ボーン・アイデンティティー(5点) | 日米映画批評 from Hollywood

ボーン・アイデンティティー(5点)

採点:★★★★★☆☆☆☆☆
2003年1月31日(映画館)
主演:マット・デイモン
監督:ダグ・リーマン


 6つの名前と6カ国のパスポートを持つ、記憶を無くした男が自分が誰なのかを探るアクション映画。アメリカではヒット作の目安と言われる興行収入1億ドルを突破し、続編の話もある「007」や「ミッション・インポッシブル 」などのようにシリーズ化が期待されているスパイ映画です。


【一口コメント】
 アクションシーンは新鮮さに欠けるが、ストーリーそのものは新鮮なスパイ映画です。


【ストーリー】
 嵐の地中海で漁船が海に浮いている一人の男を救う。男の皮膚には銃弾が2発とスイス銀行の口座番号を示すカプセルが埋まっていた。やがて意識を取り戻すが、自分が誰なのか記憶をなくしてしまっていた。
 イタリアに上陸した男は公園で寝ていたところを警官に尋問される。その時無意識に体が反応し、2人の警官を倒し、逃亡する。自分の特殊能力に気付き、再び自分が何者なのか?と意識する。
 スイス銀行で自分の貸金庫を開けて中身を確認する。すると中からジェイソン・ボーンと書かれたアメリカのパスポートが出てくる。ようやく自分の名前がわかったと思いきや、奥の方から5カ国のパスポートと銃が出てくる。再び自分がわからなくなってしまう。周囲の雰囲気を敏感に感じ取り、危険を感じたボーンはアメリカ大使館に逃げ込む。
 その後も警官に追われたり、CIAの差し向けた殺し屋に追われながら、逃亡と自分探しの旅を続けていくボーン。その途中でマリーという女性と出会い、一緒に逃亡することになる。次々と立ちはだかる難関を越えて、ボーンは自分が誰なのかを見つける。そして・・・。

【感想】

 自分の記憶を無くしたスパイという設定自体は、今までのスパイ映画にはなかったもので、上司から与えられたミッションを、超人的な技術と知能でこなしていくという今までのスパイとは一線を画し、自分自身を見つけるためにいくつもの障害を乗り越えていく。そのためにハイライトと呼べるシーンがいくつもある。アメリカ大使館での逃亡劇、ボーンのアパートに乗り込んできた暗殺者とのバトル、パリ市内でのカーチェイス、リオン郊外での銃による暗殺者との対決、そしてラストのCIA支部における戦い。確かに見所は多く、面白いが今までに見たことのあるようなシーンばかりでいまいち入り込めなかった。アクションシーンで面白いのはやはり手に汗握るような緊張感の高い新鮮な映像であると思うから。その点が満たされていれば、もう少しひきつけられたかもしれない。

 とはいえ、ストーリー構成自体は興味深く、続編が公開されればぜひ見てみたいです。