アレキサンダー(3点) | 日米映画批評 from Hollywood

アレキサンダー(3点)

採点:★★★☆☆☆☆☆☆☆
2005年1月20日(映画館)
主演:コリン・ファレル
監督:オリバー・ストーン


 製作品200億円、アカデミー賞監督オリバー・ストーン、そして「フォーン・ブース 」、「リクルート 」、「SWAT 」と主演を果たし、自分の中で株が急上昇中のコリン・ファレル主演ということで期待していた作品。


【一口コメント】
 製作品200億円をかけて作った"ダラダラ感一杯"の作品です。


【ストーリー】
 紀元前356年、アレキサンダーはマケドニア王の子として生まれる。しかし、父と母の争いは絶えることなかった。自分に王位を奪われることにおびえる父、逆に息子を王にすることにひたすら力を費やす母。そんな幼少期を過ごしたアレキサンダーだったが、ヘファイステヒオンという生涯の友(後に恋人(ゲイ)になる)を見つけることできていた。
 やがて彼は文武両道を成し遂げ、家庭教師も一目置くようになる。そんなある日、父親が暗殺され、20歳にして王となる。それ以降無敵の強さを見せ、当時世界最強と言われていたペルシア帝国の首都バビロンをも落とす。そして彼は西アジアを統一し、インドへとその勢力図を広げようとするが―――。

【感想】

 アレキサンダー大王。歴史上に実在していたとされる史上初めて世界を統一した(当時わかっている範囲という意味で・・・)と言われている男。そこに加えて30年余りという短い生涯だったことも、この男の人生をより一層神秘的なものに高めている。
 そんな彼の生涯を描いた映画なので、面白いはずなのだが、見終わった後も、そして見ている最中も、不快感の募る作品だった。
 というのは、アンジェリーナ・ジョリーが母親役として作品中に何度か登場するのだが、アレキサンダーの幼少期も青年期もそして死ぬ直前まで、一向に年をとらない、というのが一原因。アレキサンダーの生涯がいかに短いとはいえ、30年という歳月の中で母親がまったくもって年をとらないのは異常。ハリウッドの技術を持ってすれば、その辺りはどうにでもできるはずなのに、それをなぜしなかったのだろうか?仮にアレキサンダーが成人していても、母親は40代で若く綺麗だったというのなら、10代後半で出産ているはずなので、10代後半に見えるようにメイクするべきだし、逆に20代後半から30代前半に出産したというなら、アレキサンダーが死ぬころには60歳に見えるようにメイクするべき。しかし、この作品では最初から最後まで、母親だけは年をとらないのだ。

 またインドにおける戦闘シーンの中で、象と馬が共に前足を上げて後ろ足で二本立ちして対面するシーンがあるのだが、監督の狙いとしては映画史に残るような印象的な戦闘シーンを撮りたかったのだろうが、映画館内では笑っている人もいたし、自分としても印象的というよりは、滑稽に映った。というのは、そこにいたるまでの描写過程がうまくつながっていないから。
 例えれば、「
タイタニック 」の中で主人公の二人が船尾でするポーズは、あくまでもそこまでの一連の流れがあるからこそ、映画史に残る名場面になっているのであって、流れがなく、いきなりあのポーズを見せられてもそれはコメディーにこそなれ、印象的シーンにはならない(逆の意味で印象的といえば印象的だが・・・)のだ。しかし、この作品ではそれが見事にコメディー・シーンに仕上がってしまっている!

 このシーンが象徴しているように、この作品は全体を通して流れが悪い。見ていて退屈なのだ。全編で3時間という長編なので、退屈な場面がいくつかあってもそれは仕方がないのだが、あまりにも退屈な時間が長すぎる。それ故に全体のリズムが悪くなってしまっている。ひとつひとつの場面、場面はうまく撮られていると思うシーンもあるのだが、良く言えば"冗長性がある"、悪く言えば"ダラダラ感一杯"、といった感じで、いかんせん不要なシーンが多すぎる。
 例えば、戦闘シーンが終わるたびに祝勝会のような形で酒の席のシーンが何度かあるのだが、はっきり言って全て要らない。自分が編集をするなら、ばっさり切ってしまう。それで30~40分くらいは短くなるのでないだろうか?

 2004年、全米公開された歴史大作3部作(「
トロイ 」、「キング・アーサー 」、そして今作品)の完結編として期待していた作品でしたが、三作品の中で最低評価をつけざるを得ない作品です。