リクルート(6点) | 日米映画批評 from Hollywood

リクルート(6点)

採点:★★★★★★☆☆☆☆
2004年1月23日(映画館)
主演:コリン・ファレル、アル・パチーノ
監督:ロジャー・ドナルドソン


【一口コメント】
 今まで描かれることのなかったCIAを描いた作品です。


【ストーリー】

 幼くして父親を亡くしたジェームズは有名大学MITに通っていた。サン・マイクロ・システムズからリクルートされ、卒業後の進路も約束されていた。ジェームズはバーでCIAの教官であり、採用担当者であるバークと出会い、ジェームズの父が実はCIAであったことをほのめかされ、ジェームズは彼のCIAへの誘いを受けることにした。
 CIAへ就職を決めたジェームズは、ファームと呼ばれる特別訓練基地でのトレーニング中、スパイとしての技術を叩き込まれていく。そのファームでジェームズは同じ訓練生のレイラと恋に落ちていく。
 ある日、バークは訓練生たちをバーに連れ出し、見知らぬ女性を誘惑して店から連れ出すように指示する。ジェームズはそこで泥酔したレイラを見つける。ファームから追い出されたという彼女を、ジェームズは介抱し、気分が悪いという彼女を外に連れ出した。その時、バーグの声が・・・「作戦完了!」。レイラのミッションはジェームズを妨害することであり、ジェームズはその罠にかかったのだ。バークは人を愛する心もCIAにとっては付け込むべき弱点でしかないということを教えたかったのだ。
 別の日、尾行の訓練中にレイラと組んだジェームズは、突然見知らぬ男達に襲われ、拉致されてしまう。男達は彼を様々な拷問にかける。それでも口を割るまいと必死で耐えるジェームズだったが、レイラも捕らわれていると聞かされ、男達の問いに答えてしまう。その時、目の前の壁が開き、「拷問が人に与える影響を、諸君に見せておきたかった。」と話すバークが現れた。
 この直後に訓練から外されたジェームズの元をバーグが訪ねてきた。バークは、ジェームズを辞めさせたのは特殊任務に就かせるための偽装であり、過去15年間の訓練で、誰よりも長く拷問に耐えたジェームズこそ、NOCと呼ばれる秘密工作員にふさわしいと語る。さらに、今回のミッションにジェームズを指名した特別な理由があった。それは、レイラ。特殊任務とは、実は二重スパイとしてCIAに潜入しているレイラの黒幕を暴くことだった。レイラと再会したジェームズは愛と秘密工作の間で揺れ動きながらも、秘密工作を遂行していった―――。

【感想】

 「007」シリーズや「ボーン・アイデンティティ 」など、今までにCIA工作員を主役にした映画は数多くあった。
 この作品がこれらの作品と大きく一線を隔しているのは、CIA工作員になるまでの過程を描いている点だろう。作品名が"リクルート"となっているので、そこを扱うことが事前にわかっていたのだが、改めてその過程を描いた作品が今までになかったことに気付かされる。そういえば、CIAにしろ、FBIにしろこういったスパイ関係の作品というのは最初からスパイであって、どうやってそのスパイになるのかという点を描いた作品はなかった。それが自分にとっては非常に新鮮で面白かった。
 またCIA工作員と麻薬密輸組織のように、CIAと対外の敵を描く作品が多い中で(たまにCIA工作員同士の対立を描いたものもあるが・・・)、この作品はCIA内部を描いているだけで、対外の敵は登場しない。この点も今までのCIA映画とは異なる点と言えるかもしれない。

 肝心のサスペンスとしての内容だが、裏切りに継ぐ裏切りが盛り込まれている。特にファームにおける"裏切り"は迫力があり、見ごたえ十分。同僚による裏切り、恋愛を絡めた裏切り、そして最後の最後、サスペンスの醍醐味ともいえる頭脳戦における二度の裏切りにはうならされた!!

 ところで主演のコリン・ファレルだが、「
マイノリティ・レポート 」でトム・クルーズと競演して以来、「フォーン・ブース 」、「SWAT 」と主演作が続いている。自分が見た作品に関していえば、外れがなく、脚本選びもしっかりできていると思われる。今後が非常に楽しみだ。