~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど -38ページ目

~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

ショスタコーヴィチの時代 ⑤

この前、ニコラーエワのショスタコーヴィチのピアノのCDを聴いたあとで、ピアノ・ソナタ第2番のCDを検索していて、発見したのがこのCD。op13の格言集も入っているので、これは買うしかないと注文したのでした。

【CDについて】

作曲:ショスタコーヴィチ

曲名:ピアノ・ソナタ第2番ロ短調 op61 (27:27)

   3つの幻想的舞曲 op5 (3.51)

   5つの前奏曲(1921) (6:30)

   7つの人形の踊り(1952)より、抒情的なワルツ (1:41)
   映画音楽「馬あぶ」op97より、小品、スペイン舞曲 (4:22)

   バレエ音楽「明るい小川」op39より、夜想曲 (2:17)
   格言集 op13 (13:30)
   バレエ音楽「黄金時代」op22より、ポルカ (1:54)

演奏:アシュケナージ(p)

録音:2003年4月23-24日(op61)、2003年9月11-12日(op61以外)

   サフォーク Potton Hall

CD:UCCD-41069(レーベル:DECCA、販売:ユニバーサル・ミュージック)

 

【曲と演奏について】

まずは、このCDへの第一の期待ポイント、ピアノ・ソナタ第2番から始まります。これは、まさにアシュケナージの世界ですね。少し軽めで切れのいいタッチのピアノの音、少し鋭角的でもあります。音はキラキラ輝きますがそれも適度な輝きです。そして何より、とても叙情的なリリカルな演奏でした。最後まで静寂の世界に周りが包まれていきます。円熟の時代のアシュケナージの聴かせる技が光ります。3つの幻想的舞曲も同様に表情豊かなものでした。

 

そして、このCDで初めて聴く二つの曲集。5つの前奏曲は、音楽院時代に仲間と分担して作曲した24の前奏曲集の一部であったと言われています。いろいろなスタイルで作られているところが面白く、後年の24の前奏曲に繋がります。そして10の格言集。ショパンコンクールで思うような成績を上げられなかったショスタコーヴィチの復帰第一作なのですが、この時期はアバンギャルドの影響も受けているようです。短い曲集ながら、それぞれの副題と表現されている音楽をみてみれば、ここでショスタコーヴィチの皮肉屋の一面が噴出した形になっています。興味深い曲集でした。

 

このその他の部分は、いろいろなタイプの映画やバレエ音楽、言わば実用的な作品からの抜粋を、自身がピアノに編曲したものが多くを占めています。スペイン舞曲とかはいかにも普通ですし、ポルカはまさにショスタコーヴィチの音楽だという感じですね。いろいろな面が散りばめられている大変面白いCDでした。

 

何より円熟の時期にあるアシュケナージのリリカルな演奏が素晴らしいと思います。すでに演奏活動からは引退してしまったアシュケナージですが、本当にいいCDを残してくれました。

 

購入:2023/08/09、鑑賞:2023/08/16

【CDについて】

作曲:ドビュッシー

曲名:海 (23:45)

   牧神の午後への前奏曲 (7:19)

   夜想曲 (24:43)

演奏:ブーレーズ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

   ジョン・オールディス合唱団(夜想曲)

録音:1966年12月19-21日 ロンドン Barking Town Hall

   1968年12月 ロンドン EMI Abbey Road Studios(夜想曲)

CD:30DC 750(レーベル:CBS SONY、販売:CBS SONY)

 

【曲に関して】

「海」はドビュッシーのみならず、この時期の印象派の音楽を代表する管弦楽曲の一つとなっています。書かれた時期は、ドビュッシーにとっても激動の時期であり、ペレアスの成功で名声が大きく高まり注目を浴びている中で、自身のスキャンダルで世間からはバッシングも受けるというタイミングであったようです。最終的にこの曲は成功をおさめ、名作の地位を確立します。初版の表紙には、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」の一部が描かれていました。

 

【演奏についての感想】

このCDは、「往年の名盤」なのです。長い間この曲の代表的な演奏のひとつであったのですが、ブーレーズ自身による新録音が出たので、今や新録音の方が名盤になっています。したがって、往年の…という訳です。それはさておき、ドビュッシーの海は、聞き流していても、もやもやしていてなんとなく捉えづらい感じがしつつ、しっかりイメージが植え付けられていくという意味で、まさに印象派を代表する作品だと思います。印象派といえば、小学校の時に松方コレクションの展覧会を見て、モネをはじめとする印象派の絵に感動して、美術と言えば印象派が大好きになったという経緯もあり、この雰囲気は好きです。

 

初めてこの曲を聴いたのは高校の時で、それもこのブーレーズ盤でした。その時は綺麗な雰囲気のいい曲だとは思いましたが、結局この曲はいつも雰囲気で聴いてしまうのか、あまり細かい所を追って聴いたことがありません。それ以降もいろいろ他の指揮者の演奏を聴いても、同じような聴き方をしているので、実は差をあまり認識しておりません。自分的には、この曲はこのブーレーズ盤の印象がしみついていると思っているので、何を聴いても、ここに戻ってくるという感じになっていると思いました。

 

改めて聴くブーレーズの演奏。全体的にはこの曲の性格上、普通に聴いていればイメージが結ばれて、その中に入っていくのですが、細かく集中して聴けば、ディティールも鋭くかつ綿密に表現されていて、その上強弱やニュアンスも強め、音も厚くダイナミックに動いています。聴けば聞くほど味があるという演奏だと思います。美しいだけではなく、表現がはっきりしているのではないでしょうか。これは「海」以外の他の二曲も全く同様だと思います。

 

【録音について】

1966年の録音。細部までクリアな美しい音で再現されています。

 

【まとめ】

このCDは、録音の長い歴史の中でも、一世を風靡したもののひとつですね。こういうCDは、自分の標準にもなりますし、時折振り返ると新たな気づきもあるかもしれないので、大切にしたいと思います。

 

購入:不明、鑑賞:2023/08/17(再聴)

【CDについて】

作曲:メンデルスゾーン

曲名:弦楽八重奏曲 変ホ長調 op20 (32:27)

演奏:ゲヴァントハウス弦楽四重奏団、ベルリン弦楽四重奏団

録音:1985年9月2-5日 ドレスデン ルカ教会

CD:TKCC-70270

   (レーベル:Deutsche Shallplatten、販売:徳間ジャパンコミュニケーションズ)

 

【曲について】

メンデルスゾーンが16歳の時の作品ですが、非常に完成度の高い、しっかりした作品になっています。演奏は、弦楽用重奏団×2のスタイルで、Vn4,Va2,Vc2という編成になります。第三楽章のスケルツォは、作曲者自身によって管弦楽編曲がなされており、これは、交響曲1番の第三楽章の代替用として編曲されたとのことです。なかなか印象的なスケルツォです。

 

【演奏について】

メンデルスゾーンの八重奏曲を聴きたくなったので取り出してきました。というのも、管弦楽編曲版のスケルツォを聴いていて、耳に残って仕方が無いので、原曲を聴いてみようと思ったのです。この曲を聴くのも随分久しぶりですが、メンデルゾーンは明るいので、いつ聴いても楽しいですね。この八重奏曲はなんと、16歳の時の作品。古典的な形式ですが、メンデルスゾーンの独自性も完成の域に達していて、特に後半の2楽章は八重奏の醍醐味を感じ取ることができました。

 

演奏するのは、弦楽四重奏団が二つ合わさった形の編成。両方とも、カール・スズケが第一ヴァイオリンを務めたことのある四重奏団ですので、スズケを中心とした演奏になるのだと思います。第一楽章は一番長いですが古典的な音楽で、この二つの四重奏団の重厚な音が楽しめます。第二楽章までは弦楽四重奏曲が厚くなったというイメージを持ちました。スケルツォはメンデルスゾーンらしい楽しい音楽で、細かい声部の動きも楽しめました。第四楽章はチェロが疾走しながら、これまでの主題が絡み合って進む、聴きごたえのある音楽を、二つの四重奏団がしっかりしたアンサンブルで演奏します。

 

このCDは、32分のこの曲が一曲だけ入ったもので、これはLPと同じ構成なのだと思います。短い曲だといろいろ組み合わせることも多いのですが、聴きたい曲が一曲だけ入っているというのは、今となっては潔くて、大変いいと思います。こういった形は好きです。日本で発売されたドイツ・シャルプラッテンのオリジナルLPデザインですが、この一連の抽象画っぽいデザインのLPは惹かれるものがありました。そのあたりも懐かしい感じのCDです。

 

【録音について】

ルカ教会での申し分のない優秀録音だと思います。

 

【まとめ】

いままであまり聴かなかったメンデルスゾーンですが、明るさに癒されるので、だんだん好きになってきました。いろいろ聴いてみたい作曲家です。

 

購入:不明、鑑賞:2023/08/15

最近リリースされた新譜から ②

グリーグのヴァイオリン・ソナタ全集ということで、買ってみました。記憶に残っていない曲たちなので、てっきり初めて聴く曲だ!、と思っていたのですが、うちの棚に存在しました、「デュメイ=ピリス」盤が…汗うさぎ

気を取り直して聴いてみましょう。デンマーク出身のデュオの演奏です。

【CDについて】

作曲:グリーグ

曲名:ヴァイオリン・ソナタ第1番 ヘ長調 op8 (23:16)

   ヴァイオリン・ソナタ第2番 ト長調 op13 (20:19)

   ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ短調 op45 (22:45)

演奏:ダムゴー(vn)、グリューステン(p)

録音:2023年1月7-8日,14-15日 イェリング Hjorring Gymnasium
CD:DACOCD964(レーベル:Danacord)

 

【曲に関して】

グリーグは3曲のヴァイオリン・ソナタを作曲しました。第1番と第2番はそれぞれ1865年と1867年の作品で、2年違い。第1番は、グリーグがコペンハーゲン在住していた20代の作品です。その後ノルウェーに戻ったグリーグは、1867年に結婚。そして、その20年後の1887年に第3番が作曲されました。第1番はロマン派の巨匠たちの音楽に倣った作品で、グリーグの円熟の時期に作曲された第3番が最も人気が高く、よく演奏されているということです。

 

【演奏についての感想】

CDが家にあったとは言え、曲の存在を忘れていたほどですので、初めて聴くようなものですが、予備知識として第1番はロマン派の作品に倣ったもので、第3番が最も人気があるとのこと。第3番を楽しみに、順番に聴いていきましょう。第1番は確かにオーソドックスなヴァイオリン・ソナタですね。ロマン派的な美しいメロディに満たされて展開していきます。ある意味心地よい音楽。この3曲の楽章毎の速度記号は、一部序奏部を除いてすべてアレグロかアレグレット。緩徐楽章がなく、楽章内での緩急のみのようです。

 

第2番になると、序奏部がついています。そして、メロディ的には民族音楽の要素が入ってきていると思いました。グリーグがノルウェーに戻って、地元の芸術家と親交を深めていく時期でもあるようです。そして、20年後の第3番。この中では人気曲というだけあって、内容が数段パワーアップしました。なるほど、細かな装飾やドラマティックな展開もふんだんに入り、演奏会映えもしそうです。もちろん、初期作品のシンプルな美しさも捨てがたいのですが…。

 

演奏するダムゴーと、グリューステンは、王立デンマークアカデミーの級友で、10年も前からコンビを組んでいるとのこと。海外公演もこなしながらデンマークを拠点に活躍中です。ダムゴーは強めのしっかりした音で演奏しますが、バランス的にはグリューステンもほぼ対等に音楽を作っているといっていいのかな?それほど個性的なニュアンスや表情をつけると言ったことはなく、若々しくも堅実な演奏になっていると思います。息の合った二人のこれからの活躍に期待したいと思います。

 

この二人の演奏から、シマノフスキ:神話-3つの詩 op.30よりナルシス

(ちなみにこのグリーグのCDも、TouTubeで聴くことができるようです)

 

【まとめ】

デンマークの若手音楽家の演奏する、グリーグのヴァイオリン・ソナタでした。美しい音で丁寧に、音楽そのものの姿を表現した録音だと思います。今回も、新たな演奏家との出会いの楽しいCDでした。

 

購入:2023/08/09、鑑賞:2023/08/15

【CDについて】

①作曲:ベートーベン

 曲名:ヴァイオリン・ソナタ 第9番 イ長調 op47「クロイツェル」 (34:11)

②作曲:フランク

 曲名:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 (25:46)

演奏:パールマン(vn)、アルゲリッチ(p)

録音:1998年7月30日 サラトガ Saratoga Performing Art Center(ライヴ)

CD:7243 5 56815 2 2(レーベル:EMI、販売:EMI Records)

 

【曲について】

クロイツェル・ソナタと通称されている、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番は、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタの中でも最も規模が大きく、ヴァイオリン・ソナタの傑作とされています。ベートーヴェン自身がつけた題は、「ほとんど協奏曲のように競って演奏される、ヴァイオリン助奏つきのピアノソナタ」とのことです(wiki)。ヴァイオリン・ソナタとして、両者が対等なスタイルというのは、この時期珍しかったようですね。

 

【演奏について】

パールマンと言えば、高校生の頃だったか、テレビでベートーヴェンの春とクロイツェルを見たことが印象に残っています。ヴァイオリン・ソナタという形式の曲を聴くのも始めただったかもしれません。パールマンの音は暖かい感じがしました。今日は、そのパールマンとアルゲリッチの協演のライヴ。この組み合わせでどんな演奏が聴けるのだろうと、期待が高まります。サラトガでのライヴで、イ長調の二つの曲が組み合わされています。

 

当時の二人の大巨匠の協演ということだけから言えば、それぞれの特色を存分に出したスリリングな競演というイメージも思い浮かべましたが、いざ曲が始まってみると、全くそういうイメージではないですね。二人の演奏から、超一流の技巧に裏付けられた、表情の豊かな音楽が流れてきます。それはお互いに誇示することもなく、あまりも自然に流れていきます。あたかも、パールマン=アルゲリッチという、一つの音楽としての人格がそこに出現したようです。室内楽とはこういうものだのかと、改めて感じ入らずにはいられません。

 

アルゲリッチのこの演奏を聴いていると、パールマンのヴァイオリンにすっと寄り添っていくような雰囲気が感じられました。特にベートーヴェンでは、ニュアンスが溶け合って流れを作り出している感じがしました。フランクはとても叙情的な演奏になっていると思います。二つのパートが独立して動く部分が多いと思いますので、ベートーヴェンとはまた違った一体感が生まれて、この曲がとてもロマンティックな演奏になって流れ出していると思いました。

 

【録音について】

ライヴではありますが雑音が少なく、音量は小さめでクリアです。前後に拍手が入ります。

 

【まとめ】

室内楽のライヴ演奏を聴く一つの醍醐味を、CDを通して体験することができます。素晴らしい一時間が体験できます。

 

購入:2023/07/18、鑑賞:2023/08/14

ブルックナーを聴こう ⑩
ブルックナーを順番に聴くシリーズもついに最終回。今回は、いろいろ変化球ではなくて、ひところ気にいって、よく聴いていたCDにしました。スクロヴァチェフスキには9番は何種類か録音があると思いますが、長年指揮台に立ってきたミネソタ管とのセッション録音です。

【CDについて】
作曲:ブルックナー

曲名:交響曲第9番二短調 (59:30)

    (原典版:ノヴァーク校訂版)

演奏:スクロヴァチェフスキ指揮 ミネソタ管弦楽団
録音:1996年11月17-18日、ミネアポリス Orchestra Hall
CD:RR-81CD(レーベル:Reference Recordings)

 

【曲について】

ブルックナーの第9番は、むか~し、ブルックナーをほとんど聴かなかった時期も、この曲だけはじっくり聴いていた時期がありました。会社の同僚がアマオケでヴィオラを弾いていて、この曲を演奏することになった時に、招待されたからです。いきなりブルックナーの知らない曲だと寝てしまいそうなので聴きこんだのですが、それ以来第二楽章のスケルツォが頭から離れなくなりました…。

 

【演奏について】

最後の第9番。今まで何かしら特徴のあるCDを選んできましたが、今回は正統派(かな?)、ガチな選択です。かつてよく聴いたんですね、このCD。スクロヴァチェフスキのブルックナーはひところ人気になりましたが、その頃と時期的にも近いのではないでしょうか。演奏は、細部までよく表現された、切れのいい演奏だと思います。演奏時間は少々短めですが、聴いていて速いという感じではありません。むしろ、冒頭からじっくりと演奏されている感じさえします。しかし、テンポが速くなったりするところがあるので、結果としてこういう数字になっているんだろうと思います。

 

つまりは、奇をてらわずに繊細な音の積み上げを行いながら、かなりダイナミックな演奏になっているのではないかと思いました。最初の盛り上がっていくところとかも、他の演奏と聴き比べても、盛り上がりの迫力は抜きんでていると思います。壮大かつ爽快なのです。だから、それを追体験したくて、何度も聴いていたのでしょうね…。第三楽章も、美しくて聴かせる演奏になっていると思います。今回のチクルスでは、一番のおすすめとしておきますニコニコ

 

もう一つ、このCDのいいところは、なかなかの優秀録音だと思います。このクリアさは、スクロヴァチェフスキの演奏ともマッチしているのかもしれません。スクロヴァチェフスキとミネソタ管弦楽団は、スクロヴァチェフスキが音楽監督であった旧称のミネアポリス交響楽団以来の関係性で、スクロヴァチェフスキ自身ミネアポリスに在住していました。黄金のコンビなのですね。

 

【録音について】

細部まで透き通った優秀録音で申し分ありません。

 

【まとめ】

このチクルスを始めてから、最後は何で締めようかな?と思いつつ進めてきましたが、この演奏でした。何となく、自分の嗜好も探りながらの10曲で、面白かったです。ただし、これはいわゆる名盤紹介ではありませんので、悪しからずご了承ください。さて、次回はどうしましようか思案中…。下に、今までのリンクをつけておきますウインク

 

購入:2013/03/02、鑑賞:2023/08/14(再聴)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【CDについて】

作曲:レスピーギ

曲名:交響詩「ローマの松」 (22:02)

   交響詩「ローマの噴水」 (15:52)

   交響詩「ローマの祭り」 (25:22)

演奏:マゼール指揮 ピッツバーグ交響楽団 ニューマン(org)

録音:1994年4月26-27月 ピッツバーグ Heinz Hall for the Performing Arts

   1996年7月20日 ニューヨーク Church of St. Ignatius Loyola(オルガン)

CD:SRCR 1785(レーベル:SONY CLASSICAL、販売:Sony Records)

 

【曲に関して】

レスピーギの出世作であり、代表作であるローマ三部作。レスピーギの色彩的なオーケストレーションが発揮された作品です。三つの作品とも四つの場面で構成された交響詩ですが、場面は継続して演奏され、一楽章形式となっています。この中では、ローマの松が最も演奏機会が多いのでは?という印象ですが、それは松を描きつつ、その松が何世紀にも亘って見続けていたローマの歴史や情景を描いた作品となっています。

 

【演奏についての感想】

久しぶりにローマ三部作を聴いてみたくなりました。ということで、先日ヤフオクで買ったマゼールの新盤を取り出します。私はこの曲はめったに聴かなかったのですが、マゼールのCDを見て、面白そう!と思いました。レスピーギは、印象派と同時代に学び、リムスキー=コルサコフに管弦楽の教えを受けた、オーケストレーションの大家ですので、マゼールならそのツボをうまく表現してくれるのではと思ったのでした。たぶん、絶対面白いヤツです。

 

さて、演奏開始。ローマの松の派手なオーケストラで始まります。この感じ、なかなか満足度が高いですねぇ。ところで、ローマの松は中間の二場面がとても美しい緩徐楽章的な構成になっていたのですね。カタコンバからジャニコロにかけての静かで美しい場面は、この曲のなかなかの聴きどころでした。そして、アッピア街道の軍隊の華やかな進軍で、ローマの松は締められました。

 

ローマの噴水や、ローマの祭りの聴きごたえのあるオーケストラの音楽を楽しむことができました。噴水はどちらかと言えば叙情的な場面の多く、じっくり歌われます。そして、祭りは華々しく、趣向を凝らしたオーケストラの賑やかさが光ります。この三部作は、松が構成的にも内容的にも面白くて、祭りが華々しい管弦楽を楽しめるという感じかな?マゼールの演奏はとても聞かせ上手で、色彩豊かと思いますが、あまり他の演奏を聴いたことが無いので、比較というと意味ではよく解りません。

 

【録音について】ダイナミックレンジの大きな素晴らしい録音だと思います。レベルは低めで、オーケストラの音の色彩をしっかりとらえた録音だと思いました。

 

【まとめ】

「ローマの松」だけは実演で聴いたことがありましたが、三曲とも面白いオーケストラ作品であるということはよく解りました。祭りは聴くのが初めてかもしれません。自分的に新しい曲の新しいCDということで、文句なく楽しめました。

 

購入:2023/08/09、鑑賞:2023/08/14

ショスタコーヴィチの時代 ④

ショスタコーヴィチの作品10にあたる交響曲第1番は、ショスタコーヴィチが世界の舞台に登場する契機となりました。ショスタコーヴィチにとってはまさに記念碑的な曲です。

買ったCDはちゃんと聴こうシリーズ ⑤

【CDについて】

作曲:ショスタコーヴィチ

曲名:交響曲第1番ヘ短調 op10 (33.01)

   交響曲第15番 op141 (43:04)

演奏:インバル指揮 ウィーン交響楽団

録音:1992年10月12-15日 ウィーン コンツェルトハウス

CD:COCO-78948(レーベル:DENON、販売:日本コロムビア)

 

【曲と演奏について】

我が家にあるショスタコーヴィチのCDで、作品番号一桁のものは前回までに聴いたので、ここから二桁に入ります。それもショスタコーヴィチ初の大曲である交響曲第1番。音楽院の卒業作品として作曲され、多大な生みの苦しみを経て、マルコ指揮レニングラードフィルにて初演が行われ、大好評を得ました。それを聴いていたワルターがベルリンフィルを指揮して国外初初演を行い、これによって西欧社会にショスタコーヴィチの存在が広く知れ渡るようになります。まさにショスタコーヴィチにとって出世作ということになります。

 

カプリングの第15番は、ショスタコーヴィチの最後の交響曲で1971年に作曲されました。ここには老成された作曲技巧と、室内楽的ともいえる凝縮された音楽の中で、生涯の回想から作曲者の死を俯瞰するまでの諦念に満ちた作品となっています。今回は、この第1番を含むこのCDが未聴CDの棚にあったので取り出してきました。インバルのこの全集のCDは単品で1枚づつ集め終えましたが、未聴があと一枚あります(笑)。

 

ショスタコーヴィチが苦難の上生み出した交響曲第1番によって、ショスタコーヴィチの音楽の核になる部分は確立され、これ以降は技巧が付加されたり、情勢や環境の影響を受けたりしながら発展していく形になると思います。そして、この曲は純粋に音楽的な作品として作り上げられていると思うので、ソ連情勢の影響を受けない彼の音楽の核心が詰まっているとも思います。まさにショスタコーヴィチの音楽を聴くうえでもベースになる作品です。当時隆盛を極めていた急進的なロシア・アバンギャルドからも距離を置き、ロシア音楽の伝統の上に、自らのアイデンティティーを積み上げたスタイルということではないでしょうか。

 

そして第15番は、自他の作品の引用が非常に多い作品。これは、生涯の回想という事に繋がって行きますが、この曲の第二楽章の葬送行進曲の後で、自身の主題や楽想に関する回想が闇の中へと消えていくようなラストは、まさに作曲家の死を客観的に表現してしまった形になっているのではないでしょうか。このタイプの作品の中でも、かなりストレートな表現だと思います。

 

インバルが全集を録音した時代は、ちょうどソ連崩壊前後にあたるタイミング。ショスタコーヴィチの西側の交響曲全集録音は、ハイティンクが1980年代前半からで、インバル以前では、あとはアシュケナージが始めていて、インバルとは時期的には少し被っているかな?と思います。従来ソ連の枠内の演奏スタイルでしか聞けなかったショスタコーヴィチの音楽が、グローバルなスタイルで広く演奏される時代になって、インバルの演奏はその音楽を細部まで浮き彫りにし、情緒的な解釈は脇に置いて、音楽の素晴らしさを純粋に作り上げた演奏として画期的だったと思います。当時は新しい録音が出るのが楽しみでした。

 

あれから30年経過した現在、インバルの演奏はそのままの形で存在する訳ですが、世間のショスタコーヴィチの演奏はより普遍的になり、環境も変化する中で、新しいスタイルの演奏が出てきています。この演奏を今になって聴いてみると、ちょっと厳しさが足りないなとか、推進力が今一つだなとか、部分部分で思う事はありますが、あの時代に一世風靡したCDでもあり、ある意味、一つの基準になる演奏でもありますので、いつも座右に置いておきたいと思うのです。

 

購入:不明、鑑賞:2023/08/10

【CDについて】

作曲:チャイコフスキー

曲名:交響曲第4番へ短調 op36 (42:55)

演奏:カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1971年9月16-21日 ベルリン イエスキリスト教会

CD:TOCE-1506(レーベル:セラフィム、原盤:EMI、販売:東芝EMI)

 

【曲に関して】

チャイコフスキーの後期の三つの交響曲の中で、一番華々しい曲と思います。冒頭のファンファーレで始まり、ピツィカートだけの楽章があり、終楽章も始まりも派手に盛り上がりますね。なので、演奏時間も手ごろですし、聴いていても勢いで最後まで聴いてしまいます。

 

【演奏についての感想】

この演奏は、後期の三つの交響曲のセットとして、当時レコードアカデミー賞に輝いた録音になります。第6番については、最近鑑賞しましたが、今回は第4番のCDを入手しましたので、聴いてみました。カラヤンのチャイコフスキーはなかなか安定で、安心して聴くことができます。この曲は映像作品を覗き、6回録音していますが、これは4回目にあたります。それぞれに人気は別れるかもしれませんが、これもファンの多い録音のようです。

 

冒頭のファンファーレが勢いよく鳴り響きます。過激すぎず、いい感じです。あとは、大きな流れの中で音楽が展開していきます。カラヤンのうねる様な緩急のつけ方は躍動的で流れにのっていきます。このあたりは流石です。一方で、早い楽章の中にある緩やかな部分や、急な楽章の中での細かなニュアンスつけは、あまりないような感じがします。従って、緩やかな部分はより緩やかに感じ、急な部分はより正確なリズムを感じるという印象でしょうか。

 

最近いろいろカラヤンの演奏を聴いていて、大きな音楽の流れで演奏していき、意外と細かな所にはこだわらないのが流儀かなと思う様になりました。連綿と続く流れ重視なんですかね。テンポは大きく全体設計してあとは正確に、音は滑らかにということかなと思いました。

 

【録音について】1971年の録音。低音がよく響いていました。割れるとかは無く、大音量もカバーできていますが、ちょっと癖のある録音ではないかと思いました。

 

【まとめ】

カラヤンのチャイコフスキーはやはり安定感がありますね。たくさん録音があるので、まだまだ聴く機会はあると思いますが、その時々によって違った感想が出てくるかも…。爆  笑

 

購入:2023/08/09、鑑賞:2023/08/09

 

 

【CDについて】

作曲:ファリャ

曲名:三角帽子からの三つの踊り (9:50)
   ドビュッシーの墓碑銘のための賛歌(ピアノ版)(3:08)
   4つのスペイン小品 (15:02)
   ベティカ幻想曲 (13:00)
   ポール・デュカスの墓碑銘のための賛歌 (3:45)

   若き日の3つの小品 (11:58)

   組曲「恋は魔術師」(ピアノ版)(16:11)

演奏:エッセール(p)

録音:1989年9月 パリ Salle Adyer

CD:2292-45481-2(レーベル:ERATO)

 

【曲について】

バレエ音楽やオペラが有名なスペインの作曲家のファリャですが、器楽作品はそれほど多くはありません。このCDにはそんなファリャの残されたピアノ作品がいくつか収められています。それでも、「三角帽子」と「恋は魔術師」からのピアノ版が半ばを占めているのはファリャらしいところですね。

 

【演奏について】

「三角帽子」と「恋は魔術師」はお馴染みの曲ですが、そのピアノ版も輝かしい管弦楽をそのままピアノに持ってきたような豪勢な曲になっているので、聴きごたえもあり、技巧を要する曲にも思えます。せっかくですので、今日はこの二つ以外のオリジナルの作品に注目したいと思います。といっても、「ドビュッシー…」は、ギター曲からの編曲です。ドビュッシー自身もスペインを題材にした曲をたくさん書いていますので、そのオマージュということにもなるかと思いますが、そう思えば雰囲気がなくもないかなぁ…と言ったところでした。

 

4つのスペイン小品は、それぞれスペインの4つの地方の副題がついていますので、その地方の特徴を現わす曲だと思います。ベティカ幻想曲のベティカは、ファリャの出身地カディスのあるアンダルシア地方の古い呼称とのこと。このCDの中でも一曲の規模が最も大きい曲で、スペインの作曲家によるピアノ曲の中でも、技巧的にも内容的にも重要な作品とされているとのこと。演奏機会も多いものと思います。アルトゥーロ・ルービンシュタインの委嘱作品です。

 

若き日の3つの小品は、ロマンティックな雰囲気の曲が3つ並んでいます。ファリャのこれらの作品は、どれも多かれ少なかれスペインの情緒が出ていて、楽しい作品が続きます。演奏するエッセールは、幅広いレパートリーを持つピアニストですが、スペインの作品にも造詣が深く、同じ時期にスペインのいろいろな作曲家、アルベニスやモンポウなどなどのピアノ曲を録音しているようです。確かな技巧に裏打ちされたスペインの情緒を聴くのもいいものだと思いました。

 

【録音について】

自然に聴こえる優秀な録音です。

 

【まとめ】

ERATOのCDが目に留まったので、入手してみました。ERATOの昔のCDは、雰囲気がいいし、どれもハズレが無い気がして好きなんですね。フランスを中心に美しい曲をたくさん聴くことができます。

 

購入:2023/08/09、鑑賞:2023/08/10