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January 22, 2012

ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル(7点)

テーマ:アクション

採点:★★★★★★★☆☆☆
2012年1月16日(映画館)
主演:トム・クルーズ
監督:ブラッド・バード


 大ヒット・シリーズ5年ぶりの新作。日米でこの冬一番の大作と期待されていた作品でもある。

【一口コメント】
 エンターテインメント娯楽大作としては面白いが、名作と呼ぶには少しだけ物足りないスパイ映画です。


【ストーリー】

 イーサン・ハントはモスクワの刑務所からある人物の脱出を導いた直後、別の目的のために、クレムリンに侵入する。だが、そこで爆破テロに巻き込まれてしまう。病院で目覚めたイーサンは、ロシアの諜報員に爆破テロの首謀者だと決め付けられ、逃亡をするはめになる。
 IMFに救助を求めたところ、イーサンを迎えに来たのはなんと、IMF長官だった。ロシア政府は爆破テロの首謀者をアメリカだと疑い、一方のアメリカは関与を否定するために「ゴースト・プロトコル」を発動し、IMFは解体され、イーサンのチームはテロリストとして追われる身となってしまう―――!

【感想】

 目新しさはないが、面白い!簡単にまとめるならこんなところか?
 話の大筋はロシアではなく、ソ連とアメリカが冷戦を繰り広げていた一昔前のような設定になっていて、今の時代にはそぐわない。悪く言えばひねりがない、良く言えば単純明快。

 このシリーズはオープニングが面白い。この作品もそこは引き継いでおり、刑務所からの脱出劇とそれに続く、導火線点火+テーマ曲の流れによるオープニング。つかみはいつもどおりの安心パックだ。

 ただし、作品全体を通して、悪役の存在感が薄く、それが作品全体の緊張感の欠落にも結びついている。良い映画というのは良い悪役が必要である、とどこかの誰かが言っていて、個人的にも"憎たらしい"とか"恐ろしい"と思える敵役がいる映画というのは、点数が高い。
 この点が解消されていれば、もう1つ上のレベルの作品としてシリーズ最高傑作にもなっていただろう(個人的にはパート2のジョン・ウー演出が最高傑作です)。

 アクション面でも、サスペンス面においても、この作品、最大の見せ場がドバイの世界一の高さを誇るビル。
 高層ビルのサーバー・ルームに侵入するのに内部からの侵入は難しいから外部から・・・と言っておきながら、窓ガラスが割られても感知しないセキュリティってどうなんでしょう?というヤボな突っ込みはさておき、このビルの壁面を上る人間を誰にするか?を決める時にチームのメンバーが皆嫌がって、仕方なくというか、嫌々イーサンが上ることになるわけだが、前作までなら、率先して俺が!というはずのイーサンのキャラ設定を人間臭くしているのがこの作品の特徴かもしれない。
 人間臭さという意味では、そのビル上りの帰り道で窓ガラスに思いっきり頭をぶつけるシーンがあるが、これも今までのシリーズではあり得なかった人間味あふれるシーンだ。そしてオープニングの病院から抜け出すシーン。スパイ映画としては、それほどの高さでもない場所から、ゴミ箱に飛び込むことを躊躇するという描写もここで生きてくる。しかし、世界一の高層ビルでの見所がアレだけなのは正直物足りない。
 アクション面では他に、砂嵐の中でのチェースは新鮮だった。通常であれば、暗闇でのチェースになるところ、監督としては暗闇の変わりにドバイらしいものということで砂嵐を使ったのだろうが、目を開けられない状況の中で、目に見えないものを追うっていうのはさすがにリアリティに欠けたし、スクリーン上でも何が行われているのか、わかりにくかった。

 サスペンス面に目を移すと1つのフロアの上と下でまったく同じ内容の交渉を相手を摩り替えて成立させるという頭脳戦は素晴らしい完成度だった。ここ数年でもトップ・レベルのサスペンス・シーンと言っても過言ではないくらいのレベルだ。
 部屋の番号を好きに変更できるアイテム、目で見たものを印刷できるアイテムなどスパイ映画ならではの秘密道具も大活躍し、Mission Impossibleシリーズを深く印象付けるシーンでもある。
 アイテムといえば、オープニングで、「この指令は○秒以内に自動的に消滅する!」というお約束のシーンがあるのだが、これが消滅しない。このシーンをはじめとして、今回は何か壊れるアイテムが多かった気がする。例えば、スパイダーマン手袋。窓ガラスを上っている最中に右手のものが壊れて、一度捨てたはずの手袋が、風にあおられたのか、ビルを上っていくと窓ガラスに張り付いている・・・、笑える。
 フェイス・マスク製造器ももったいぶって、登場するものの、マスクを使うシーンは1度のみ・・・、笑える。
 その一方で、おぉ!と感嘆してしまうハイテク機器も登場する。1つが上述の目で見たものを印刷できるコンタクト・レンズ。最近でこそ、パソコンに接続しなくてもUSBなどから直接印刷できるプリンターが発売されているが、目で見たものを印刷できるようになるのはいつになるんだろう?
 そしてもう1つがCGによる擬似背景装置。遠近感までをCGによって再現する道具。狭い通路をこの装置を使って目的地に接近する緊張感たるや、素晴らしかった。

 またこのシリーズの別のお約束、宙吊りシーンも登場するが、今回はトム・クルーズはそれをやらない。
 そのミッションは部下に託し、イーサン自身はパーティー会場で別の部下に指示をする。この作品はイーサンの人間臭さを出すだけでなく、シリーズを重ねるごとに、イーサンが現場で職業的にも年齢を重ねていることもさりげなく描いている。

 そしてラスト・シーン。シリーズ初見の人には何のことだか、さっぱりわからない不親切極まりないエンディングではあるが、シリーズを見てきた人にとっては、人間味あふれたこの作品を締めくくるに相応しい終わり方。
イーサンと妻のはかなくも切ない恋の距離感。このシリーズはどこに向かうのだろうか?

 しかしトム・クルーズ。さすがハリウッドで20年以上トップを張り続ける俳優だ。日本の49歳の俳優が高層ビルの窓を上っている姿は想像できないし、絵にならないと思うが、それが絵になるのだから、トム・クルーズはトム・クルーズだ!

December 24, 2011

J.エドガー/J. Edgar(4点)

テーマ:ドラマ

採点:★★★★☆☆☆☆☆☆
2011年12月18日(映画館)
主演:レオナルド・ディカプリオ、アーミー・ハマー、ナオミ・ワッツ
監督:クリント・イーストウッド


 イーストウッドXディカプリオ=50年近くFBI長官を務め、影の大統領とも言われた男、ってことで製作が決まった時から非常に楽しみにしていた作品。


【一口コメント】
 高級レストランで、高級食材をふんだんに使った中途半端な料理を出された感じの作品です。


【ストーリー】
 1924年、ジョン・エドガー・フーバーは29歳にして、FBIを組織し、その長官になる。その後、彼が死ぬまでの50年近くをFBI長官として、アメリカという国を時に法を犯してまでも守り続けた。
 フーヴァーは8人の大統領交代劇、3つの戦争、共産主義、黒人公民権運動といった時代の流れの中で、様々な脅威に直面しながら、情報は武器になる!を信念にFBIを指揮し続けた。相手が誰であろうとFBIを通じて得た秘密を巧みに使いこなし、大統領からマフィアまで脅しをかけ、多くの難事件を解決し、影の大統領と呼ばれるまでの地位に上り詰めた。
 多くの情報を操作する一方で、エドガーの私生活はほとんど知られていなかった。親しい関係にあったのは母親と秘書、そしてアシスタントの3人のみ。そしてエドガーとアシスタントの間には誰にも言えない秘密があった・・・。

【感想】

 どうしたんだ、イーストウッド?
 なんというか、今までの彼の作品は静かなトーンの中にも大きなテーマがあった。それが今回の作品には感じられない。"小さな"テーマみたいなものはいくつか見受けられたが、"大きな"ものはなかった。

 主人公であるエドガー自身は、世界に名だたるFBIを創設し、その後50年近くもその頂点を極め続け、時にはアメリカ大統領でさえも、その権謀術数をもって操り続けた男。これだけでも映画のネタとしては十分すぎるほどだが、さらにこの作品の"小さな"テーマの1つでもある秘密を抱えており、近代において彼以上に映画の主題に添えるに相応しい人物はいないのだろうか?
 そんな人物を主題にしているにも関わらず、作品に引き込む力が弱い。エドガーを演じたディカプリオの演技力は申し分ないし、1900年代前半~中盤にかけての衣装や街並みなどの時代考証もしっかりしている。が、あまりにも陰影が付きすぎた照明や"?"が頭に浮かぶメイクアップ、そして何より起伏のない物語の進行。主人公へ感情移入することができないまま淡々と進み、最後まで盛り上がりのないまま終わってしまった。
 イーストウッドの監督作品とは思えない仕上がりである。

 自分の知識の中ではエドガー・フーバーと言えば、情報化時代が到来する以前から、情報の使い方を熟知して、情報を武器に時に違法行為ですら行ってきた"悪賢い"というイメージである(そんな言葉はないが・・・)。
わかりやすく言えば、「DEATH NOTE
」の夜月ライトと言えば、わかってもらえるだろうか?
 なので、彼がいかにして情報を駆使してきたのか?という部分がどう描かれるのか?を期待していた。実際に違法行為をする場面は描かれているのだが、頭脳を駆使して悪いことしている感じがないため、盛り上がらない。
 また彼が持っていたと言われるトップ・シークレット以上のシークレット・ファイルについてもそんなに高尚な秘密でもなかったりして、やや拍子抜け。

 おそらく一番の問題は脚本だが、監督・イーストウッド、主演・ディカプリオ、そして影の大統領・エドガーと、これ以上ないくらいの高級食材がそろっているのに、それらを半焼けの状態で提供された感、そして喉の奥に小骨が刺さった感、といったら残念で仕方がない。


November 30, 2011

名探偵コナン 沈黙の15分 (4点)

テーマ:邦画

採点:★★★★☆☆☆☆☆☆
2011年11月28日(DVD)
原作:青山 剛昌
監督:静野 孔文


 今作で劇場版も15周年。ということで、劇場版が始まった当時小学1年生だった子供も既に二十歳を超えているはずだが、コナンたちは相変わらず、小学生のまま・・・。

【一口コメント】
 15周年記念作品ですが、15年の中でワースト2の作品です。


【ストーリー】

 12月のある日、東京都知事のもとに脅迫状が届いた。地下鉄の開通式に出席し、そのまま都知事が登場する地下鉄東都線のトンネルが爆破されるが、コナンの活躍により死者を出すことなく、大惨事は食い止められた。
 都知事が国土交通大臣だった頃に建設したダムの関係者が怪しいとにらんだコナンは、いつものメンバーと共にダム建設の際に湖に沈められ、移設された新潟県北ノ沢村を訪れる。
 北ノ沢村に到着したコナン達は8年ぶりに集まったという幼なじみの5人に出会い、8年前、同じ日に交通事故と崖からの転落事故が起こったことを知る。5人の同級生の内の1人の息子で、転落事故からずっと意識不明だった立原冬馬も8年ぶりに目を覚ますが、それを知った犯人によって彼は追われる身に・・・。さらに、幼なじみの内の1人が遺体となって、雪原で発見される―――。


【感想】
 15周年とは名ばかりで、15年でワースト2の作品です。しかもワースト2作品は群を抜いてのワーストです。ちなみにワースト1は「
紺碧の棺 」です。

 このシリーズの売りはあくまでも推理・謎解きで、劇場版はそこにアクションが入り込んでくるというもののはず。例年、この推理・謎解き:アクションの比率が6:4(劇場版初期)~4:6または3:7(最近の作品)くらいなのだが、このワースト2作にいたってはこの比率が1:9くらいになっており、こちらが犯人は誰なのか?とか、この謎はどうしてこうなったんだ?と考える楽しみがまったくない。
 謎解きらしい謎解きは、雪の平原に残った足跡くらいだろうか?犯人に関しても、明らかに怪しい人物がまんま犯人で、犯人を追い詰めるシーンもあまりにもサラッと流してしまい、どんでん返しも、ミスリードもない・・・。最初に出てきた都知事は良い題材になりそうだが、雪山で起きた事件に深く関わってくるのかと思いきや、何もない。
 またここ最近の劇場版のおなじみとなりつつあるのが、犯人の動機のしょぼさ。犯人の動機と実際に起こした犯罪の差があまりにも大きすぎて、感情移入も何もない。他の実写映画で何度も書いてきたが、登場人物への感情移入というのが映画を面白くする大きな要素である。それが主人公であろうが、敵であろうが、犯人であろうが、作品中の誰かに感情移入できるかどうかが、見終わった後の感想を大きく変える。しかし、この作品に関しては、感情移入できる人物がゼロ。感情移入してるからこそ、「何でこの人が!?」といったサスペンスならではの感情も理解できるのだが、コナンはコナンでスーパーマン過ぎるし、犯人も人物描写が少なすぎる。
 都知事を村に来させないために地下鉄を爆破したり、真の目的(10億円)のためにウン千億円はするであろうダムを爆破したり・・・、やや興ざめ。普通に考えれば、ダムを爆破するよりもダイバー・スーツ着て潜るほうが現実的だし、普通の人間があんなに大量の爆弾をどこから入手したのか?ダム職員でもない人間が、どうやってダムのあんな場所に大量の爆弾を仕掛けたのか?普通の一般人では到底できないレベルの犯罪ばかりで、お前はテロリスト集団の一員か?と考えれば考えるほど謎が深まる・・・。今回の謎解きはここなのか!?とさえ冗談ながらに思ってしまう。
 さらに駄洒落クイズも歴代最低レベルの駄洒落・・・、というか駄洒落にすらなってない。
 さらに子供たちだけで、スノーボービルを運転する描写もあるが、なぜ子供だけで運転できたのか?そもそも小学1年生だけでの運転を誰が許可したのか?個人的には久々にコナンが「いやー昔、親父がさ・・・」を使う絶好の機会だったのに・・・と残念でもあった。

 ただしオープニングのつかみは歴代最高レベルかもしれない。地下鉄爆破によって高速道路に電車が飛び出し、ギリギリのところで落下を免れるという実写であれば、ハリウッド大作でしか見れない映像を満喫させてくれた。
 が、天井をさかさまの状態で文字通り"逆"送したり、道路の脇を抜ければ良いのに、意味もなく蛇行して、追突事故を誘発しそうになったり、見せ場とは言え、劇場版シリーズでもトップを争う"あり得ねぇ"演出に笑ってしまった。
 どうせならそうしなければならない"必然"を作った上で蛇行させて欲しいかった。例えば、車が事故って、玉突きが発生しそうになって、後続車が急ブレーキや急ハンドルなので・・・とか?
 と思いきや、最後にダムが決壊した際に見せたスノボの激走シーンはさらにその上を行った!

 そして最も"あり得ねぇ"演出は、8年間寝たきりだった人間がいきなり立って歩けるという演出。普通歩けないどころか、起き上がることさえ難しいだろうに・・・。

 今回の作品は推理がない分、人間ドラマが普段より多く描かれていた。
 例えば、光彦と元太のケンカとそれに対するコナンの台詞、「言葉は人を傷つける刃にもなる」。ただし、これはコナンじゃなくて、蘭が言ったほうが良かったのではないか?という思いもある。
 また冬馬という、コナンや灰原とは真逆の設定の存在は面白かった。15歳の体に7歳の心を持つ青年と、逆に小学1年生の体に高校生や大人の心が宿っているコナンや灰原。設定的には面白かったのだが、せっかくの対比構造も上手く使われていない。
 冬馬の苦悩は上手く描けているのに、それをコナンや灰原の苦悩につなげないのはもったいなかった。

 15周年+初の冬が舞台ということで期待値が高かったためかもしれないが、最後にやっていた来年の作品予告はスタジアムを予感させる映像だったので、サッカーが絡むのか?とまた期待が高まってしまった。

October 31, 2011

名探偵コナン 迷宮の十字路 (6点)

テーマ:邦画

採点:★★★★★★☆☆☆☆
2011年10月30日(DVD)
原作:青山 剛昌
監督:こだま 兼嗣


 前作がロンドンを舞台にシャーロック・ホームズをテーマにしていた反動か、日本の古都、京都を舞台にした劇場版第7弾。


【一口コメント】
 「そうだ、京都へ行こう!」の会社の陰謀(宣伝?)が絡んだミステリー作品・・・ではありません。


【ストーリー】
 東京・大阪・京都で、5人の男が殺害される事件が発生した。捜査の結果、殺された5人が古美術品を狙う窃盗団"源氏蛍"のメンバーであることがわかった。
 同じ頃、コナン一行は京都に来ていた。12年に一度公開する秘仏が何者かに盗まれていた山能寺に、最近その仏像のありかを示すという謎の絵が届き、小五郎に解読を依頼したのだった。
 西の高校生探偵・服部平次と共に謎の絵を解読するために京都市内を散策する2人の前に、突然ライダースーツの男が現れ、弓矢で狙撃される。2人はバイクで男を追跡するが、後一歩というところで取り逃がしてしまう。
その夜、コナン一行は御茶屋に招かれた。再び殺人事件が起きる!


【感想】
 京都が舞台ということもあり、日本人の琴線に触れるテイストなのだが、子供からすると、ひどくつまらない作品なのではないだろうか?なんていらぬ心配をしてしまった。
 実際、小学生の時に修学旅行で京都を訪れたが、京都そのものは面白くもなんともなく、夜の枕投げだったり、女子の部屋にお忍びで行ったり、子供の頃なんて、そういうことのほうが覚えているものではないだろうか?

 話がわき道に逸れてしまったが、いくらが大人も楽しめる作品とは言え、子供向けのアニメとして始まった作品がメインターゲットでもある子供が楽しめないテーマを選んでしまった時点で、この作品のターゲットは大人に絞られたと言っても過言ではない。義経記なんて子供が全く興味を示さないものまで出してくるし・・・。
 実際、服部平次の初恋がサブテーマとして、小学生低学年にはおよそ似つかわしくないが大人にとっては淡い気持ちを呼び起こさせるテーマを持ってきてたりもする。
 というわけで大人向けの作品として見るとなると、この作品のミステリー要素、サスペンス要素はあまりにも安っぽいし、犯人の動機も、ものすごく子供っぽい。そもそも犯人一味が地元京都の人間であるにも関わらず、あの絵の謎を誰一人解けないというのが解せない。京都の小学生でも解けるレベルの謎ではないだろうか?

 というわけでシリーズ史上でも最低レベルに属するサスペンスではあるが、劇場版のもう一方の売りであるアクション・シーンはどうか?
 メインはバイクのチェースとクライマックスの日本刀による決闘。バイクは実写では難しい、アニメならではのアングルとCGを使った絵の力、そしてカット割の妙で非常に面白いチェースになっている。
 そしてクライマックスの日本刀バトル。こちらはバイクとは逆に実写で見られるほどの迫力はない。侍ものの実写映画といえば日本映画界の十八番であり、一方アニメでの刀バトルは実写に比べれば日が浅い。重ねてきた歴史の長さが思いっきり出てしまっている。

 この作品の売りは他のシリーズとは異なり、謎解きでもなく、アクションでもなく、平次の初恋なのかもしれない。考えてみればオープニング、桜の木の下で手毬歌を歌う少女を見つめる平次という始まり方からして、そうだった。
 そう考えると平次と和葉の初恋を通して、実は新一と蘭の恋物語にもスポットを当てているのも納得がいく。月の明かりの下の待ち合わせの話なんてその最たる例以外何者でもない。
 もう1つ売りがあるとすれば、舞台となった京都。京都駅や五条大橋、鴨川なんて有名観光地が次から次へと出てきて、アニメであるにも関わらず「そうだ、京都へ行こう!」なんて某CMのフレーズが頭の中に出てきたりもした。実はこのCMの会社の巨大な陰謀(宣伝?)ではないだろうか?なんて妄想も浮かんでは消えていった・・・。

 まとめるとこの作品は謎解きとアクションを楽しむという従来の劇場版コナン・シリーズではなく、淡い恋愛と京都を楽しむというコナン・シリーズの売りとはまったくかけ離れたテーマの作品です。

September 26, 2011

ミッション:8ミニッツ/SOURCE CODE (9点)

テーマ:サスペンス

採点:★★★★★★★★★☆
2011年9月23日(飛行機)
主演:ジェイク・ギレンホール、ミシェル・モナハン
監督:ダンカン・ジョーンズ


 韓国出張の帰路、大韓航空ソウル発ロサンゼルス行きの機内で見た作品。アメリカでは随分前に公開され評判も高かったが、見逃していた作品。


【一口コメント】
 感動で泣けるサスペンス、久々にハリウッドの良質脚本映画です。


【ストーリー】
 ある日、コルターはシカゴに向かう列車の座席で目覚める。目の前の女性が、親しげに話しかけてくるが、彼は自分がなぜここにいて、彼女が誰なのかわからなかった。陸軍大尉のコルターは、アフガニスタンで戦闘ヘリを操縦していたはずだった。
 鏡を覗きこんだ彼の眼に映ったのは、見知らぬ別人の顔。所持していた身分証明書には、別人の名前が記されていた。そして突然、車内で大爆発が発生―――。
 コルターが意識を取り戻すと、目の前のモニターにグッドウィン大尉が映し出されている。彼女の説明によると、"ソースコード"と呼ばれる特定の人間の過去の意識に8分間だけ入り込むことができるシステムによって、同一犯による次の爆破事件を未然に防ぐための作戦だという。しかし8分間の過去を繰り返すことは何度でも可能だが、既に起きてしまった過去を変えることはできないという。
 何度も同じ8分間を繰り返す中で犯人の手がかりを捜すと同時に、アフガニスタンにいるはずの本来の自分・コルター大尉について調べてくれるよう、自分の対面に座る女性クリスティーナに依頼する。果たしてコルターは犯人を探し出し、本来の自分を取り戻ることができるのだろうか?


【感想】
 久しぶりに良質の脚本ドリブンのハリウッド映画を見た。
 タイムトラベルと言えば、タイムトラベル作品なのだが、あくまでもそれはこの作品の脇役というか、味付けの1つであり、メインディッシュではない。今までのタイムトラベル作品は過去を変えることで現在、あるいは未来を変えるというのが作品の大きなテーマであった。しかしこの作品のテーマは過去を変えることではない。
 そこが今までのタイムトラベル作品とは大きく違う。この作品の主役はタイムトラベルではなく、過去にヒントを得て、未来に起こるであろう爆破テロを防ぐという、あくまでも謎解きであり、それに伴う人間ドラマである。

 大前提として、1人の記憶の中に入り込むだけのシステムのはずなのに、その人の記憶以外の部分にも入り込めてしまうという大きな矛盾があるが、そこはその列車に乗っていた人たちの記憶をいくつもつなぎ合わせて「
マトリックス 」のような仮想空間を作り上げて、そこに送り込まれたんだろう・・・と自己解釈を付け加えて見るという柔軟性を持つことで、この作品の世界観に入り込んでしまえば、あとはスピーディーな展開と謎解きの面白さ、そして後半から入ってくる親子愛・恋愛要素の入った人間ドラマに最後まで飽きることなくのめり込むことができる。

 犯人探しにタイムトラベルを1つの要素として足したのが、この脚本の白眉とも言えるのだが、設定としてはSFの設定になのに、SFらしさを排除し、謎解きと人間ドラマに焦点を当てたのがこの作品の成功ポイントかもしれない。
 設定が複雑なはずなのに、非常にわかりやすい描写にしてあるのは脚本の力というよりは監督の手腕かもしれないが、これらの要素を90分ちょっとで描ききっている点も評価したい。
 また同じ8分間を何度も繰り返しているのに飽きることなく見られる画面構成力も素晴らしい。これは間違いなく監督の手腕。
 そして、この手の作品としては極めて短い上映時間でありながら、犯人探しと自分の過去探しという2つの謎解き要素を絡めつつ、最後に感動大作に仕上がっているのだから、素晴らしいの一言に尽きる。

 そして犯人探しが一段落してからの展開も、この作品を他の謎解きサスペンスとは一線を画している。
 =感動で泣けるサスペンス=
 この作品にキャッチ・コピーをつけるなら、こんな感じだろうか?
 これはもちろん主人公と父親の電話のシーンと、最後の8分間で列車に同乗していたコメディアンが乗客相手に笑いを取るあたりからの一連のシーンのこと。「ショーシャンクの空に
」を見終わった直後のスカッとした感動につながるものがある。

 冒頭にも書いたが、久しぶりにハリウッドのハリウッドらしい脚本ドリブンの作品でした。日本でもこういう作品が作られる日がいつか来るのだろうか?

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