」は元官僚や著名人などは経営の監督や企


業戦略の決定能力を欠くので必要ということなようです。たとえ


ば、カラオケの第一興商は社外取締役に元ヤクルトの古田敦也


氏と宝塚の水夏希氏をエンターテイテントに対する広い見識という


ことで選んでいますが、経営の監督や経営戦略の決定能力と聞


かれると少し疑問が残ります。官僚経験者については少なくとも


「監督」能力はあると思いますが新たな天下りのネタになるのは


少し困りものです。トヨタとキャノンに元国税庁長官の加藤治彦氏


が就任しましたがなんとなく日本の大企業的な意思決定という感


が強いです。



ただ、大企業の経営陣経験者であれば適任かというとやや疑問


です。大企業のサラリーマン役員であればどちらかというと唯々


諾々と上司の空気を読んで 忠実に実行してきた方が多い気が


します。したがって、社外取締役となっても空気を読んであたり


さわりのないことしか言わない方も多いのではないかとやや気


になります。モノ言う社外取締役だとやはりオーナー創業社長


などは適任でしょう。



そういった意味では社外取締役の本来の精神を生かしている


代表的な会社はソフトバンクでしょう。日本電産の永守社長とファ


ーストリテイリングの柳井社長は社外取締役です。空気などは


全く読まず、なあなあな戦略意思決定などは絶対許してくれなさ


そうな怖い方々です。孫さんは常に耳に痛いことをいう方を経営


陣に入れているということでさすがと思います。

東芝事件で監査法人は訴えられるか?




東芝の不正会計問題で会社側は西田元社長等旧経営陣を訴える


ようです。株主から会社に書面をもって取締役の責任を追及する旨


要請があった場合、会社は60日以内にその取締役に対し、訴訟を


提起しなければなりません。そこで、会社側としても会社法の規定


に従って粛々と手続きを進めているようです。


この訴訟に関しては第三者委員会の不正調査の仮定でフォレン


ジック(デジタル鑑識で立てば消したメールのデータを復元した


りする)などの手法を使いメールなどの証拠があります。一方監査


法人に関しては株主は金商法に基づく訴訟を提起することになる


と思われます。一般的な民法709条に基づく損害賠償はさまざまな


立証責任が訴える側にあるのでハードルは高いと思われます。


一方、金商法に基づく訴訟の場合、監査法人は東芝の適正意見


の監査証明をするにあたって故意または過失がなかったことを


立証しなければないません。ただし、取締役に対するやり取りや


書面などが社内にあるのに対し、重要な証拠である監査調書は


監査法人側にあるので難易度は高くなります。



したがって、監査法人は民事というよりも金融庁による行政罰の


可能性の方が高いと思われます。金融庁の検査においては監査


調書なども開示しなければならないわけですから。内輪でなあなあ


で済ませると思われるかもしれませんが個人的には公認会計士


協会などを中心に会計士の自浄作用が働いてほしいと思われ


ます。偏見かもしれませんが行政の介入があると規制が強化


され、やたらと無意味な書面作成が増えるだけというのは様々


な業界の方が経験されてきたことだと思われます。



かつての監査法人は合併を繰り返してきたので、政治力のある古


い会計士の下、一種のその会計士の下の部屋制で他の会計士は


案件に口を出せないといった傾向がありました。近年の改革でほぼ


大手では一掃されましたが新日本監査法人では一部そのような勢力


が残存していて東芝を担当していたグループは排他性があったとい


う意見が私の友人たちではありました。ガバナンスの欠如だったと


いうわけです。審査など他の部署がチェックする仕組みはあるので


機能していなかったかもしれません。