ミジンコ乳がんにもホルモン療法は必要なのか
こんにちは。ミジンコサイズの乳がん患者の微塵子です。ちゃんと標準治療をする、と宣言したものの、やっぱりホルモン療法やめたい。止めたくて仕方がない。睡眠が細切れになり、胸痛が増え、不快なことばかりですから。こういう時、私の頭の中では、ドクターが放射線治療の実施直前につぶやいた「(ミジンコサイズには)やりすぎな気もするんですけどね」という言葉がリフレインします。その言葉を、ドクターがホルモン療法に関しても言い放ってくれたら、私はどんなに嬉しいでしょう。私がついそのように期待してしまうのは、近年、乳がんの過剰な治療を減らしていくための試みが目覚ましいと感じているからです。例えば放射線治療。最新のガイドラインには、どのような群に対して放射線治療を省略することが可能か、という項目が追加されています。この最新の知見に基づき、上皇后陛下は部分切除にも関わらず放射線治療を省略された、ということは広く報道されたとおりです。別の例として、あるがんセンターでは、非浸潤癌に対しては手術をせずに慎重に経過観察をする、という試みが行われていると聞いています(怖いな、とは思いますけどね)。さらに別の例としては、ルミナルAとBの閾値となるKi67の上方修正が挙げられます。かつてのガイドラインではAとBの閾値のKi67は14%だったようですが、近年は30%以上をルミナルBとする医師が多いようです。(ちなみに、私のミジンコ乳がんの浸潤部は、昔の基準ならルミナルBになりますが、最新の基準ではA-Bのグレーゾーンに落ちます。)つまり、手術+放射線+抗がん剤という念入りな治療をすべき患者群は、医学の進歩とともに精査され、どんどんと小さくなっているのです。これは患者にとっても経済にとっても喜ばしいことだと思います。じゃあ、ホルモン療法はどうでしょうか?はたして、医学の進歩とともに「ミジンコサイズの乳がんには、ホルモン療法を省略する」という動きは出ているのでしょうか?期待を胸に、私はAnnals of Oncologyに掲載されているBursteinらによる記事を読みました。この記事には、2021年のSt Gallenのカンファレンスでのパネリストたちのコンセンサスの内容が簡単にまとめられています(2023年版もあるんじゃないかと思っているのですが、見つけることが出来ていません)。ソースは以下です。Burstein, H. J., et al. "Customizing local and systemic therapies for women with early breast cancer: the St. Gallen International Consensus Guidelines for treatment of early breast cancer 2021."Annals of oncology32.10 (2021): 1216-1235.ミジンコ乳がんに関連のある部分は以下です:"Nearly all patients with invasive breast cancer are advised to receive adjuvant systemic therapy.The threshold for initiation of treatment is very low, even among nodenegative cancers (Figure 5). Panelists recommended adjuvant endocrine therapy for nearly all patients with ERpositive tumors that were even only microinvasive or 1mm in size, for reducing distant recurrence, in-breast recurrence, and second breast cancers."何ということでしょう。「たとえ浸潤径がたったの1㎜であっても(中略)パネリスト達はホルモン療法を推奨した」とわざわざ書いてあります。ちなみに私の浸潤径の場合、パネリストの8割以上がホルモン療法をすべきである、という意見を持っていました。私のミジンコ、専門家の意見に従う限りは、ホルモン療法を免れることが出来そうにありません。残念です。