~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど -37ページ目

~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

【CDについて】

作曲:シューベルト

曲名:ピアノ・ソナタ第18番 ト長調 D894 op78 (44:32)

演奏:伊藤恵 (p)

録音:2014年12月24-26日 神戸新聞松方ホール

CD:FOCD9670/1 (レーベル:Fontec、発売:フォンテック) 1/2CD

 

【曲に関して】

シューベルトの後期の完成されたピアノ・ソナタ6曲の一つ。この曲は初版出版時に、第一楽章が「幻想曲」とされていたため、幻想ソナタと呼ばれています。20分ほどの演奏時間を要する第一楽章は、まさに一つの曲として成立する、美しい幻想曲となっています。

 

【演奏についての感想】

伊藤恵が長らくの封印を解いて取り組んだシューベルトの最終章にあたるCD。発売当時、大変評判になりました。伊藤恵の一連のシューベルトの録音はこのCDしか持っていないのですが、これを聴けば他のCDも聴いてみたくなるというもの。シューベルトの世界に存分に浸ることができました。2枚組で、もう一方は第21番になっていますが、今回はまず1枚目の幻想ソナタから聴いてみます。

 

もう最初の一音から、深いシューベルトの世界へと入って行きます。暖かく包み込むようなピアノの音。丁寧に繰り返されるシューベルトのメロディ。シンプルで美しいメロディの中に、演奏する心の内から流れ出てくる音楽を、一つ一つ大切に積み重ねていくという演奏でした。この第一楽章は、もうこの時間があれば何もいらないと感じさせるような、ピュアなシューベルトの、素晴らしい時間が展開していく20分間なのでした。

 

第二楽章は、メロディラインが比較的はっきりしたリートを思わせる主題から、シンプルなロンドでメリハリをつけて進んでいきます。ここでも抑制的な表現を保ち、シューベルトの世界が作られていきます。第三楽章がメヌエットで躍動的な音楽の中での中間部が美しい楽章です。深い陰影が表現された演奏でした。第四楽章は快活な音楽で左手の連打が印象的。伊藤恵の演奏は、特別な誇張がある訳でなく、美しい音で包まれた正攻法な展開の中で、シューベルトの音楽の感興を浮かび上がらせていきます。そして、演奏者の心と一体となって共感できる時間を過ごすことができるのでした。

 

【録音に関して】

これは、SACDハイブリッドだったんですね。深みのあるピアノの音が大変美しい録音です。

 

【まとめ】

あらためて、第18番のピアノソナタの素晴らしさも堪能できるCDでした。思えば私は、ある時期毎日この曲を聴きながら眠りについていました。暗闇でこの曲のメロディを追いながら眠りにつくというのも、改めて贅沢なものだと感じます。さて、もう一枚の第21番。これも聴くのが楽しみなCDです。

 

購入:不明、鑑賞:2023/08/31(再聴)

ブラームスの交響曲 ②
第2回は、交響曲第2番。往年の名盤ということで、モントゥー盤を選んでみました。往年のといっても、この録音は今でもかなり人気のようです。私も第2番が好きになっていろいろ聴いていた時、このCDも繰り返し聞きました。名盤の迫力というよりは、飽きのこないCDというようなイメージを持っていたのですが、改めて聴いてみます。

【CDについて】
作曲:ブラームス

曲名:交響曲第2番ニ長調 op73 (43:21)

   大学祝典序曲 op80 (10:15)

演奏:モントゥー指揮 ロンドン交響楽団
録音:1962年11月29日-12月1日 ロンドン
CD:PHCP-9612(レーベル:PHILIPS、販売:ポリグラム)

 

【曲について】

ブラームスが南オーストリアのヴェルター湖畔にあるペルチャッハに避暑のため滞在中に書き上げた交響曲。ブラームスはこの地でいくつかの名曲を生み出しています。重厚な第1番とは違って伸びやかな感じのする曲で、ブラームスの「田園」交響曲とも呼ばれたりしたようですが、それほど情景描写的な曲でもなく、まぁ交響曲はなんでもベートーヴェンに例えても…という気がします。

 

【演奏について】

モントゥーの生まれた1875年は、ラヴェルの生年にもあたり、20世紀前半の音楽はまさにモントゥーの同時代の音楽なのでした。ディアギレフのロシアバレエ団の指揮を担当していたこともあり、春の祭典など20世紀の主要なバレエ音楽の初演者でもあります。パリジャンであるモントゥーですが、フランスの音楽のみならず、ドイツの音楽にも多くの名演を残しました。また、ブラームスを最も敬愛し、ブラームス晩年に本人の前で演奏をしたことを終生誇りにしていたとのことです(wiki)。そんな大巨匠のモントゥーのブラームスの第2番の演奏です。

 

ブラームスの第2番はいろいろと演奏の幅がある様な気がして、自分的にもどういった演奏がフィットするのか、今一つ感覚がつかみ切れていないのですが、モントゥーのこの演奏を聴いていると、全く自然に流れていくといいますか、言わばすごくバランスの取れた演奏という感じがしました。そういう意味で、ブラームスの第2番はこういった曲なんだということがよく解る演奏ではないかと思いました。

 

構築感を感じさせる第一楽章。曲想は違いますが第1番と同様な構成感を感じました。そして、この曲の中では最も美しさを感じさせる第二楽章。ゆったりと歌い上げた演奏で聴かせてくれます。明るい中でも陰影を見せる第三楽章の演奏、そして第四楽章は適度なニュアンスをつけて華々しい主題を展開しながら、力強く締められます。まさに伝統的なブラームスという演奏でした。いろいろな演奏を聴いても、ここに初心を確かめに戻ってくるという感じでしょうか。

 

最後に、大学祝典序曲が入っています。この曲はいつもラジオ講座を思い出しつつ、流して聴いていたのですが、今回改めて聴いてみると、今回はちょっとハッとするような瞬間を感じました。これは名演なのですね。ゆったりして構えが大きい上に流れもよく、かつ大変美しい演奏です。

 

【録音について】

60年代の美しいアナログ録音で、鑑賞には申し分ないものと思います。

 

【まとめ】

ブラームスが亡くなったのは、モントゥーが21歳の頃ですので、モントゥーはブラームスと同時代を生きた指揮者ということでもあります。その演奏が優秀なステレオ録音で残っているというのも不思議な感じがします。そういった意味も含めて、じっくり聞いておきたい演奏ですね。

 

購入:不明、鑑賞:2023/08/30(再聴)

【CDについて】

作曲:ベートーヴェン

曲名:交響曲第4番 変ロ長調 op60 (32:27)

演奏:アントニーニ指揮、バーゼル室内管弦楽団

録音:2007年9月21-24日 バーゼル Stadtcasino Musiksaal

CD:19439737032 (6CD)
   (レーベル:SONY CLASSICAL、販売:SONY MUSIC INTERNATIONAL)

 

【曲に関して】

ベートーヴェンの交響曲の中で、第3番と第5番という強烈な個性の間に挟まれていて、知名度的には今一つ影が薄い感じもありますが、4つの楽章の構築感が素晴らしく、古典的な交響曲としての均整のとれた作品です。シューマンは、「2人の北欧神話の巨人の間にはさまれたギリシアの乙女」と例えたと伝えられています。実際は、乙女というよりももっと頑強な感じがします…。

 

【演奏についての感想】

引き続き、全集を続けて鑑賞しています。6枚のCDに順番に収められている関係上、CD3はこの一曲のみの構成となっていました。さて、第4番はキリっと引き締まった曲のイメージがあるので、いつも聴くの楽しみです。第4番は序奏から始まります。音はいつもの古楽器の音。ゆっくりとしたテンポで入って行きます。このコンビの演奏らしく、音は短く鋭角的で、厚みを感じるということもありませんが、そんな中でもじっくり演奏された序奏は、相当な吸引力のある演奏で、思わずこれは…、と思いました。

 

そして主部に入ると、快速テンポの展開となります。ただ、HIPにありがちな単調なリズムの刻みでなはく、細かなニュアンスや音の強弱差やテンポの変化などかなり工夫されていると思いました。それが特にテンポが緩んだところなど大変効果的で、全体に速いテンポながらもこの曲を大きく見せていると思いました。第1番から聴いてきて、これは一味違った素晴らしい演奏に思えました。第二楽章、第三楽章の比較的穏やかな楽章も、テンポの遅い所もうまく表情をつけて流れるように演奏されていると思います。

 

第四楽章も第一楽章と同様、快速な演奏です。第一楽章ほど工夫の余地が少ないのかなと思いましたが、引き締まってメリハリのついたいい演奏だと感じます。アントニーニのここまでの4曲の中では最も気に入りました、一方でこのテンポや表情で、通常のオーケストラで演奏すると、また違ったロマンチックな面白い演奏が出来上がるのではないかと思った次第です。

 

【録音に関して】

いつも通り、全体の音が幅広く捉えられていて、いい録音だと思います。

 

【まとめ】

アントニーニのベートーヴェン、次のCDを聴くのを楽しみにしているのですが、第4番を聴いて、今後がますます楽しみになりました。

 

購入:2023/06/23、鑑賞:2023/08/24

ショスタコーヴィチの時代 ⑥

前回は格言集op13でしたが、家にop12のピアノ・ソナタがあるのを見つけたので、今回はこれにしました。といっても、どう考えてもこのCDは、メインはラフマニノフのようではありますが…。

【CDについて】

①作曲:ラフマニノフ

 曲名:13の前奏曲 op32 (39:04)

②作曲:ショスタコーヴィチ

 曲名:ピアノ・ソナタ第1番 op12 (13:12)

演奏:ジルベルシュテイン(p)

録音:1988年11月、ベルリン Jesus-Christus-Kirche

CD:427 766-2(レーベル:DG)

 

【曲について】

ラフマニノフは、ショパンなどと同様に、24の調性による前奏曲を作曲していますが、一気に作曲されたわけではなく、op3の中に1曲、op23が10曲、op32が13曲と、最終的に出来上がりました、といった感じになっています。op3-2が特に有名ですね。私はop23は比較的聴く方ですが、op32はあまり聴いていませんでした。

ショスタコーヴィチはピアノソナタは2曲だけで、それも作曲年代が大きく離れていますので、あまり積極的にこの形式を作っていた訳ではなく、作品もそれほど気にいっていた訳ではなさそうな節があります。この曲は当時隆盛であったアヴァンギャルドの影響を受けています。

 

【演奏について】

まずは、ラフマニノフ。それぞれの曲を覚えている訳ではないので、始めて聴くような感じで聴いています。どの曲のラフマニノフらしいゴージャス感を漂わせていますので、聴きごたえがあります。長めの曲がじっくり聴けていいですね。いろいろなタイプの曲がありますが、特に後半に面白い曲が集中しているような気がしました。第5曲はキラキラ美しく、第12曲はさらに豪華になった感じの曲で、演奏頻度も多いようです。第13曲も締めとして単独でも聴きごたえのある曲だと思いました。

 

で、本題のショスタコーヴィチですが、ここでは13分程度の単一楽章のピアノソナタ。あまりソナタという雰囲気はしないのですが、アヴァンギャルドな雰囲気を持った曲です。ただ、メロディラインの印象はショスタコーヴィチそのもので、緩急入れ替わりながら、曲想もかなり極端にアヴァンギャルドらしく展開されていきます。コンパクトですが、特色のある曲ですので、ショスタコーヴィチの前半のソナタとして聴いておきたい曲だと思います。

 

演奏しているジルベルシュテインは、このころはまだデビューしたてだと思います、その後フォローしていませんでしたが、アルゲリッチとデュオを組んだりと、ご活躍のようでした。ジルベルシュテインの個性については、このCDを聴いても、まだよく解りませんでしたが、ブゾーニコンクールの優勝者で、ソ連で学びドイツで活躍され、華麗な曲のレパートリーが多いとのこと。華麗な演奏指向かもしれません。確かにこのCDの中に、そういった雰囲気を感じます。この時期のCDは2~3枚持っているので、また別の演奏も聴いてみたいと思いました。

 

【まとめ】

ショスタコーヴィチというより、ジルベルシュテインを聴く格好になりましたが、ジルベルシュテインは、ショスタコーヴィチをレパートリーに入れていて、アルゲリッチとのデュオもありますので、これは是非聴いてみたいと思っています。

 

購入:不明、鑑賞:2023/08/25

【CDについて】

作曲:モーツァルト

曲名:①ミサ曲ハ短調 K427 (56:27)

   ②モテット「エクスルターテ・ユビラーテ」K165 (14:52)

   ③ヴェスぺレハ長調 K339 より「ラウダーテ・ドミヌム」 (5:06)

演奏:フリッチャイ指揮 ベルリン放送交響楽団

   聖ヘトヴィヒ大聖堂聖歌隊①、RIAS室内合唱団③

   シュターダー(s)、テッパー(a)①、ヘフリガー(t)①、サルディ(bs)①、

   マイヤー(org)③、ヘラー(vn)③

録音:1959年9-10月①、1962年②③ ベルリン

CD:POCG-3083(レーベル:DG、販売:ポリドール)

 

【曲に関して】

モーツァルトが作曲した未完成のミサ曲で、モーツァルトのミサ曲としては、最も有名な曲となっています。モーツァルトのこの曲を、父レオポルドから反対されていたコンスタンツェとの結婚の了承を得るために作曲したと言われています。コンスタンツェとは父の了承を得ずして結婚。その結婚の誓約が確かであることを証明し、また妻が素晴らしいソプラノ歌手であることをアピールするつもりであったのことです。コンスタンツェを伴ってザルツブルグに帰郷したものの、まだ曲は完成されておらず。他曲を転用しながら不十分なままで演奏され、その後モーツァルトはこの曲を完成させることはありませんでした。

 

【演奏についての感想】

この曲あたりになると、今やHIP演奏がかなり幅を聴かせているのではないかと思いますが、その中にあって従来からの演奏スタイルで、長く支持を集めている演奏です。この曲についてはそれほどいろいろな演奏を聴いたことがないのですが、少なくともこの演奏だけを聴いたとしても、曲がかかれば一聴にしてその素晴らしさが伝わってくるという演奏。とか、偉そうなことを書いておりますが、まぁ、そういう感じのする、中身の濃い演奏でした。

 

クラシックを聴き始めた頃、フリッチャイは最もお馴染みの指揮者の一人でした。当時、一番買いやすかったのは、1300円の廉価版。グラモフォンスペシャルという1300円の廉価版シリーズがあって、この中には、この演奏も含めて、フリッチャイの名演がいくつか入っていました。当時演奏の良し悪しなど確固たる認識はなかったのですが、例えばこの録音以外でも、ディースカウが出演しているフリッチャイの第九とか、新世界とか、思い出します。フリッチャイの演奏がまとまってCD化された時には、懐かしくてたくさん買いましたが、これもその一枚ですね。

 

じっくり聴いてみると、ますますその素晴らしさに感動します。オーケストラの音は研ぎ澄まされた美しい音で、更に深い情感を湛え、合唱の奥深い響きが加わり、そして、ソリストの歌唱の素晴らしさは超一流のものです。それらが見事に組み合わさった演奏は稀有のものだと思います。シュターダーの歌を聴くという意味でも、美しいアリアの含まれるこの曲なので、大変味わい深いものでした。当時のフリッチャイとベルリン放送交響楽団のコンビは、最強だったのではないかと思います。

 

【録音について】

細部まで美しく捉えられた素晴らしい録音です。

 

【まとめ】

久しぶりに聴いてみましたが、演奏と音楽の素晴らしさに圧倒される名演だと思います。こういう究極的に洗練された演奏は、なかなか聴かれないのではないでしょうか。

 

購入:1993/12/12、鑑賞:2023/08/30(再聴)

ブルックナーを聴こう第2部

 ~巨匠たちのブルックナー①~
ブルックナーの交響曲を最近まで順番に聴いていましたが、それも終わってしまい、なんとなく寂しい感じもします。そこで、前回はブルックナーの演奏の定盤や、巨匠の演奏はそれほど入れていませんでしたので、しばらくブルックナー演奏に核心に迫ってみようと、20世紀の巨匠たちのブルックナーを聴いてみようと思いました。

第1回:ヘルベルト・フォン・カラヤン

【CDについて】
作曲:ブルックナー

曲名:交響曲第7番ホ長調 ハース版 (59:30)

演奏:カラヤン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1989年4月18-23日、ウィーン Musikvereinsaal(ライヴ)
CD:POCG-1005(レーベル:DG、販売:ポリドール)

 

【曲について】

ブルックナーは初演の成功後も、この曲のウィーンにおける演奏を拒み続けていました。ウィーンは反ワーグナー派のハンスリックの勢力が強かったからです。1986年についにハンス・リヒターの指揮でウィーン初演が行われると聴衆は熱狂し、ハンスリックは予想通り批判的記事を残しました。この初演を聴いたヨハン・シュトラウスは感動しでブルックナーを夜会に招待し、親交が始まったということです。

 

【演奏について】

この録音は、カラヤン最後の演奏会のものであり、カラヤンの最後の録音ということになります。次の公演の準備も進めていたので、数か月後の死を予期していたということは無いでしょうが、奇しくもこの曲はワーグナーの葬送音楽としても書かれた部分があり、ブルックナーの葬儀でも演奏された音楽が、カラヤンの最後の演奏となりました。この演奏を聴くときはそういったことも想いつつ聴くことにならざるを得ません。

 

第一楽章は、普通のテンポでスタートしますが、とても美しい演奏です。そして、中間部に入っていくと、だんだんテンポが遅くなっていくように感じます。カラヤンは細かなフレーズを丁寧に、一つ一つを繊細に作り上げて行っているような気がします。この感じはカラヤンの演奏ではあまり感じたことが無かったので、この演奏の特徴なのかもしれません。その繊細な表現を維持しつつ第二楽章に入ると、ここはもうカラヤンの独壇場ですね。極限までに美しい音楽をじっくり積み上げていきながら、高みを目指して盛り上がって行きました。

 

第三楽章も、普通のテンポで丁寧な演奏が続きます。第四楽章もそれは崩れることはなく、効果を狙って極端に加速することもありません。抑制的で丁寧に、かつしっかり盛り上げていく感じでした。そして、最後まで聴いて素晴らしい満足感が得られるという形に仕上がります。たくさんの演奏を聴くことができる第7番ですが、これは一つの理想的な演奏として味わうことができると思います。カラヤンは最後に最高の遺産を遺してくれたと思います。

 

【録音について】

ライヴですが、細部まで美しいウィーン・フィルの音が味わえる、素晴らしい録音です。

 

【まとめ】

おこがましくも巨匠を聴こうなんてことで始めて見ましたが、これは流石と言わざるを得ないですね。CDは演奏そのもの芸術に、録音や再生といった様々な要素が加わって感動を与えてくれるわけですが、カラヤンが長年取り組んできた芸術の集大成としても聴くことができると思いました。

 

購入:2013/02/15、鑑賞:2023/08/17(再聴)

最近リリースされた新譜から ③

ブルッフといえば、ヴァイオリン協奏曲第1番。他には、スコットランド幻想曲とか、コル・ニドライとかが有名ですが、あまり聴いていませんでした。今回は、そんなブルッフの、ヴァイオリンとピアノデュオのCDです。ヴァイオリンのメロディが美しいブルッフだけに、期待です。

【CDについて】

作曲:ブルッフ

曲名:ロシアとスウェーデンの民謡による歌と踊り Op.79 vn&p版 (25:18)
   6つの歌曲(デュオ・ダウエンハウアー・クーン編曲) (15:50)
    ①6つの歌曲 op7より 17.春の歌 (2:37)
    ②5つの歌曲 op97より 4.朝の歌 (2:43)
    ③バリトンのための5つの歌 op59より 4.逃避(移民たち) (2:06)

    ④独唱とピアノのための4つの歌曲 op15より、黄金の橋 (1:44)
    ⑤歌と詠唱 op49より 4.セレナーデ (2:33)
    ⑥ソプラノまたはアルトとピアノのための賛美歌 op13 (4:07)
   スウェーデン舞曲集 op63 (22:15)

演奏:デュオ・ダウエンハウアー・クーン

録音:2021年7月14-16日 カイザースラウテルン SWR Studio
CD:555 505-2 (レーベル:CPO)

 

【曲に関して】

当時は、ブラームスのハンガリー舞曲などが流行っていた時代だと思いますが、ブルッフは民族音楽大きな関心を寄せていたようで、民族音楽に取材した曲をいろいろ残しています。旋律の美を求めるブルッフとしては、民謡は恰好の対象だったのでしょう。美しいメロディをたくさん聴くことができますが、東洋にいる私からすれば、これがどこそこの民謡と言われても、なかなかピンとこないのではありますが…。

 

【演奏についての感想】

ブルッフの活躍した時代は、後期ロマン派が活躍している時代に相当します。比較的古典的なロマン派音楽を指向したブルッフは、リストやワーグナーと真っ向から対立。一方でブラームスとは親交を結んでいました。そんな、保守派守旧派的なブルッフの音楽は、ヴァイオリン協奏曲もそうなんですが、メロディメーカーなんですね。wikiによれは、ブルッフは、ヴァイオリンはピアノより旋律を良く歌うことができると考えていたとのことです。

 

このCDは、SWRによるある企画に基づいて、デュオ・ダウエンハウアー・クーンが選定して演奏したものとのことです。忘れ去られてしまったブルッフの作品に焦点を当てた録音で、op79のオリジナルvn&p版は、世界初録音とのこと。冒頭から、美しいメロディのヴァイオリンが流れ出てきます。全9曲の程よい長さの曲で、あくまでヴァイオリン主体で、ピアノは伴奏に徹している感じです。そんなヴァイオリンの音色に、いいねいいなとうっとり身を任せるといった感じのCDでした。確かに忘れ去ってしまうには惜しい曲たちです。

 

次の歌曲集は、リートからの編曲なので、尚更ヴァイオリンのメロディが中心となる曲でした。ブルッフは生涯にわたって、メロディ豊かな歌曲を追求していたようです。そして、最後にスウェーデン舞曲集。より短い曲で構成され、統一感もあって、音楽的にも技巧的にも面白いと思います。ヴァイオリンの音も強めのはっきりした豊かな音で、終始美しいメロディで満たされることは間違い無いので、大変楽しめるCDだと思いました。

 

スウェーデン舞曲の Judith Stapf(vn)、Marco Sanna(pf)による演奏

 

【まとめ】

ロマン派時代の埋もれた作品集という感じのCDでした。美しい曲でもあり、同じくCPOで制作された、これらの曲の管弦楽版のCDもあるようなので、手に入れば、聴いてみるのもいいかな、と思っています。

 

購入:2023/08/09、鑑賞:2023/08/21

【CDについて】
作曲:ベートーヴェン
曲名:ミサ曲ハ長調 op86 (42:46)

   カンタータ「静かな海と楽しい航海」op112 (6:44)

演奏:コルボ指揮 グルベンキアン管弦楽団、合唱団

   ミハエル(s)、ビチメッケ=アイジンガー(Ms)、シェッファー(t)、ブロダール(bs)

録音:1988年7月、リスボン Egregia de Jesus
CD:WPCC-3275(レーベル:ERATO、発売:ワーナー・パイオニア)

 

【曲について】

ベートーヴェンは、1807年にエステルハージ家でこの曲を演奏しましたが、結果は芳しくなく、翌年1808年の第5,6交響曲の初演時に、「グロリア」「サンクトゥス」「ベネディクトゥス」を抜粋してプログラムに入れました。当時ミサ曲は教会以外の場所で演奏されることは少なく、特に「キリエ」「クレド」が演奏されることは稀であったようです。当日は既に盛りだくさんのコンサートだったようですから、エステルハージ家での不評後も、ベートーヴェンはこの曲には自信を持っていたことが窺えます。

 

【演奏について】

ミシェル・コルボといえば、私はフォーレのレクイエムと反応するのですが、大変穏やかな演奏をされる方というイメージをもっております。バロック期を中心とした宗教曲の録音が多い指揮者ですね。このベートーヴェンのミサ曲は、従来の教会などで主に演奏される、いわゆる実用的なミサ曲から、演奏会で聴ける芸術的ミサ曲を志向したベートーヴェンによる作品なので、どういった演奏が聴くことができるか楽しみです。

 

冒頭のキリエが、大変柔らかで穏やかな響きでした。そもそもそういった曲ではあるのですが、音楽的に穏やかであるのに加えて精神的に穏やかという感触が加わります。リスボンの教会で録音されたCDですが、その残響も豊かで、オーケストラの音が軟らかく、歌唱は抑制的ながら伸びがある声を聴かせてくれます。ふんわりと包み込まれるような音楽で、演奏会でベートーヴェンのミサ曲を聴くという雰囲気とはちょっと違う感じがしました。

 

とはいっても、これはベートーヴェン。大変ダイナミックな曲であることには変わりなく、穏やかな演奏の中でも、迫力のある音楽が展開していきます。これがコルボの演奏の雰囲気なのですね。改めて心を動かされます。「静かな海と楽しい航海」は、聴くのは初めてです。ゲーテの二つの詩に音楽をつけた形で、前半の静寂と後半の歓喜の対称的な曲。こちらはミサ曲とは違って華々しい演奏がされていると思います。

 

【録音について】

リスボンのイエス教会での録音で、残響が多くやわらかな音が楽しめる録音です。ただ、音量の大きい部分は少々限界があるような気がしましたが…

 

【まとめ】

今回は、コルボの宗教音楽の世界を楽しむことができました。宗教一辺倒でなく、音楽そのものの芸術を追求した作品と思いますが、コルボの演奏はあくまでミサ曲お美しさを表現するという視点で演奏されています。とても雰囲気が良かったです。

 

購入:2023/08/09、鑑賞:2023/08/18

ブラームスの交響曲 ①
前回までに、ブルックナー交響曲を順番に聴いていったので、今回はブラームスにしました。ちょっと、コメント欄で背中を押されたこともあります(笑)。ブルックナーほど集中して聴いたことがないので、聴いてみるCDは普通の選択になると思います。というか、名盤と言われるCDを4枚、改めて聴いてみたいと思います。

【CDについて】
作曲:ブラームス

曲名:交響曲第1番ハ短調 op68 (47:42)

演奏:ミュンシュ指揮 パリ管弦楽団
録音:1968年1月8,12日
CD:TOCE-3037(レーベル:EMI、販売:東芝EMI)

 

【曲について】

ブラームスは、ベートーヴェンの交響曲を意識するあまり、交響曲の作曲には極めて慎重でした。この交響曲は特に推敲が重ねられ、着想から完成までに21年という歳月を要したと言われています。完成した1876年。ブルックナーは交響曲第4番の第1稿を既に書き上げている時代ですね。ベートーヴェンの交響曲を受け継いだ名作として聴衆に受け入れられますが、まさに第四楽章は、ベートーヴェンの第9番を思わせるものとなっています。

 

【演奏について】

この録音は、かつて名曲名盤企画では、トップを走り続けていた往年の名盤ということになります。いかにもドイツ的なこの曲に、なぜフランスのオーケストラが?というのが不思議な所ではあります。私はその往年の時代にはこの演奏は聴いてはいなかったのですが、ある時期、やはり名演を聴いてみようという事で買ったのだと思います。改めて聴いてみたいと思います。

 

特徴的な、重い出だしで始まるこの曲、この演奏は本当にずっしり重々しく始まります。ティンパニーの音がズシンズシンと特徴的だと思いました。テンポも全体的にゆったりしていて、溜めて溜めて…という雰囲気でしょうか。鋭い切れのいい演奏とは対照的な、図体の大きく見える演奏ですね。輪郭をあまりはっきりさせず、全体的に大きく見せているという感じなのかもしれません。オーケストラが重厚長大であった時代の雰囲気と、再起したパリ管がミュンシュを迎えた熱気がどんどん伝わってくる演奏です。

 

第二楽章、第三楽章は比較的穏やかなメロディの流れる部分ですが、このあたりはなかなか美しい表情で進んでいきます。透明感というよりは、ゆったりと流れるような美しさ。そして、第四楽章。ここも第一楽章と同じで、ゆったりと引っぱって行く感じです。そこまで?というくらい、じっくり溜めて行っていますね。そして、ベートーヴェンの第9のように、歓喜のコーダに向けて駆け上って行きました。当時の真っ向勝負な巨大なオーケストラの表現を楽しめる演奏だと思いました。ティンパニーの迫力が印象に残りました。

 

【録音について】

古い録音ではありますが、奥行きのある録音で、オーケストラ全体の音がよく捉えられていると思いました。

 

【まとめ】

長年名盤と言われてきた演奏でした。熱気と迫力を感じる演奏。今やコンパクトに、切れ味鋭い演奏が多い中で、古き良き時代のオーケストラの迫力を感じることができました。

 

購入:不明、鑑賞:2023/08/23(再聴)

【CDについて】

1 / 3CD

①作曲:リャードフ

 曲名:交響詩 キキモラ op63 (3:27)

②作曲:ボロディン

 曲名:交響詩 中央アジアの草原にて (8:28)

③作曲:チャイコフスキー

 曲名:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 op35 (33:30)

演奏:コーガン(vn)、ネボルシン指揮 ボリショイ劇場管弦楽団①、モスクワ放送交響楽団②③

録音:1938年-1950年代

CD:CDVE 00027 (レーベル:VENEZIA、原盤:MELODIYA)

 

3 / 3CD

作曲:スクリャービン

曲名:交響詩第2番ハ短調 op29 (42:19)

演奏:ネボルシン指揮 ボリショイ劇場管弦楽団

録音:1950年代初め

CD:CDVE 00027 (レーベル:VENEZIA、原盤:MELODIYA)

 

【曲に関して】
スクリャービンの交響曲第2番は、演奏機会は多くは無いと思いますが、スクリャービンの初期から中期への過渡的時期の作品と言われているようです。作曲されたのは、後期ロマン派の時代、リストやワーグナーの影響があると言われています。五楽章ですが、第一楽章と第二楽章、第四楽章と第五楽章が連続して演奏され、三楽章のように見えます。また、緩-急-緩-急-緩という対照的な構成になっているのも特徴的です。

 

【演奏について】

このCDは、2枚目のムラデリを聴くために買った3枚組のCD。せっかくなので、残った1枚目と3枚目を聴いてみます。まずは、交響詩2つ。「キキモラ」はまぁ録音も悪いので、歴史的価値というところでしょうか。「中央アジアの草原にて」は、ゆっくりとしたテンポであまり工夫がない淡々とした演奏と思いましたが、後半になってもそのゆっくりと刻まれるテンポが、なんとなく中央アジアの広大な草原の雰囲気になっているようで、不思議な感じがしました。そしていよいよチャイコフスキーです。

 

コーガンは、高校時代にブルッフのLPを持っていて、これがけっこう好きな演奏で、よく聴いていました。まずネボルシンの序奏がテンポを動かしながら情緒たっぷりに入っていきます。そして始まるコーガンのヴァイオリンが、これまたねっとりと絡みつくように歌っていきます。まさに、あの頃聴いていたコーガンのイメージが蘇りました。これは、いいですねぇ…。録音も悪くないし、あまり話題に上ってこない演奏だけに、ちょっと思わずこれは拾い物というか、素晴らしい名演だと思いました。コーガンの厚くもあり鮮烈な切れ味でつけられた、強いニュアンスが素晴らしいです。この曲はそんなに数は聴いていないのですが、自分的に今のところこれはベストの一つにあたるかもしれません。EMI録音もいくつかある様なので、機会があれば聴いてみたい…。

 

さて、最後はスクリャービン。初めて聞く曲です。録音はまずまずですが、初めて聞く曲で、こういった往年の録音はちょっと辛いものがあります(笑)。この演奏はテンポは速めなんですかね?演奏時間が情報より短めに思えます。後期ロマン派から発展していく過程の曲という事で、まさにそういうイメージで、大変面白い曲と思いました。第三楽章とか、なかなか面白いし、全体的に聴きどころの多い曲でした。後年の法悦の詩などとは、若干ニュアンスが違う感じがします。新しい録音もいくつかあるので、またじっくり聴いてみたい曲です。

 

【録音について】

まちまちですが、チャイコフスキーは驚異的に録音がいいですね。マスタリングなどしっかりされているのでしょうか。中央アジアとスクリャービンはモノラルの標準的な感じ。キキモラは板起しかな?と思いますが、古い感じです。

 

【まとめ】

ムラデリ目当てで買ったCDですが、コーガンの演奏がとても楽しめました。スクリャービンは、今まであまり聴かなかったのですが、ちょっと世界が広がった感じです。

 

購入:2023/06/11、鑑賞:2023/08/17