恥辱とカタルシス -22ページ目

恥辱とカタルシス

作家志望、渋谷東子と申します。
よろしくお願いします。

いい天気なのにー。

 

こんばんは、渋谷です。

 

 

 

いいお天気の土曜日でしたね。ウォーキングマニアはウォーキングに出かけましたが、うちの夫と子供ときたらインドアでいかん。

 

誘っても二人でプレステやってて聞いちゃいない。「ママ出かけるよ!今出かけたらもうしんどくて午後はゴロゴロするよ?いいの?一緒に行かんの?」と訊いても「行かーん!」

 

で、午後からゴロゴロしながら本読んでたら、夫に「だらついてるねえ」とか言われる始末。

 

なんのこっちゃ。まあ私はマイペースなので勝手に散歩行って勝手にゴロつきますけど。

 

せっかくのいい天気を無駄にできる二人は、似た者親子ですわ。私はどうも二人とは気質が違うようです。父と子が似ているのは当然ですけどね。春先の散歩、最高なのにねえ。

 

さて、そんなわけで午後ゴロつきながら読んだ「Esprit 機知と企みの競演」。短編集です。収録作家さんが

 

藤田宜永

岸田るり子

乾緑郎

天祢涼

曽根圭介

中田栄一

 

となっております。

 

 

 

この本は依然読んだ「Shadow 闇に潜む真実」と同じで、「日本推理作家協会賞」の選考に残った作品をまとめた短編集なんですね。だから粒ぞろいのはずが、今回はちょっと外れ……と言っちゃなんですが、「ん?」と思う作品が思ったより多かった。これ、好みなんでしょうけど、好みって言葉でまとめるのもどうなんかねえ。

 

例えば、途中まで主人公があまりに稚拙な謎解きに満足しちゃってる、みたいな。「おいおい、絶対それ違うだろ」みたいなところでしめしめしたりしてる。もちろんそのあとに奇想天外なラスト(大体残り2ページとかで)が待ってるんですが、なんか私この流れが嫌いみたいです。途中でしらけちゃう。「この後真相にたどり着くんだろうな」とは思うけど、その前にもう熱が冷めちゃう。今回この流れの話が入ってました。うーん。

 

あと、犯人を追い詰めて、言質をとることで一件落着、も嫌い。古畑任三郎でよく見た気がしますけど。あれ、偶然の要素が大きいですよね?なんかご都合主義だなあ、と思っちゃう。犯人が口を滑らせなかったらどうするんだ?警戒されて尻尾を出さなくなっちゃうよ?まるでプロレスの試合を見てるみたいです。

 

だから今回はうーん、が多かったかな。自分の好みをちゃんと認識できたのは良かったですけど。そんな中で、面白かったのはやっぱり曽根圭介さんの「妄執」と乾緑郎さんの「機巧のイヴ」でしょうか。

 

「妄執」は友達にストーカーを持つ男が主人公。引きこもりの友達一馬が元カノにストーキングしてるんですね。「こいつっキモ!ストーカーとかないわー。でも友達だから無視れないし」と主人公は思ってます。止めなきゃいけないとは思いつつ、なんか止められない。そして自分の彼女にも言い寄ってくる男がいて悩んでます。彼女も同じ会社にいて、言い寄ってくるのも同じ会社の上司なんですね。

 

一馬と主人公は、学生時代に一人の女の子を付け回したとしていじめられていました。主人公は「自分の彼女だったのに一馬が付け回した」と記憶しています。自分は人と「ケーブル」で繋がることができて、「ケーブル」で繋がった相手とはすべての心情を交換することができると思っている。やべえ……やべえね。そう、一馬は間違いなくストーカーですが、それを止められない主人公は本当に正常なのか。

 

「ケーブル」の話が出てきたところでタネがバレちゃいそうなもんですが、曽根さんの筆致で最後まで引き込まれてしまいます。本当に上手な方だと思います曽根圭介さん。やっぱり好きだわ。長編も読んでみたいなあ。

 

 

 

「機巧のイヴ」はこんな題名だけど時代小説。お侍が遊女を身請けしようとするんですが、目当ての遊女には心に決めた人がいます。だもんでお侍、遊女を身請けして自由にしてあげてから、からくり技師に遊女そっくりのからくり人形を作らせようとします。この作品の中では、からくり人形っていうのが平賀先生のカタカタしたやつじゃなくて「アンドロイド」って感じなんですね。ラブドール的な意味で遊女羽黒のからくりを作らせる。そして羽黒を買い上げ出奔させる。

 

そして技師から羽黒のからくり人形を買い受ける。どう見ても本物の羽黒にしか見えない。羽黒には心に決めた男がいて、その男のもとに逃げたはずなのに。疑心暗鬼にかられたお侍はラブドール羽黒を切っちゃう。すると羽黒から出るのは人間のものでしかない赤い血。この羽黒は人形だったはずなのに。

 

お侍は騙されていたのです。羽黒をただ愛していた。羽黒の幸せを思っていた。誰がお侍を騙したのか。からくり人形だったのは、本当は誰なのか……。

 

ああー、面白かった。これは全然思いつかなかった結末でした。時代小説だからこそ成り立つ悲恋。逆にSFでも成り立つかな。でもSFなら面白みは半減かも。時代小説だからこんなに切ない話になるのですね。すごく良かったです。

 

 

 

というわけで、次もこのシリーズを読みたいと思います。はまるわー。ほんと面白い。そして勉強になります。

 

賞獲り作品ばっかり読んでますが(この短編集も賞にノミネートされた作品ばかりです)、この方が効率が良くて。すぐにでも小説家になりたいので、時間をムダにしたくないんです。なんか生き急いでるんです。最近の私。

 

ホントはゆっくり当たり外れ(自分にとって)を引きながら、好みの作家を探していくのが、読書の醍醐味なんでしょうけどねえ。ピンポイントに当たりを引きたい。せっかち、とは昔から言われてきましたが、間違いなくそうだな。時間があればすぐうろうろ散歩に出かけるしねえ。

 

 

 

というわけで次に行きまーす。

 

ではまたっ!

あ……なんか読んじゃった。

 

こんばんは、渋谷です。

 

 

 

子供が塾に行ってるんですけど、そこの保護者待機席みたいなとこに本棚があるんですよね。子供向け推薦図書とか、先生おすすめの大人向けの一般書なんかが置いてあります。

 

そこから林真理子さん借りたりなんかもしてたんですが、最近はとんとご無沙汰でした。でも今日子供が課題にてこずり……迎えに行っても一向に終わる気配がない。しゃーないので手近にある本を手にして読み始めてしまいました。川端康成の「伊豆の踊子」。

 

なんせこんだけ有名な作品なのに読んだことがなかったんですよね。子供待ってる30分で簡単に読み終わっちゃった。こんなことならさっさと読んどきゃ良かった。

 

昔の作品ですから語り口は難いのですが、なんと奇麗な青春物語。うーん、私結構好きな世界観でした。こんな名作を今更私が説明して何になるんだとは思いますが、読書日記なので簡単にあらすじを書いておきますね。

 

 

 

まず「踊り子」っていう定義が大事で、この頃の踊子っていうのは今の舞妓さんや芸妓さんみたいに華やかな存在ではなかったんですね。「河原乞食」なんて言葉で揶揄されるような、いわば人々の差別の対象になるような存在なんです。流しで歌と踊りを見せて、踊子に客がつけば売春させる。木賃宿と呼ばれる粗末な宿に泊まり歩いて、お座敷に上がり日銭を稼ぐのが踊子たちの仕事なんです。で、対して主人公の若者は今でいう東大の2年生の青年。年齢は20です。

 

その青年が自分の内向きな性格がいやんなっちゃって旅に出たんですね。伊豆へ。途中であった旅芸人の一行の中の踊り子に一目ぼれしましたよ、というお話。踊り子は14歳、生娘です。旅路を共にするうちに青年はどんどん踊り子を好きになっちゃいます。宿屋街でちんとんしゃんが聴こえてくると、もう心中穏やかではありません。踊り子に今日こそ手がついてしまうんじゃないかと気が気じゃないんですね。こっそり泣いたりします。

 

踊り子一行は下田に家があり、ぼちぼちそこに帰るといいます。すっかり仲良くなった青年をそこに誘い、青年もそこを訪ねると約束します。でも路銀も底をついてきたしもう帰らなくちゃな、と思う。別れの朝、踊り子は港にこっそり見送りに来てくれます。いつまでもハンカチを振って見送ってくれる踊り子。踊り子も青年のことが好きだったんですね。青年は船室で横になりながらびーびー泣きます。内向的だった青年はもう泣き顔を人に見られても全然平気。踊り子と触れ合ううちに、なんだかその明るさに伝染してしまったのでしょう。自分を変えることができたお坊ちゃん、うん、良かったね。

 

 

 

ざっくり言えばそんな話なんですが、何と言ってもこの踊り子の可愛らしいこと!昔なので宿屋の露天風呂は男女が繋がってるような形状らしいんですが、青年を見つけると素っ裸で手を振るような天真爛漫さです。子供の弾けんばかりの無邪気さです。二重のラインが何とも言えず美しく、花のように笑い、青年にお茶を出すだけで真っ赤になってもじもじしちゃう踊り子。いや、あんた裸見せたよ?って話なんですが、この素っ頓狂なところがまたいいじゃありませんか。

 

2019年に塾の待合でパパっと読んでもこの可愛さ。当時の読者たちは本当に心を撃ち抜かれたでしょうね。令和が来ようかという現代に読んでも、何ら陰ることのないこの魅力。それから地の文の美しさも私が見たことのないものでした。本は塾に置いて来ちゃったから例を出せないんですが、まあ奇麗な文章です。ああ、文豪ってこういう人のこというのね、と思った。話の中身を読ませるためのものである文章に、飾りが施されてるみたいね。そらノーベル文学賞もとるわなあ……。

 

 

 

というわけで「伊豆の踊子」でした。本音を言えば、青年には踊り子を連れて逃げてほしかったですけどねえ。まあ時代が時代ですし、身分の問題なんかもあってそうはいかなかったんでしょう。

 

青年のブレイクスルー物語であり、悲恋ものであり、踊り子の可憐さを描いた物語でもありました。もっと難解なのかと思ったら全然だった。まあそうですよね、何度も映画化されたお話でもありますし、昔のエンターテイメントだったんだな。面白かったです。

 

では次こそはミステリー。というわけで、またっ。

ちょっと間が空いちゃいました。

 

こんにちは、渋谷です。

 

 

 

短編を書き始めましたよー。なのであまり本が読めなかった。久々の更新になりました。子供がまだ午前中に帰ってきちゃうのでじっくり時間をとれないっていうのもありますが。

 

なにせ昨日一昨日とこっち寒くって。もう衣替えしてたもんだから春物で通したら身体が冷えちゃって。

 

私だけかもしれないんですけど、冷えるとなんか眠くなりません?なるんですよ。だから冬とかめちゃめちゃ眠いんですよ。毎日昼寝2時間とかしちゃうんです。昨日も一昨日もそんなわけでよく寝た。午前中の時間に小説も書きました。プロットをしっかり組み上げてみると100枚では収まりそうにないボリュームになったのですが、それを言葉を厳選して短編に収めるっていうのを今回の目標にしてやってみたいと思います。

 

最近書いた作品では際立った変人を書くことが多かったのですが、今回は「外から見る分には普通の人のちょっとした狂気」みたいなのが書けたらいいなと思います。バイオレンスもSMもエロも封印です。夫に見せても困らないやつを書きたいと思います。さあ、頑張るぞ。

 

並行して、ミステリーの短編集を4冊借りてきたので読んでいきたいと思います。1冊目は「Shadow 闇に潜む真実」。

 

日本推理作家協会が、「日本推理作家協会賞」の選考に残った作品をまとめた短編集のようです。だからどの作品も粒ぞろい。収録作家さんが

 

深水黎一郎

塔山郁

相沢沙呼

曽根圭介

秋梨惟喬

道尾秀介

 

となっております。

 

 

 

この中で特に面白かったのが、曽根圭介さんの「義憤」と道尾秀介さんの「橘の寺」かな。

 

「義憤」は犯罪被害に遭い、本人もけがを負った上に子供を殺された母親の復讐劇。

 

被害者担当班という、被害者の相談に乗ったりする刑事さんがいるんだそうで。その被害者担当班の女性刑事と組む、後輩の男性刑事が語り手です。この結城という女性刑事がとにかく無茶苦茶。被害者を気遣う気持ちなんて微塵もない。「いつまでもぴーぴー泣いてんじゃねえよ」とか毒づいちゃう。すげえ……これが個性か。キャラが立ってますね。

 

捜査班の捜査により、ひとりの容疑者が浮上します。被害者女性の話に基づいたモンタージュにもそっくり。動機もあるしアリバイもない。なのにマジックミラー越しの面通しで、被害者は「この人じゃありません」って言うんですね。「声が違う」と。捜査班は「そんな馬鹿な」となります。だって状況的にはこの容疑者が犯人であることが一番自然なんですから。

 

でも結城は「被害者が違うって言ってるんだから違うでしょうよ」と捜査会議で大暴れ。それによって捜査班を外されます。容疑者の自白で逮捕も近いかと思われたある日、事件は急展開。

 

被害者の女性がまた同じ男に襲われたのです。大けがを負った被害者。「じゃあ真犯人は別にいるんじゃん」となりますよね?容疑者は警察に拘留されてるんだから。ここからが、びっくり。

 

自宅に戻ることを許された元・容疑者が殺されたのです。犯人は被害者の女性。被害者女性は容疑者を自由の身にするために芝居を打ったのです。同じ犯人に二度襲われた、というのは狂言。二度目の被害は自作自演だったんですね。

 

自分の手で息子の仇をとりたかった。そして結城という女刑事は、この被害者女性の心情を読んでいた。読んでいて止めなかった。むしろ後押ししようとしていたんですね。うーん、なんとも奥が深いお話です……。

 

結城には一人で育てている息子がいるんですが、この子が不慮の事故で障害を負っちゃってるんですね。その事故も「幼稚園のジャングルジムで誰かに突き落とされた」というもので、その原因ではないかという少年も謎の死を遂げていたりします。結城の仕業なのではないか、という噂があるとかないとか。この裏話があって、一連の事件の余韻が深まります。ブラックヒーロー、いやヒロインか。このヒロインが出てくるお話が他にもあるんなら読みたいなあ。曽根圭介さん、ファンになっちゃったかもしれません。面白かった。

 

 

 

そして道尾秀介さんの「橘の寺」。昨日プレバトに出てたね。Twitterで見かけて、普段見ない番組なのにワクワクしながら待ってたのに。

 

夏井先生たらいけずなんだから。まあいいんですけど。なにせこの「橘の寺」は良かったです。こういっちゃなんですがあたしゃ泣きました。短編に泣かされるとは思わなかった。

 

この作品は本来短編連作らしくて、その中の1作です。「リサイクルショップ・カササギ」の店長華沙々木が名探偵役、副店長日暮がワトソン役と見せかけて、華沙々木の推理はいつも外れて日暮がこっそり真相を暴く、という形も面白い。

 

今回のお話は「父恋草」とでも言いましょうかね。ひとりの住職が引き取った、身寄りのない少年が主人公。大きなトリックが仕掛けられているわけではありませんが、真相が二転三転して息をつく暇もありません。丁寧に書けば、小さな謎であってもこんなに面白い話に昇華することができるんですねえ。面白かった。この連作は探して読みたいと思います。やっぱり道尾秀介さんは面白い。俳句なんか上手じゃなくたっていいんだ。だって道尾さんは小説家なんですもの。

 

 

 

というわけで、次もミステリーの短編集です。週末はたくさん読めるといいな。というわけで。

 

またねー。

 

はい―面白かったよー。

 

こんにちは、渋谷です。

 

 

 

道尾秀介さんの「カラスの親指」を読みましたよ。日本推理作家協会賞受賞作。ミステリーを読もうと決めたので、図書館で借りた純文学はすべてすっ飛ばして夫の本棚からおススメを借りました。夫、道尾秀介さん好きなのね。私もこないだ読んだ「月と蟹」が良かったから、かなり期待をして読み始めた今作。うん、面白かった。結構な長編ですがあっという間に読了。

 

読み終えての感想は「ちっくしょう、これがペテンか」。ミステリーって言うかペテンだね。ペテン師に綺麗に騙されて、抱えてたものが全部なくなっちゃったって感じ。ばっと風が吹いて目をつぶってる間に何もかもがなくなっちゃってるって感じ。

 

終盤まではドロドロの復讐劇なんですが。最後の最後で「実は恐れるべきものなんてなかったんだ」って気付く。これ、島田荘司さんの「異邦の騎士」でも同じ読後感を持ったんだよな。

 

かなりな高等技術を要しそうな「カラスの親指」、ざっくりあらすじを紹介してみますね。

 

 

 

主人公は武沢という四十代半ばの詐欺師。過去に闇金に身ぐるみはがされ家に火をつけられ娘を殺された過去を持ちます。もうどこを振っても金は出んとなった時に、闇金の仕事を手伝わされていたんですね。でもそれがいやんなっちゃって、警察に証拠を提出して闇金を告発しますが、その報復として娘を殺されてしまう。それからは詐欺師として身をかくして生きていました。そんな武沢が出会ったのがカギ屋のテツさん。

 

テツさんとタケさんはバディとなって小さな詐欺を働きともに暮らします。そのうちひょんなことから女スリのまひろ、その姉のやひろ、その彼氏の貫太郎も転がり込んできて一味は大所帯に。やがてタケさんが恨みを持つ闇金に、テツさんもやひろもまひろも人生をめちゃくちゃにされていたのだとわかります。5人は闇金への復讐を誓い大掛かりなペテンを仕掛ける。果たしてそれはうまくいくのか……!

 

……というのが表向きの冒険活劇で。ここまでも謎がちりばめられていてハラハラして。

 

結局タケさんの仕掛けたペテンは失敗に終わります。けれど闇金グループはもうタケさんへの復讐は終えたと宣言します。もう追われることもなくなり平穏な日々を取り戻した5人。復讐は完結したとして新たな日常が始まる。でも本当の謎解きはここからなんですね。

 

あまりにもスムーズに転がり過ぎた一連の流れに、疑問を抱くタケさん。確かにペテンは失敗したけれど、5人は結束して絆を深め、失敗の後にも誰も傷を負っていない。平和な日常がやってきた。まるでここへ誘導されていたかのように。

 

スリと無職だったやひろとまひろは働きだしました。まるでダメ男だった貫太郎までも別人のよう。タケさんにも詐欺を続ける理由はなくなった。

 

最後にタケさんは気付きます。彼らをこの平穏に導いたのは、ずっと行動を共にしていた、誰よりも有能なペテン師だったのだということに。

 

 

 

 

ああ、面白かった。        

 

素直に面白かった。よかったねえ、と思った。良い読後感ってこういうのだね。ほんと、すてきな作品でした。

 

上質な作品を読むとほんとに幸せな気持ちになるね。お金をとれる小説、ってこういうのなんだな。ちゃんと読者を「楽しませる」ことができる作品。こういうのが書けるようにならなきゃいけないんだな。

 

鍛錬します。ええ。というわけで。

 

ではまた―。

明日はとうとう入学式。

 

こんばんは、渋谷です。

 

 

 

とうとう入学式がやってきますよー。

 

長い春休みもおしまい。子供が小学生になります。

 

んー、感慨深いなあ。

 

我が子、もう大概のことは自分でできるようになってましたが、やっぱり小学生になるというとなんか特別なことみたいな気がしますね。小学生。あっという間に6年間が過ぎていくんだろうなあ。その始まりがやってきたんだと思うとある意味ぞっとする。6年間が過ぎるって、要は私も6歳年をとるってことやからね。ああおそろしおそろし。ビビるわあ。

 

まあなんにせよ佳き日です。寝坊せんようにせねば。今日は早めに寝よ。

 

というわけで簡単に読書感想文。「小説宝石」がまとめたミステリーの短編集を読みました。収録作家さんが

 

東野圭吾

曽根圭介

大石直紀

前川裕

澤村伊智

若竹七海

鳥飼否宇

深水黎一郎 

東川篤哉

深町秋生

小杉健治

 

となっております。


有名な方ばっかりですねー。どれもこれも面白かったです。たまに「……ん?」っていうのもありましたが、まあ好みの問題なんでしょう。特に面白かったのが曽根圭介さんの「留守番」、若竹七海さんの「黒い袖」でしょうか。


「留守番」はちょっとアンジャッシュのコントみたいです。一軒家に40代半ばの男がひとり。家の留守電には「明日の昼帰ります」と娘からのメッセージ。 


そこに鍵を開けて入ってきた若い男。中年男を、この家の娘の父親だと勘違いします。男は若者を娘の彼氏だと考え、色々と聞き出そうとする。……ほら、アンジャッシュのコントでよく見るやつだ。結局中年男は娘のストーカー、若者はストーカーから彼女を救おうとする健気な彼氏ってオチ。


ストーカーは彼氏を殺しちゃって、すでに殺害済の娘の母親と一緒に床下にしまっちゃいます。さあ、もうすぐ娘が帰ってくる……。




「黒い袖」は警察官同士の結婚式に巻き起こる揉め事を、なんとかさばいて無事に式を終えようとする新婦の姉が主人公。コメディタッチでクスクス笑いながら読めます。


小さな謎がいくつか仕掛けられていて、お姉ちゃんは頑張ってそれらを解決していきます。そして最後の最後、このお姉ちゃんが尼僧だったという描写で最初の違和感が拭われる。お姉ちゃんは新郎の母親に、「あなたのような方がお式に出るなんて……」なんて言われてたんですね。もんのすごいこと言う姑。てか、なんでそこまで言われるの?


と、思っていた謎が解決。軽い語り口が楽しかった。短編ならではの読後感で楽しかったです。他の作品も、色々勉強になりました。




さて、次に書く短編についていくつか案が纏ってきてまして、やっぱり大筋ではミステリーになりそうです。「人が死なないミステリー」、もしかしたらベタに探偵出しちゃうかも知れません。


「池袋ウエストゲートパーク」も「母喰鳥」も主人公に強烈な個性がありました。そんな個性を秘めた女探偵が主人公だったら面白いかなあなんて思っている。女探偵が暴く男と女のドロドロミステリー。くすす……楽しそう。


そう言えば私、子供の頃は探偵物ばっか書いてたんですよ。思い出す。必ずひとりハッカーが混ざっていた。時代だ。あーゆうのがかっこいいと思ってたんだよねえ。


一方で個性豊かな子供達が悪(変態ロリコン)に立ち向かう、みたいな話も書いてみたいなとおもっているので、まだ当分プロットは固まりそうにありません。楽しみながら練っていきたいと思っています。そうそう、それと並行して、自分史を書いてみたりもしてるんです。これは、ネタ探しの一環で。


生まれてから今まで、自分が体験したことを時系列で見える化してみようと思って。1年半ぐらい小説書いてみて分かったんですが、結局人間って自分が見聞きしたこと以外書けないんですよね。だったら昔の記憶を掘り出さなきゃ。忘れてしまいそうなエピソードを残しておかなくちゃ。


「普通の家庭で育って四大出て就職して結婚」みたいな人生じゃなかったので、書くことが膨大過ぎていつ纏まるのか分かりませんが。まずバイト先だけで20以上だし、付き合った男もぐちゃぐちゃだから時系列で思い出せない。


接客業だったのでびっくり人間にも大量に会ってるんですが、多過ぎて図鑑レベル。ちゃんと思い出してみると犯罪行為が随所に見受けられる。よくこの歳まで生きてるなあ私、とか思う。コレをネタにしない手はない。




そんな訳で、本を読んで、過去をほじくり返して、面白い短編を書けるように頑張ります。とりあえず明日は入学式。エレガンスママを演じるだよ。ネイルをベージュに変えねば。


ではではまたっ!