真髄、ですって……!
こんにちは、渋谷です。
恐ろしいことに、うちの夫が昨日から高熱を出しています。
……インフルじゃなかろうか……。
今年はインフルを家庭内に持ち込まないように、あれこれやってたんですけどね。子供も一瞬発熱しましたが、あっという間に下がって平癒。もうインフルシーズンも終わるわね。ああ、努力って報われるんだわ、と思いきや!
出張先でもらってきたんだろうなあ……。はあ……がっくり。
とりあえず残酷なほどの隔離措置を施し、寝てもらっています。小説も第一章を書き終わったので、さあ読書しよう読書。ということで。
今回は小説ではなく、執筆指南書を読んでみました。齋藤とみたかさんの「懸賞小説真髄」です。
著者の齋藤とみたかさんという方はフリーの編集者、ライターをなさっている方だそうです。その傍ら、もう10年ほど新人賞の下読みをなさっていて、その経験から「下読みに通りやすい原稿」の書き方を主に教えて下さっています。その点で、この本は厳密に言えば「執筆指南書」ではないのかも知れませんね。どっちかって言えば「最終選考に残るためにどう書けばいいか」を教えて下さっている本、という感じかな。
プリントアウトして送って応募する新人賞の下読みをなさっている方なので、「レイアウトの仕方(行間とかフォントとか)」「応募規定を見直してみる」なんて項目もありました。びっくりしたんだけど、挿絵をはさんで応募してくる人とかいるんだって。あと、作者略歴に顔写真添付したりとか。そ、そーいうのもありなんだあ、と思いきや、そういう人はだいたい落とされるそうで。まあ、そうだろうなあ。結局読んでもらわなきゃいけないのは作品なのに、妙なとこに力入れちゃうと引かれるってことなんですかね。
あとやっぱり「人称の使い方を徹底する」ことの大切さは、ページを割いて書かれていました。この前読んだ大沢在昌さんの指南書にもあったけど、これって本当に初歩かつ大切なことなんですね。私が使うのは主に一人称、たまに三人称なんですが、自分ではブレがあるかどうかわからんのだよなあ。それを確認するのに重要なのはやはり「推敲」で、時間を置いてから読み直すことが有効なんだそうです。うんうん。わかった。そうする。確認確認。
あと面白かったのがね、「受賞してもしょうがない新人賞は確かに存在する!」って章。本が出なきゃ意味がないのに、受賞作を出版してくれない賞で大賞とってもしょうがないでしょ?って。……うーん、確かにそうだよねえ。地方自治体が主催してる賞とか、短編を募集してる賞なんかもその先をよく考えてから応募するように、とのことでした。
今は「なんでもいいから賞くれよ」と思ってるからその辺見えてないけど、受賞してから作家としてやっていくプランが見えない賞、また新人を育てる気がない出版社じゃ、作家自身が苦労する。それを、桜庭一樹さんの体験談をもとに説明してくださっていました。うんうん。なるほどだわ。
私疑問なんですが、エブリスタとか小説家になろうとかからデビューした人って、第2作3作が出るものなんですかね? エブリスタ発の「櫻子さんの足元には死体が埋まっている」の太田詩織さんとか、小説家になろう発の住野よるさんクラスになれば話は別なんでしょうが、例えば1冊エブリスタから書籍化しましたって場合、その後出版した会社で編集さんがついてくれていろいろアドバイスくれたりするものなんでしょうか。この間なんかのコラムで読んだのよね。
今は編集者さんも新人を育てるんじゃなくて、ウェブ小説から売れそうなのを見つけてきて本にすることの方が主流になってるって。まあそりゃそうですよね。出来上がってる人を連れてきて面白かった本を出せばすぐそれなりの商品になる。
でもその見つけてきた人の第2作ってどうなるんだろう。「また面白いのが書けるようなら出しますね」って感じなのかな。なんかそれって結構ドライだね。まあ、それクラスの話が書けるようになってから悩めって話なんですが。
おそらくプリントアウトした原稿送って下読みの人がいて、みたいな新人賞で世に出れば、そんなにドライじゃないんだろうか。だって人間いつでも120パーセントってわけじゃないでしょう?この本にも書かれていましたが、作家は「デビューしてからが勝負」なのだそうで。
あの東野圭吾さんすら、デビューしてから十数年不遇の時代に苦しんだというんです。佐伯泰英さんは時代小説の国民的作家ですが56歳になるまで重版がかかったことがなかったそう。
年間200人がデビューすると言われる(この数字、不確かですよね。100という話もあるし500という話もあるし)出版業界ですから、やり続けていけばそのうち本が出せるかもしれません。でも1冊で終わりみたいなのは悲しいなあ。ちゃんとした作家になりたい。ちゃんとしたって何なんだと言われるとなんなのか私にもよくわかりませんが、「一瞬の輝き」みたいなのは悲しい。私が思う「作家」というものになりたい。だから、それ以外のことに脇目をふっている場合じゃない。
さーじゃあまあもう1冊ぐらい読んどこうかな。「推敲する力」は読書から得られるものだと、この本で齋藤さんは書いておられました。私素直なのでじゃあ読んどこ。どれにしよっかな。
読み終わったらまた書きまーす。ではではー。