いやー、びっくり、面白かったです。
渋谷です。
久しぶりの更新ですね。小説書いてました。本読む機会がなかった。
なんか環境が妙に整ってずっと小説書いてたんですよね。新しく書き始めたやつが、原稿用紙換算で60枚まで書き進むことができました。今回のやつはミステリー要素が濃いので、がっつりプロットを組んでみてから書き始めたのですが10分の1ぐらいしか進んでないのに60枚も使ってしまった。500枚以内に収めなければいけないので、ちょっと整理が必要ですね。結局長編を書く事になってしまったのです。3月末までに仕上がるのかは不明。でもすんげー楽しい。クズしか出てこないクズ小説、楽しくて楽しくてニヤニヤしながら書いています。
で、今日は書くタイミングを逸したので本を読んでみました。又吉先生の「火花」。あんまり知識なく読み始めたので(芥川賞受賞作だということは知ってましたが)、そんなに大きな期待は抱いてなかったんです。芥川賞だし。難解で煙にまかれたような感じなんだろーなと思っていたのですが、とんでもない、めっちゃ面白かった……!
もう有名な作品なのでいちいち私が書く事なんか何もない気もするんですが、まあざっくり言うと芸人である青年ふたりの青春物語です。ふたりは別々のコンビを組んでいます。「あほんだら」と「スパークス」。このコンビ名の落差もいいね。「あほんだら」って。いかにもボキャブラ時代にいそうなネーミングやね。懐かしいなボキャブラとか。くりいむしちゅーが海砂利水魚でね。さまぁーずはバカルディか。フォークダンスDE成子坂とかいうのもいたね。なんかコンビ名だけ妙なインパクトがあって覚えてるなあ。あ、話脱線した。
おそらくこの主役ふたりはふたりともボケなんだろうなと思います。「あほんだら」の神谷は物語の始まりには24歳。「スパークス」の徳永は20歳。徳永が神谷の才能に惚れ込み、弟子入りを志願します。そしてボケふたりがボケあいながら過ごす10年間。神谷も徳永も、お笑いというものに真摯に向き合い、がっつり社会不適合者としてめちゃくちゃな青春を送ることになるのです。
私基本的にお笑いが好きなんですよね。
と言っても、バラエティ番組みたいなのはほぼ見ません。というかテレビ自体自発的に見ないんですけどね。でも、M-1とかIPPONとかやってたら絶対見る。エンタの神様みたいなのは見ないけど、逆に笑点の前半の演芸コーナーとか好き。あれ、芸人さんの命懸けの芸を見ることが出来るんですよね。こういうこと言うと掲示板等では死ぬほど叩かれてしまうんですが、やっぱりね、男の人の能力ってすごいと思うんですよ。女に比べて。
男って女に比べて突き詰める角度が鋭いと思うんです。女の人でも社会的に活躍されてる方はたくさんいますが、やっぱり結局生物学的に男には敵わないんじゃないかなあ。
だって、自分ちが燃えてる時に女の消防士さんが半分の消防隊が来たら嫌じゃないですか。「全部男の消防隊呼べよ!」って思う。女には女にしかできないことがたくさんあると思うんですが、男にしかできないことも確実にある。
そういう意味で、お笑いって、男の分野なんじゃないかなあ。女にもたまにすごい人いるけど。「海原やすよ・ともこ」とか。でも大体の女芸人さんって「モテない」とか「痩せない」とか「ぶすでしょ」とかそういうのを売りにする。なんか同じ女として見てて、見苦しいなあ、と思ってしまう。
同じ愛媛県民の友近さんは違いますけどね。あの人はエキセントリックで好きだ。なんだか話がまた脱線してますが。
神谷も徳永もお笑いに向ける情熱だけは本物ですが、とても痛々しい青春を送ることになります。お笑いという焦がれて焦がれて仕方のないものに向けて、命を燃やしているようですらある。印象的だったのが、「完璧に出来上がった美しいものをぶち壊してこそ面白いものが出来上がる」という神谷の思想。
私、これすごくわかるなあ。「幸せだな」って思う瞬間に全部壊したくなる。「好きだよ」って言われたら「別れる」って言いたくなる。恐ろしい闇を見ると近づきたくなる。絶対に幸せになれない思想ですが、こういう闇を抱えてる人って実はたくさんいるんじゃないかと思うんです。
神谷はそこの落差に「面白み」を見いだすタイプの人間だったのかなって思う。だから物語のラストで、この30をだいぶ超えたオッサンはとんでもないことをやらかします。社会的にも人としても、ツッコミどころ満載ですが誰も笑えないアホっぷり。大借金作るし。でもその大失敗を通して、芸人としてこの先日の目を見ることはないであろうふたりが、この先も「笑い」というものに真摯であろうと決意して終わるラスト。うん、うん、もう、なんかすっごい感動した!
作家になりたい私が、防御に回ってちゃいけないんだなと改めて思わせてもらった作品でもあります。「人にどう思われるか」なんて関係ない。綺麗にまとまる話を私は書きたいんじゃない。これからも、クズもエロも臆さずに書こう。うん、そうしようそうしよう。
はー、思わん面白かった。又吉先生今まで知らなくてごめんなさい。ちなみに私髪型ほぼ又吉先生なんですよ。洗いっぱだとああなる。さすがに刈り上げてはないですが。やはりシンパシーを感じてしまう又吉先生。
第2作も読んでみたいと思います。
では、次の本いってみよー。