恥辱とカタルシス -31ページ目

恥辱とカタルシス

作家志望、渋谷東子と申します。
よろしくお願いします。

真髄、ですって……!

こんにちは、渋谷です。



恐ろしいことに、うちの夫が昨日から高熱を出しています。

……インフルじゃなかろうか……。

今年はインフルを家庭内に持ち込まないように、あれこれやってたんですけどね。子供も一瞬発熱しましたが、あっという間に下がって平癒。もうインフルシーズンも終わるわね。ああ、努力って報われるんだわ、と思いきや!

出張先でもらってきたんだろうなあ……。はあ……がっくり。

とりあえず残酷なほどの隔離措置を施し、寝てもらっています。小説も第一章を書き終わったので、さあ読書しよう読書。ということで。

 
今回は小説ではなく、執筆指南書を読んでみました。齋藤とみたかさんの「懸賞小説真髄」です。
 
 
 
著者の齋藤とみたかさんという方はフリーの編集者、ライターをなさっている方だそうです。その傍ら、もう10年ほど新人賞の下読みをなさっていて、その経験から「下読みに通りやすい原稿」の書き方を主に教えて下さっています。その点で、この本は厳密に言えば「執筆指南書」ではないのかも知れませんね。どっちかって言えば「最終選考に残るためにどう書けばいいか」を教えて下さっている本、という感じかな。
 
プリントアウトして送って応募する新人賞の下読みをなさっている方なので、「レイアウトの仕方(行間とかフォントとか)」「応募規定を見直してみる」なんて項目もありました。びっくりしたんだけど、挿絵をはさんで応募してくる人とかいるんだって。あと、作者略歴に顔写真添付したりとか。そ、そーいうのもありなんだあ、と思いきや、そういう人はだいたい落とされるそうで。まあ、そうだろうなあ。結局読んでもらわなきゃいけないのは作品なのに、妙なとこに力入れちゃうと引かれるってことなんですかね。
 
あとやっぱり「人称の使い方を徹底する」ことの大切さは、ページを割いて書かれていました。この前読んだ大沢在昌さんの指南書にもあったけど、これって本当に初歩かつ大切なことなんですね。私が使うのは主に一人称、たまに三人称なんですが、自分ではブレがあるかどうかわからんのだよなあ。それを確認するのに重要なのはやはり「推敲」で、時間を置いてから読み直すことが有効なんだそうです。うんうん。わかった。そうする。確認確認。
 
あと面白かったのがね、「受賞してもしょうがない新人賞は確かに存在する!」って章。本が出なきゃ意味がないのに、受賞作を出版してくれない賞で大賞とってもしょうがないでしょ?って。……うーん、確かにそうだよねえ。地方自治体が主催してる賞とか、短編を募集してる賞なんかもその先をよく考えてから応募するように、とのことでした。
 
今は「なんでもいいから賞くれよ」と思ってるからその辺見えてないけど、受賞してから作家としてやっていくプランが見えない賞、また新人を育てる気がない出版社じゃ、作家自身が苦労する。それを、桜庭一樹さんの体験談をもとに説明してくださっていました。うんうん。なるほどだわ。
 
私疑問なんですが、エブリスタとか小説家になろうとかからデビューした人って、第2作3作が出るものなんですかね? エブリスタ発の「櫻子さんの足元には死体が埋まっている」の太田詩織さんとか、小説家になろう発の住野よるさんクラスになれば話は別なんでしょうが、例えば1冊エブリスタから書籍化しましたって場合、その後出版した会社で編集さんがついてくれていろいろアドバイスくれたりするものなんでしょうか。この間なんかのコラムで読んだのよね。
 
今は編集者さんも新人を育てるんじゃなくて、ウェブ小説から売れそうなのを見つけてきて本にすることの方が主流になってるって。まあそりゃそうですよね。出来上がってる人を連れてきて面白かった本を出せばすぐそれなりの商品になる。
 
でもその見つけてきた人の第2作ってどうなるんだろう。「また面白いのが書けるようなら出しますね」って感じなのかな。なんかそれって結構ドライだね。まあ、それクラスの話が書けるようになってから悩めって話なんですが。
 
おそらくプリントアウトした原稿送って下読みの人がいて、みたいな新人賞で世に出れば、そんなにドライじゃないんだろうか。だって人間いつでも120パーセントってわけじゃないでしょう?この本にも書かれていましたが、作家は「デビューしてからが勝負」なのだそうで。
 
あの東野圭吾さんすら、デビューしてから十数年不遇の時代に苦しんだというんです。佐伯泰英さんは時代小説の国民的作家ですが56歳になるまで重版がかかったことがなかったそう。
 
年間200人がデビューすると言われる(この数字、不確かですよね。100という話もあるし500という話もあるし)出版業界ですから、やり続けていけばそのうち本が出せるかもしれません。でも1冊で終わりみたいなのは悲しいなあ。ちゃんとした作家になりたい。ちゃんとしたって何なんだと言われるとなんなのか私にもよくわかりませんが、「一瞬の輝き」みたいなのは悲しい。私が思う「作家」というものになりたい。だから、それ以外のことに脇目をふっている場合じゃない。
 
 
 
さーじゃあまあもう1冊ぐらい読んどこうかな。「推敲する力」は読書から得られるものだと、この本で齋藤さんは書いておられました。私素直なのでじゃあ読んどこ。どれにしよっかな。
 
読み終わったらまた書きまーす。ではではー。

あいたたたたたた……。

 

こんばんは、渋谷です。

 

 

 

綿矢りささんの「蹴りたい背中」を読みました。又吉先生の「火花」に続く芥川賞受賞作です。

 

私最近、P+DMAGAZINEというサイトの中の、小説の書き方というコラムを繰り返し読んでるんですね。芥川賞作家の三田誠広さんという、武蔵野大学で小説の書き方の講義もしている方が連載されているコラムなんです。この方自身が芥川賞作家なので、コラムの中には芥川賞受賞作が多数とりあげられます。

 

その作品の簡単なあらすじと鑑賞ポイント、そこから学ぶべき技術や概念などを解説してくださっています。とても面白いコラムです。おすすめです。だもんだから、何となく芥川賞受賞作が読みたくなるのね。で、こないだ読んだ「勝手にふるえてろ」も面白かった綿矢りささん。

 

「蹴りたい背中」。痛かったあ。どう痛いって、私の悲しい悲しい高校時代とドンピシャ重なるんですよ。もう途中から半泣きで読んでしまいました。綿矢りささん、ものすごい可愛らしいお顔をされた女性なんですが、こんなん書いちゃうところを見ると、エキセントリックな女子高生だったんでしょうねえ……。

 

 

 

主人公は高校一年生の女の子、ハツです。彼女は高校デビューに失敗しちゃったタイプの人です。というか、中学時代は無理して周囲と合わせてたんですね。高校を一緒に受験した絹代がべったりしてくれなくて、リア充グループ(とは言え3番手ぐらいの寄せ集めグループ)に馴染もうとするもんだからすねちゃいます。なによもう!あんなとこに馴染もうと卑屈になるとかちょーダサい!私は一人でも生きていけるんだからね!

 

クラスにはにな川(おそらく漢字表記では蜷川)というハツ以上のポツン男がいます。にな川は「オリチャン」というモデルさんの偏執的な大ファンです。それ以外は空虚な真っ黒い目をして時間をやり過ごす男子高校生です。この表現、私もつたないながら使ったことがあるんですよね。何にもない人間の目って真っ黒いんです。あああ、そうそう、絶望超えると人間の目って黒くなるよね!わかるわかる!そんな具合にいきなり盛り上がってしまう私。

 

そのあともハツのやることなすこと分かりすぎて痛いんですよ。ひとりでいることを誇ろうとするけれどし切れない。つるむ人間を見下そうとするんだけど見下し切れない、妙な憧れと軽蔑。もうここに来たくない。来たくないけど行かなきゃならない。ポツンを恥じる自分の心こそを恥じたいのにうまくいかない。募るのはただ、焦燥感。

 

ああ、なんなんだこの既視感!それでとがっていくハツの心情も手に取るようによくわかります。辛いね。辛いけれどちゃんと毎日学校に向かうハツ。陸上部で「走る」という行為に自分のくすぶった情熱をぶつけようとする。けれど何もかもうまくいかない。

 

そんな時ににな川が学校を4日も休みます。ハブられっ子のにな川は「登校拒否か?」なんて揶揄される。

 

大衆の鈍った悪意は純粋な弱者を嬲るんですね。大人になってもこういう光景って途切れることなく再生されます。最近で言えば、ベッキー結婚に対するディスりとかね。

 

「お前は当事者じゃないだろう」みたいな人が一生懸命ベッキーをいじめる。おかしい世の中だ。でも、高校のあの狭い教室の中には確かにその縮図があった。そしてそれは大人になっても当然のように繰り返される。私の心に巣くう傷が、びっくりするぐらい綺麗にほじりだされました。

 

私が行った高校のクラスは全県一区でね。県内の各市町村から一人ずつ行くようなとこだったんです。県庁所在地はいっぱい来てたんですが、他は田舎からぱらぱらと集まったようなクラスだった。3年間クラス替えなし。集まった田舎者が牽制しあった3年間。私はその空気が嫌で嫌で、まったくクラスに馴染まないまま3年間を終えました。

 

おんなじ感覚の子とつるんだりはしましたが。やっぱり心底は分かり合えない。仲良くなったふりの「偽友達」とカラオケに行って夜遊びをした。むなしい時間です。そこにもし異性が混ざってたら、私も思ったかもしれないな。

 

似てるのに違うものを見ている卑屈な背中。もしその背中に恋心をほんのりとでも感じていたら。

 

うん。蹴るな。思いっきし蹴るな。それぐらい切羽詰まらせるものが「学校」というあの閉塞空間にはある。分かる気がする。だからいろいろえぐられました。綿矢りささん、面白い作家さんですね。とても印象に残る、繊細なお話でした。

 

 

 

ああ、こんな面白い話が書きたいな。あの言葉では表しようのない絶望の3年間は、作家を志してみると無駄ではなかったのかなと思います。痛々しい思い出も、まあ振り返ればいい勉強だったのかもしれません。

 

さーそろそろ桜庭和樹さんよもっかな。林真理子さんもいい。あっ、そうそう、菅浩江さんは図書館で予約したよ!

 

姉さんに対する伝言です笑 借りれたら楽しみに読みます。さあ、そろそろ寝よう。

 

ではまたっ!  

いやー、びっくり、面白かったです。

 

渋谷です。

 

 

 

久しぶりの更新ですね。小説書いてました。本読む機会がなかった。

 

なんか環境が妙に整ってずっと小説書いてたんですよね。新しく書き始めたやつが、原稿用紙換算で60枚まで書き進むことができました。今回のやつはミステリー要素が濃いので、がっつりプロットを組んでみてから書き始めたのですが10分の1ぐらいしか進んでないのに60枚も使ってしまった。500枚以内に収めなければいけないので、ちょっと整理が必要ですね。結局長編を書く事になってしまったのです。3月末までに仕上がるのかは不明。でもすんげー楽しい。クズしか出てこないクズ小説、楽しくて楽しくてニヤニヤしながら書いています。

 

で、今日は書くタイミングを逸したので本を読んでみました。又吉先生の「火花」。あんまり知識なく読み始めたので(芥川賞受賞作だということは知ってましたが)、そんなに大きな期待は抱いてなかったんです。芥川賞だし。難解で煙にまかれたような感じなんだろーなと思っていたのですが、とんでもない、めっちゃ面白かった……!

 

 

 

もう有名な作品なのでいちいち私が書く事なんか何もない気もするんですが、まあざっくり言うと芸人である青年ふたりの青春物語です。ふたりは別々のコンビを組んでいます。「あほんだら」と「スパークス」。このコンビ名の落差もいいね。「あほんだら」って。いかにもボキャブラ時代にいそうなネーミングやね。懐かしいなボキャブラとか。くりいむしちゅーが海砂利水魚でね。さまぁーずはバカルディか。フォークダンスDE成子坂とかいうのもいたね。なんかコンビ名だけ妙なインパクトがあって覚えてるなあ。あ、話脱線した。

 

おそらくこの主役ふたりはふたりともボケなんだろうなと思います。「あほんだら」の神谷は物語の始まりには24歳。「スパークス」の徳永は20歳。徳永が神谷の才能に惚れ込み、弟子入りを志願します。そしてボケふたりがボケあいながら過ごす10年間。神谷も徳永も、お笑いというものに真摯に向き合い、がっつり社会不適合者としてめちゃくちゃな青春を送ることになるのです。

 

 

 

私基本的にお笑いが好きなんですよね。

 

と言っても、バラエティ番組みたいなのはほぼ見ません。というかテレビ自体自発的に見ないんですけどね。でも、M-1とかIPPONとかやってたら絶対見る。エンタの神様みたいなのは見ないけど、逆に笑点の前半の演芸コーナーとか好き。あれ、芸人さんの命懸けの芸を見ることが出来るんですよね。こういうこと言うと掲示板等では死ぬほど叩かれてしまうんですが、やっぱりね、男の人の能力ってすごいと思うんですよ。女に比べて。

 

男って女に比べて突き詰める角度が鋭いと思うんです。女の人でも社会的に活躍されてる方はたくさんいますが、やっぱり結局生物学的に男には敵わないんじゃないかなあ。

 

だって、自分ちが燃えてる時に女の消防士さんが半分の消防隊が来たら嫌じゃないですか。「全部男の消防隊呼べよ!」って思う。女には女にしかできないことがたくさんあると思うんですが、男にしかできないことも確実にある。

 

そういう意味で、お笑いって、男の分野なんじゃないかなあ。女にもたまにすごい人いるけど。「海原やすよ・ともこ」とか。でも大体の女芸人さんって「モテない」とか「痩せない」とか「ぶすでしょ」とかそういうのを売りにする。なんか同じ女として見てて、見苦しいなあ、と思ってしまう。

 

同じ愛媛県民の友近さんは違いますけどね。あの人はエキセントリックで好きだ。なんだか話がまた脱線してますが。

 

神谷も徳永もお笑いに向ける情熱だけは本物ですが、とても痛々しい青春を送ることになります。お笑いという焦がれて焦がれて仕方のないものに向けて、命を燃やしているようですらある。印象的だったのが、「完璧に出来上がった美しいものをぶち壊してこそ面白いものが出来上がる」という神谷の思想。

 

私、これすごくわかるなあ。「幸せだな」って思う瞬間に全部壊したくなる。「好きだよ」って言われたら「別れる」って言いたくなる。恐ろしい闇を見ると近づきたくなる。絶対に幸せになれない思想ですが、こういう闇を抱えてる人って実はたくさんいるんじゃないかと思うんです。

 

神谷はそこの落差に「面白み」を見いだすタイプの人間だったのかなって思う。だから物語のラストで、この30をだいぶ超えたオッサンはとんでもないことをやらかします。社会的にも人としても、ツッコミどころ満載ですが誰も笑えないアホっぷり。大借金作るし。でもその大失敗を通して、芸人としてこの先日の目を見ることはないであろうふたりが、この先も「笑い」というものに真摯であろうと決意して終わるラスト。うん、うん、もう、なんかすっごい感動した!

 

作家になりたい私が、防御に回ってちゃいけないんだなと改めて思わせてもらった作品でもあります。「人にどう思われるか」なんて関係ない。綺麗にまとまる話を私は書きたいんじゃない。これからも、クズもエロも臆さずに書こう。うん、そうしようそうしよう。

 

 

 

はー、思わん面白かった。又吉先生今まで知らなくてごめんなさい。ちなみに私髪型ほぼ又吉先生なんですよ。洗いっぱだとああなる。さすがに刈り上げてはないですが。やはりシンパシーを感じてしまう又吉先生。

 

第2作も読んでみたいと思います。

 

では、次の本いってみよー。

あー、面白かった!

こんばんは、渋谷です。



なんかこの3連休、夫と子供が前にやってたFF15をまたやり始めて、あーだこーだ言ってる横で読書をしてました。FF15、私的には微妙だったのよねえ。

ドラクエもFFもかれこれやってきましたが、15はいかん。召喚獣が任意のタイミングで呼べんてなんやねん。私はレベル5で投げ出しました。夫はクリアしたようですが、久々につけてみると新しいミッションが増えてたらしい。ふたりであれこれ言いながらやってました。

ドラクエは去年のやつ、クリアしたんですけどね。PS4のやつ。11か。面白かった。FFもライトニングさんのやつなんかめちゃ面白かった。あとやっぱり10やね。なんか水球みたいなやつすごい一生懸命やったよなあ。ヴァンのも良かった。でも今回のはがっかりね。

レベル5で置き去りのセーブデータを眺めながら、宮部みゆきさんの「レベル7」を読む私。こう言っちゃなんですが、FF15よりよっぽど、よっぽど面白かった……!




この本はオススメ頂いた本で、予備知識ゼロで読み始めました。でもほんっと序盤から引き込まれる展開で、止まらなかった。ねじってねじって工夫を凝らされた展開。冒頭の「フランケンシュタインちゃん」がまさか終盤そこにつながるとは。いやあ、ほんと、手に汗を握りっぱなしでした。

 

始まりは真っ白い部屋で目覚めた、記憶喪失の青年の描写から始まります。これ、よくあるオープニングですよね。青年の隣には女性が寝ていました。ふたり揃って記憶喪失。お互い、どういう関係性なのかも分かりません。

 

たまたま顔を合わせた隣室の住人が、ふたりの素性を明らかにする手助けをしてくれるといいます。ふたりがいた部屋には5000万の金と拳銃と血のついたタオル。さあ、事態はどう動くのか……!

 

こちらの話とは全く別の軸で、もうひとつの謎も提起されていきます。お悩み相談ダイヤルでオペレーターをしていた女性と仲良くなった女子高生が、失踪します。電話だけの関係を超え、自宅に招きプライベートな関係になっていた女性と女子高生。女子高生は心に大きな傷を抱えています。さあ彼女はどこに行ったのか。女性の必死の捜索が始まります……!

 

 

 

さてさて、ふたつの話はそれぞれに進展していき、やがてひとつの結末に合流していきます。これね、もう複雑すぎて書き表すことができません。善人だと思ってた人が悪人になり、いややっぱりいい人?あれ悪い人?を何度も繰り返す。確実に悪人だった諸悪の根源は勧善懲悪的にしっかりと淘汰されますが、そこに至る登場人物の白黒が全く読めない。予測の斜め上を超えるってこういうことなんだ。

 

複雑すぎて、途中何度もコーヒー煎れにキッチン行って休憩しました。普段紅茶党の私ですが、コーヒーで頭起こさなきゃついていけなかった。

 

この感じ、文中にもありましたがシドニイ・シェルダンを彷彿とさせます。あとスティーブン・キングね。ぶあっつい本なのに止まらない。寝るのも忘れる。でも頭がボーっとしてきちゃうからコーヒー淹れる。読み終わらず明日を迎えるなんてそんなの絶対無理!あ、「ガラスの仮面」もそうだね笑

 

うーん、面白かった。ちょっとそれこそ、レベルが違った。おススメ下さった方(サイトが違うので、お名前は控えさせていただきますね)、ありがとうございます!高木彬光さんの「破戒裁判」と同じく、結末は書かないでおきます。こんなすごい本、私なんかがぺらっと明かしちゃそりゃもう冒涜でしかない。

 

 

 

 

よろしければこれを読んでいるそこのあなた、人生で一番面白かった本、教えていただけませんか?読みたいのです。読んで読書感想文を書きたいのです。私いま、なんぼでも本が読める乾いたスポンジみたいなものなんです。

 

面白い本が読みたい。まああなたの感性と私の感性がぴったり合致するかどうかは分かりませんが。よろしければ教えてください。いろんな感性の本が読みたいのです。

 

小説を書きながらですから、すぐにというわけにはいかないかも知れません。でも色んな感性を見てみたいと思います。まあひねくれもんだから作者の意図通りに納得しなかったりもするんだけどね。でもそんな私をもねじ伏せてしまう宮部みゆきさん、すごいなあ。

 

個人的に、東野圭吾さんより全然ストーリーテラーだと思う。ほかの本もたくさん読みたい。読もう読もう。うん、そうしよう。

 

 

 

 

とりあえず図書館で借りてきた本が山積みになってるんだよね。又吉先生の「火花」も借りてみた。桜庭一樹さんのこないだ単行本化された「傷跡」も。ファンなら買えよって話なんですが、ほら、私専業主婦だから。

 

本好きの夫は買いなよって言ってくれたんですがねえ。月末になんぼ残すかが勝負の主婦は、買うより借りるを選択しちゃった。ミニマリストを自称してるとこもあって、モノを増やしたくないって側面もある。

 

でも私は作家志望。図書館の本を読んだんじゃ、作者にお金が入らない。自分がそこに行きたいくせになんたる傲慢。今年目標の200冊読破ですが、せめて50冊ぐらいは買わなくちゃね。

 

そんなわけでよろしければ、お好きな作家さん、おススメの本を教えていただければ嬉しいです。できれば買います。できれば……できれば。直木賞受賞作の「宝島」も読みたかったけどお値段にびっくりして買えなかった。いや買えるけど、ちょっと私ひとりの一時の娯楽に出せる金額じゃない。

 

ふう、図書館万歳。公共福祉よありがとう。じゃあとりあえず、次は「火花」を読んでみよっかな。

 

というわけで、また次回!

本日2回目の更新ですね。

 

渋谷です。

 

 

 

 

綿矢りささんの「勝手にふるえてろ」を読みました。

 

金原ひとみさんを読むなら、綿矢りささんもセットかなと思って。図書館にあった「勝手にふるえてろ」。面白かった!でも、ちょっとびっくりしちゃったんですよね。

 

このお話、映画化されてるんですね。松岡茉優さん主演で。ネットでそこ見てびっくり。映画「勝手にふるえてろ」はコメディに分類されてるんですよ。

 

コ、コ、コメディ?そうなの?私、この本読んでちっともコメディ臭を感じなかった。

 

それどころかちょっと怖かったんですけど。怖い。はっきり言えばちょっとでなく怖い。

 

主人公のヨシカ、この子のキャラクター、笑い事でもなんでもなくてホラーでしかないんですけど……!

 

 

 

ヨシカは上京してきてOLをしている26歳の女の子です。処女。元オタク。趣味はウィキペディアで絶滅した生物について調べること。初恋の人だった「イチ」を忘れることができなくて、未だ処女である自分に若干誇らしささえ感じています。一途な自分に対する誇り。過去、クラスでいじられるか存在を認識されないかしかなかった自分が、男性経験がないことを正当化しようとしているかのような感じもあります。この主人公はっきり言って、歪んでます。

 

ある日寝ている間にボヤを出してしまったことがきっかけで、人間いつ死ぬかわかんないんだからやりたいことをやっとこう、ということで、過去好きだった「イチ」に何とかして会おうとします。そのやり方が、サイコ。

 

海外に行っているクラスメイトの名前を語ってmixiで同級生を集め、「イチ」がmixiをやってないと知るとそのクラスメイトの名前でイチの実家に電話をかける。同窓会の当日に、「私インフルで行けなくなっちゃったー」と同級生に一斉送信。……うそやろ。こんなんって笑い話なん?怖い、本気で怖い。

 

それでも結局イチとはうまくいかない。名前を覚えてもらってもない。自分からぶっこむ度胸はないわけです。


前後してヨシカは生まれて初めて告られます。イチとの対比で「ニ」と称される同じ会社の営業マン。独善的で俺大好き男ですが、営業マンはそうでなきゃいけません。私はそう思います。なのにヨシカはイチと比べてニをきもいきもい言います。真面目にヨシカに愛情表現してくれるニ。なのにヨシカはニの告白にちゃんとした返事もしません。ずるい。ずるいですよヨシカ。

 

そうこうしてるうちに、ニがヨシカにこんなことをもらしちゃう。ニはヨシカを攻略すべく、ヨシカと社内でうわべのみの付き合いをしている来留美にリサーチをかけます。そこで来留美が「ヨシカって処女だよ」とオブラートに包みつつばらしちゃう。それをニがヨシカにもらしちゃう。ヨシカ、憤怒です。


キレたヨシカがとった行動がまたサイコ。トイレにこもるヨシカを心配する来留美に、「実は……つわりなの」



ありえねー!処女懐妊!絶対バレる嘘なのに!しかも恥ずかしさのあまりもー会社休みたいヨシカは、産前産後休暇届けを出そうとします。いやいやいや、めちゃめちゃやって!

会社休んで部屋にこもるヨシカ。でも来留美から言い訳メールがくるだけで、ニからは全然連絡なし。悲しくなっちゃったヨシカは、自らニに連絡してすがります。「私のこと、愛してたんじゃないのー!」

優しいニはヨシカを許しちゃう。妊娠したとかいう最悪の嘘つく女だよ?最後の最後、ヨシカはこんなことを言います。「霧島くん、ねえ、怒ってるの?」

怒れ霧島くん!君はニ呼ばわりされていたんだぞ!でも優しい霧島くんは、ヨシカを受け入れてしまうのです。



うーん、ホラーやな。大体題名の「勝手にふるえてろ」っていうのも、センシティブゆえいじりに耐えられず震えていた少年時代のイチに対して、ヨシカが吐いた言葉です。処女であることがバレちゃって自暴自棄になったときに。それもえらく勝手な話だ。

自分がそんなイチを勝手に12年も思い続けてたくせにね。ねえこれコメディ?これホントにコメディなの?

綿矢りささんて、こんなにエキセントリックなお話を書く方だったんですね。面白かった。サイコでエキセントリックなヨシカの吐く毒がたまらなく面白かった。ぜひ、他の話も読んでみたいと思います。

やっぱり毒にも薬にもならないようなのより、私はこんな作品が好きだな。楽しかったです。

ではでは、次いってみよー。