読書感想文70 ミステリー傑作選 Shadow 闇に潜む真実 | 恥辱とカタルシス

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作家志望、渋谷東子と申します。
よろしくお願いします。

ちょっと間が空いちゃいました。

 

こんにちは、渋谷です。

 

 

 

短編を書き始めましたよー。なのであまり本が読めなかった。久々の更新になりました。子供がまだ午前中に帰ってきちゃうのでじっくり時間をとれないっていうのもありますが。

 

なにせ昨日一昨日とこっち寒くって。もう衣替えしてたもんだから春物で通したら身体が冷えちゃって。

 

私だけかもしれないんですけど、冷えるとなんか眠くなりません?なるんですよ。だから冬とかめちゃめちゃ眠いんですよ。毎日昼寝2時間とかしちゃうんです。昨日も一昨日もそんなわけでよく寝た。午前中の時間に小説も書きました。プロットをしっかり組み上げてみると100枚では収まりそうにないボリュームになったのですが、それを言葉を厳選して短編に収めるっていうのを今回の目標にしてやってみたいと思います。

 

最近書いた作品では際立った変人を書くことが多かったのですが、今回は「外から見る分には普通の人のちょっとした狂気」みたいなのが書けたらいいなと思います。バイオレンスもSMもエロも封印です。夫に見せても困らないやつを書きたいと思います。さあ、頑張るぞ。

 

並行して、ミステリーの短編集を4冊借りてきたので読んでいきたいと思います。1冊目は「Shadow 闇に潜む真実」。

 

日本推理作家協会が、「日本推理作家協会賞」の選考に残った作品をまとめた短編集のようです。だからどの作品も粒ぞろい。収録作家さんが

 

深水黎一郎

塔山郁

相沢沙呼

曽根圭介

秋梨惟喬

道尾秀介

 

となっております。

 

 

 

この中で特に面白かったのが、曽根圭介さんの「義憤」と道尾秀介さんの「橘の寺」かな。

 

「義憤」は犯罪被害に遭い、本人もけがを負った上に子供を殺された母親の復讐劇。

 

被害者担当班という、被害者の相談に乗ったりする刑事さんがいるんだそうで。その被害者担当班の女性刑事と組む、後輩の男性刑事が語り手です。この結城という女性刑事がとにかく無茶苦茶。被害者を気遣う気持ちなんて微塵もない。「いつまでもぴーぴー泣いてんじゃねえよ」とか毒づいちゃう。すげえ……これが個性か。キャラが立ってますね。

 

捜査班の捜査により、ひとりの容疑者が浮上します。被害者女性の話に基づいたモンタージュにもそっくり。動機もあるしアリバイもない。なのにマジックミラー越しの面通しで、被害者は「この人じゃありません」って言うんですね。「声が違う」と。捜査班は「そんな馬鹿な」となります。だって状況的にはこの容疑者が犯人であることが一番自然なんですから。

 

でも結城は「被害者が違うって言ってるんだから違うでしょうよ」と捜査会議で大暴れ。それによって捜査班を外されます。容疑者の自白で逮捕も近いかと思われたある日、事件は急展開。

 

被害者の女性がまた同じ男に襲われたのです。大けがを負った被害者。「じゃあ真犯人は別にいるんじゃん」となりますよね?容疑者は警察に拘留されてるんだから。ここからが、びっくり。

 

自宅に戻ることを許された元・容疑者が殺されたのです。犯人は被害者の女性。被害者女性は容疑者を自由の身にするために芝居を打ったのです。同じ犯人に二度襲われた、というのは狂言。二度目の被害は自作自演だったんですね。

 

自分の手で息子の仇をとりたかった。そして結城という女刑事は、この被害者女性の心情を読んでいた。読んでいて止めなかった。むしろ後押ししようとしていたんですね。うーん、なんとも奥が深いお話です……。

 

結城には一人で育てている息子がいるんですが、この子が不慮の事故で障害を負っちゃってるんですね。その事故も「幼稚園のジャングルジムで誰かに突き落とされた」というもので、その原因ではないかという少年も謎の死を遂げていたりします。結城の仕業なのではないか、という噂があるとかないとか。この裏話があって、一連の事件の余韻が深まります。ブラックヒーロー、いやヒロインか。このヒロインが出てくるお話が他にもあるんなら読みたいなあ。曽根圭介さん、ファンになっちゃったかもしれません。面白かった。

 

 

 

そして道尾秀介さんの「橘の寺」。昨日プレバトに出てたね。Twitterで見かけて、普段見ない番組なのにワクワクしながら待ってたのに。

 

夏井先生たらいけずなんだから。まあいいんですけど。なにせこの「橘の寺」は良かったです。こういっちゃなんですがあたしゃ泣きました。短編に泣かされるとは思わなかった。

 

この作品は本来短編連作らしくて、その中の1作です。「リサイクルショップ・カササギ」の店長華沙々木が名探偵役、副店長日暮がワトソン役と見せかけて、華沙々木の推理はいつも外れて日暮がこっそり真相を暴く、という形も面白い。

 

今回のお話は「父恋草」とでも言いましょうかね。ひとりの住職が引き取った、身寄りのない少年が主人公。大きなトリックが仕掛けられているわけではありませんが、真相が二転三転して息をつく暇もありません。丁寧に書けば、小さな謎であってもこんなに面白い話に昇華することができるんですねえ。面白かった。この連作は探して読みたいと思います。やっぱり道尾秀介さんは面白い。俳句なんか上手じゃなくたっていいんだ。だって道尾さんは小説家なんですもの。

 

 

 

というわけで、次もミステリーの短編集です。週末はたくさん読めるといいな。というわけで。

 

またねー。