ト ロ イ(6点) | 日米映画批評 from Hollywood

ト ロ イ(6点)

採点:★★★★★★☆☆☆☆
2004年5月28日(映画館)
主演:ブラット・ピット
監督:ウォルフガング・ぺ-ターゼン


 ブラット・ピットとオーランド・ブルームという現代の二大美男子の競演による史上最大の愛のための戦いということで、 随分前から楽しみにしていた作品。


【一口コメント】
 "史上最大の愛のための戦い" この宣伝文句に嘘はありません!


【ストーリー】
 トロイの王子ヘクトルの弟パリスがスパルタの王妃へレンを略奪するところから物語りは始まる。 この禁断の恋が紀元前12世紀に起こったといわれる伝説的なトロイ戦争と呼ばれる史上最大の愛のための戦いへと発展していく。ヘレンを取り戻すために差し向けられたのは、アガメムノン王率いるギリシャ軍の千艘もの船、そして無敵の戦士アキレス。
 アキレスのおかげでトロイの海岸への上陸に成功したギリシャ軍だったが、アキレスは上陸時に捕虜にしたヘクトルの従姉妹プリセウスに出会い、次第に愛情を抱いてく。アガメムノンはプリセウスをアキレスからさらってしまう。その結果、以前から個人的な利得のためだけに軍を動かすアガメムノンに好意を持っていなかったアキレスは陸地戦への参加を拒否し、トロイ軍の王子ヘクトルの手腕により大敗してしまう。
 そしてギリシャ軍とトロイ軍の戦いは佳境へと入り込んでいく。アキレスの振りをした弟子がアキレスの軍を率いて、トロイの軍勢と戦うがヘクトルによって、その弟子が殺される。そのことを知ったアキレスはヘクトルと一対一の戦いを挑む―――!!

【感想】

 パリスの略奪愛とアキレスの愛、この二つの"奪い合い"ならぬ"奪い愛"が、この作品の大きな見所ではあるが、それ以外にも大きな見所が2つほどある。
 =アキレスとヘクトル=
 いわずと知れたトロイ戦争の二大戦士であり、この作品の実質的な主役の二人だが、実は二人ともトロイで生まれた兄弟だったという説もある。作品中でアキレスがヘクトルのことを"Brother"と呼ぶシーンがあるが、この"Brother"には"一緒に戦ったもの"という意味だけでなく、血のつながりもある本当の"Brother"という意味も込められていたのではないか?
 どちらも実に優秀な戦士で部下の信望も厚く、戦士としての能力も申し分ない。アキレスの強さの描き方はすばらしい。心に何かとても大切なもの(たとえば己のプライドだとか出生の秘密だとか)を抱えたものの強さとでも呼べばいいのだろうか?超人的な強さとともに超人的な心の強さも持っていることが実にうまく描かれている。
 またヘクトルの優秀さもうまく描かれている。部下の信望を集める姿といい、会議における王の立て方(これが引き金となり、トロイの運命が決まってしまうが・・・)といい、軍を率いる者としての統率力といい、非の打ち所がない。
この二人が本当に兄弟で、ともにトロイのために戦っていたら、歴史が大きく変わっていたのかもしれない。

 そしてもうひとつの見所はCGを駆使したギリシャ軍の航海シーン。千艘にも及ぶ大軍隊が海を渡るシーンは爽快な印象を与えてくれる。

 しかし、一対一の戦いにおけるパリスのひ弱さの描き方は、実にうまかったのだが、そのパリスがアキレスを殺すのはどうなんだろう?しかも「
ロード・オブ・ザ・リング 」のレゴラスよろしくの弓矢だし・・・。たとえ史実に基づいているのだとしても、そこは少しくらい設定を変えるなり、一対一のひ弱さをもう少し強くするなりしてもよかったのでは・・・?あの設定だと、見る人によっては最後の最後で今までのストーリーをすべてぶち壊されてしまいかねない気がします。