タイタニック(9点) | 日米映画批評 from Hollywood

タイタニック(9点)

採点:★★★★★★★★★☆
1998年1月1日(映画館)
主演:レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット
監督:ジェームズ・キャメロン


 1997年12月20日、長い映画の歴史の中で数々の記録を打ち立てる映画が公開された。全世界で各国の興行収入記録を塗り替え、映画の製作費も史上最高額となる2億ドル(当時のレートで240億円)、そして映画界最高の名誉といわれるアカデミー賞でも史上最多タイの11部門を制覇!!それがこの映画である。
 しかし、公開前は大こけするのではと言われてもいた。そのために20世紀フォックスとパラマウント映画という2大映画配給会社も倒産するのではないかとさえ、言われていた。しかし蓋を開けてみれば全世界で18億ドル以上もの興行収入を上げ、映画史に残る名作となった。

【一口コメント】
 ブームが過ぎても、やはり名作は名作だ!!


【ストーリー】

 三等船室客の主人公ジャックと上流階級の娘ローズ、出会うはずのない2人が沈まない船と言われる豪華客船「タイタニック」の処女航海で出会い、恋に落ちるというストーリー。
 物語はこの2人を中心に進んでいくが、それ以外の人物描写もうまく成されている。ローズとその母親の関係、ローズと彼女の婚約者キャル、ジャックと共に乗船し、共にアメリカを目指したファブリツィオ、タイタニック号の船長、設計者アンドリューなどもわずかではあるがこの物語に色を添えている。

【感想】

 夕焼けに染まる船尾でキスをするシーン(このシーンはかなり流行りましたね)、救命ボートに乗ったローズが再びタイタニックに飛び戻ってくるシーン、貨物室の車のシーン、手錠をされたジャックをローズが助けるシーン、氷山との衝突シーン、沈みゆくタイタニックの中で覚悟を決め、船と運命を共にすると決めた船長、同じくブラスバンドの面々、そして最後の老婆となったローズがブルー・ダイヤモンドを海に投げ捨てるシーンなど、多くの名場面があるが、それら数ある名場面の中で自分が一番好きなのは三頭客船でのパーティーの場面。感動をするような場面ではないが、自分が海外旅行を通して経験してきた雰囲気にとても似ていて、アルコールと音楽とダンス。海外の現地生活を楽しむ三種の神器とも言えるこの組み合わせ、それらがそろった時、外国人はものすごくうまい楽しみ方をする。他のことは何も考えずにその瞬間瞬間を楽しむ。それがスクリーンを通してとても分かりやすく描かれていた。おそらくこの時間がジャックとローズの短い恋愛の中で、もっとも楽しかった時間ではないだろうか。だからこそ、自分にとって最高の場面はこの場面なのである。

 
映画好きという人の中にはあまりにもヒットしすぎた映画を嫌う人がたまにいるけど、それは少し違うだろう、と思う。映画というのは、もともと娯楽の1つとして生まれたものであり、大衆受けする作品というのはその点において、最高のものであるはずだが、それを嫌う人は、自分からすれば、本当に映画が好きなのか?と思えてしまう。そんな中で誰もが認める作品があるとすれば、この作品なのかもしれない。
 わざわざお金を払って楽しむのだから、興行収入というのは娯楽性の指標となるだろう。この点からみれば、史上最高の作品であることは間違いない。また芸術性という観点から言えば、アカデミー賞史上最多タイの11部門制覇という素晴らしい成績を残しているのだから、娯楽性、芸術性ともにかなりの優れた作品であると誰もが認めるのではないだろうか?