~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど -36ページ目

~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

【CDについて】

作曲:ベートーヴェン

曲名:ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 op13「悲愴」 (16:51)

   ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 op27-2「月光」 (13:46)

   ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 op57「熱情」 (25:19)

演奏:フランソワ (p)

録音:1963年2月19,25,26日、3月8日、4月8,12,29,30日、パリ Salle Wagram

CD:TOCE-7174 (レーベル:セラフィム、原盤:EMI、販売:東芝EMI)

 

【曲に関して】

ベートーヴェンの「三大ソナタ」と言えば、こういう組み合わせなのですが、あたかもこの三曲が、ベートーヴェンのピアノソナタの最高峰みたいな印象がつきまとってしまいます。ただ、wikiによれば、「レコード会社の販売戦略によって、LP1枚に収録可能で、人目を引きやすい表題付の曲から選ばれた。」ということです。バラエティの多彩なベートーヴェンのピアノ・ソナタですから、表題などに捉われず聴くのが良し、ということですね。

 

【演奏についての感想】

このブログに時折登場するセラフィムスーパーベストのジャケット。昔、俵孝太郎氏のクラシックCDに関する本が面白くて愛読していましたが、その中で各社の廉価版CDシリーズを揃えると面白いといった記事がありました。それで中古ショップなどで見つけたら買い足しながら揃えたのが、このシリーズなのです。TOCE71XXの番号のもので揃えたので、その後追加発売されたTOCE15XXのものまでは、さすがにフォローしきれないと思って集めませんでした。そんなシリーズなのですが、このCDだけどこかに行ってしまって、もう十数年前から1枚欠けた状態になっていました。たまぁに中古ショップで探してみたりしていたのですが、なんとなく機会がなく、最近ヤフオクで見つけてついに再び買ってしまったというわけです。そんないわれのこのCD久しぶりに聴いてみます。

 

私か、クラシックに慣れ親しんでいた頃は、ポリーニとか、楽譜を完璧に演奏するスタイルが幅を効かせていた時代で、フランソワは自在にニュアンスをつける演奏らしいので、「聴くべき演奏ではない」とまで思っていました。しかし、その後そういった演奏も好きになり、時代も進んでHIPなど多彩な演奏が出てくるようになって、逆にこういった演奏も貴重と思う様になってきます。そんな意識のなかでの鑑賞です。実際聴いていると、単なるニュアンスというより、かなり先鋭的な演奏とまで思えるような感じすらしました。音楽の流れが、急に動いたり停滞したり、本来のベートーヴェンの曲はさらさらと流れていくはずなのに、あえて流れを遮ってまでの表現にしていると。

 

そんなこんなで一度聞き終え、良い所も疑問に思うところもあるな…という感じでしたが、その後何回か聴くうちになぜか、なぜかよく馴染んできます。そして、これはフランソワが単に感情を込めてつけたような情緒的なものではなく、まったくベートーヴェンのソナタを詳細に吟味して、フランソワ流に再構築したものだということに思い当たります。録音に8日間を要しているのも、かなり作り込んだのではと勝手に想像します。ベートーヴェンは生理的に嫌で受け付けないという言葉も残しているフランソワですから、受け入れられるまでに練り直したという感じでしょうか。フランソワの芸が楽しめるCDでした。

 

【録音について】

60年代の優秀な録音で、ピアノのニュアンスが良く伝わります。

 

【まとめ】

フランソワの芸術を楽しむCDでした。しかし、こういった看板の廉価版シリーズは、入門的な意味合いも持つと思うので、この演奏を入れるという選択は、ずいぶん思い切ったものだと思います、

 

購入:2023/09/04(再)、鑑賞:2023/09/05(再聴)

ブルックナーを聴こう第2部

 ~巨匠たちのブルックナー③~

第3回:ハンス・クナッパーツブッシュ

クナッパーツブッシュと言えば、戦前から戦後にかけてヨーロッパで活躍した押しも押されぬ伝説の大指揮者ですね。私は、かつて古い録音をあまり聴かなかったのと、クナッパーツブッシュの核心であるワーグナー、ブルックナーをあまり聴いていなかったので、今一つ馴染みが無かったのですが、ブルックナーを聴くようになって、多少聞きかじっております。

【CDについて】
作曲:ブルックナー

曲名:交響曲第4番変ホ長調 第3稿初版 (60:37)

演奏:クナッパーツブッシュ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1944年3月10日、バーデン=バーデン

   (CD表記は、1944年9月8日で、長らくこの日のものと考えられてきた。)
CD:ARPCD 0044(レーベル:ARCHIPEL)

 

【曲について】

2週連続の登場です。人気曲だけあって録音が多いので、ついこうなりますね。この曲は版がいろいろあって、現在最も頻繁に演奏されるのは第2稿ハース版・ノヴァーク版です。しかし、このハース版の成立は1944年のこと、ここで演奏されている第3稿は、それ以前の演奏の主流で、往年の名指揮者たちは、この第3稿によるものが多く残されています。ブルックナー監修の元、弟子たちが改訂に取り組んだと言われるこの版は、この曲の最初に出版された稿でもあったのです。

 

【演奏について】

クナッパーツブッシュは、まずはロマンチックな表情をつけて、聴かせる指揮者という印象。直観に頼り。楽員の自発性を重視し、その人間的魅力によっても愛された指揮者と言われています。そういった芸風ですので、スタジオでの録音芸術にはあまりなじまず、ライヴでの一期一会の名演奏がたくさん残されています。このCDは1944年という戦時下で、放送局によって録音された無観客の放送用録音で、たくさんの種類のLPやCDが発売されました。クナッパーツブッシュは当時ドイツ国内で活躍していましたが、ナチス政権と迎合していた訳ではなく、あくまでもドイツに深く根差した芸術家であったということです。

 

まずは、1944年という録音年から想像する音質よりは、遥かにいい音が流れてきます。当時のドイツの録音技術の高さがうかがえます。演奏は、これも想像するような、極端に大きなニュアンスをつけたものではなく、ある程度はノーマルなのですが、それでもアゴーギクは各所で力を発揮しており、大きな起伏でダイナミックな音楽が出来上がっています。納得感のある雄大な表現は、放送用録音という状況の中にあって、クナッパーツブッシュの芸術がよく表現されているのではないでしょうか。

 

これまで、数枚のクナッパーツブッシュのブルックナーの演奏を聴いただけなのですが、どれも大変面白いものでした。自身の雄大な芸術を聴かせ、オーケストラと一体となって、観客とともに感動の極みに駆け上がるというイメージかと思います。クナッパーツブッシュは、どちらかというとウィーン・フィルとの繋がりが強いイメージですが、ここではフルトヴェングラー時代のベルリン・フィルを指揮しています。オーケストラも質の高い美しい音で、クナッパーツブッシュの演奏を盛り上げていると思います。

 

【録音について】

戦時中の録音のモノラルですが、素直な音で、鑑賞には問題のない音質と思います。

 

【まとめ】

クナッパーツブッシュの雄大でロマンティックなブルックナーは、数は聴いていないのですが、時々聴いてみたくなります。手元にまだ聴いていないCDも1枚ありますので、近いうちにまた聴いてみようと思います。

 

購入:2013/03/09、鑑賞:2023/09/10(再聴)

最近リリースされた新譜から ⑤

注目していた今年の夏の新譜。やっと聴くことができました。このCDのリリースはかなり前からアナウンスされていました。そして、戸田弥生さんのコンサートで、この中の第3番と、第4番の演奏を聴いて、興味を持っていました。ヴァイオリンの難曲であるこの曲をどういった感じで聴かせてくれるか、とても楽しみでした。

【CDについて】

作曲:イザイ

曲名:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ op27 (64:36)

演奏:ハーン (vn)

録音:2022年11月-12月 ボストン Fraser Performance Studio
CD:UCCG-45073 (レーベル:DG、販売:ユニバーサル・ミュージック)

 

【曲に関して】

イザイは、第一次大戦中に活動の中心にしていたアメリカから帰欧し、健康上の理由もあって、ソロ活動を減らし後進の指導と作曲に軸足を移して、後世に自らの芸術を引き継ぎ始めます。そして、1923年から24年にかけて、J.S.バッハの無伴奏ソナタ・パルティータをもとに、6曲からなる無伴奏ヴァイオリンソナタを書き上げました。6曲のソナタはそれぞれ彼らのイメージと未来への期待を込めて、次世代の6人の演奏家に捧げられています。

 

【演奏についての感想】

戸田弥生さんの、イザイの絆のコンサートを聴いて、ハーンの演奏するイザイのヴァイオリン・ソナタのCDがリリースされたら、是非振り返ってみようと思っていました。イザイは、19世紀から20世紀前半にかけて活躍した、フランコ・ベルギー楽派のヴァイオリニスト。その同時代におけるイザイの作曲家や演奏家とのつながりがテーマのコンサートでした。このCD、まとめ注文したために、手元に届くのが遅くなりましたが、やっと聴くことができました。

 

 

まず、これはなかなかの素晴らしいというか、凄い演奏ですね。ちょっと驚きました。そもそもこの曲は難曲と言われていて、聴いてもかなり解りづらい曲だと思っていたのですが、こんなにも親しみやすく聴けるとは思ってもいませんでした。凄いテクニックだというのは、聴いていればそう感じるのですが、それをまったく乱れなく、曲の表情も十分に表現して、豊かなヴァイオリンの音で聴かれてくれます。ヒラリー・ハーンって、デビューの頃のイメージしかなくて、その頃のバッハなど、少々繊細で固いイメージを持っていたのですが、こんなに豊かで暖かい音のヴァイオリンになっていたのですね。まさに超一流の才能です。

 

ライナーノーツには、ヒラリー・ハーンのイザイへの想いが語られていますが、この曲の作曲されてからちょうど100年。イザイの孫弟子にあたるヒラリー・ハーンは、語られている通り、確かにこの曲を自分の曲にしてしまったようです。そして、聴いている私もこの曲が面白いし、素晴らしい曲であると感じることができました。今年リリースされたCDの中でも、最高の作品の一つではないでしょうか。

 

少し古い演奏だと思いますが、ハーンの演奏する第2番のソナタ(ティボーに献呈)

これも古いものですが、ハーンの演奏する第3番のソナタ「バラード」(エネスクに献呈)

これは、第5番から、第二楽章の演奏(クリックボームに献呈)

 

 【録音について】

素晴らしい録音なので、いう事はありません。

 

 【まとめ】

ヒラリー・ハーンとイザイのソナタに圧倒された感じですね。素晴らしいパフォーマンスです。ところでヒラリー・ハーンと言えば、音楽の録音に参加してくれたアニメの「蒼のオーケストラ」見られてますか?

 

購入:2023/08/27、鑑賞:2023/09/08

【CDについて】
作曲:モーツァルト
曲名:カンタータ「悔悟するダヴィデ」K469 (46:49)

   アヴェ・ヴェルム・コルプス K618 (3:43)

演奏:クイケン指揮 ラ・プティット・バンド、オランダ室内合唱団

   ラーキ(s)、ファリエン(s)、ブロホヴィッツ(t)

録音:1985年4月19-21日、ハールレム Doopsgezinde Gemeente
CD:GD77045(レーベル:Deutsche Harmonia Mundi、発売:BMG)

 

【曲について】

1771年に設立されたウィーン音楽芸術家協会(のちのウィーン楽友協会)のために、ウィーンでの地位を固めるべく入会を目論んだモーツァルトは、1785年、協会の演奏会のために新作オラトリオを作曲しようとしました。しかし多忙なために余裕はなく、未完の「ハ短調ミサ」K427を改作して仕立て上げられたのが、この「悔悟するダヴィデ」ということになります。新たなアリアを加えて、ハ短調ミサのスコアにそのまま書き込んで仕立て上げたとのことです。

 

【演奏について】

 クイケンといえば、古楽器演奏の老舗ですが、その方面にあまり興味がなかった私としては、今回初めての鑑賞です。昔は、古楽器はバロック+αの範囲内で演奏されていたので、バロックが守備範囲外の私としては、聴かずにすんでいました(笑)。これは1985年録音なので、比較的クラシックをよく聴いていた頃の録音なのですが…。

 

「悔悟するダヴィデ」は、ハ短調ミサの「キリエ」と「グロリア」の部分の歌詞の変更に、新たに作曲された2曲のアリアを挿入した形となっています。従って冒頭は、あのキリエ・エレイゾンと歌われる音楽ですが、違う歌詞で歌われます。そうなると、演奏者は当然思い入れも違ってくるはずだから、同じ音楽にはならないだろうね…などと、たわいもない事を考えながら聴いていました。新しく挿入されたアリアの2曲は、オペラのようでもあり、カンタータとしての見せ場となるものと感じました。

 

このCDの音楽は、演奏にしろ音にしろ、大変柔らかなものに感じます。古楽器の暖かい音色も勿論ですが、残響の多い録音も影響していると思います。合唱も大変穏やかに澄んだものでした。曲としては、全体的にハ短調ミサそのままの、馴染みのあるメロディが続きますので、入っていきやすいですし、それらの部分は宗教曲の深みのある印象で、またアリアは華やかな雰囲気を持っています。そういった意味でも、聴いていてなんだか楽しくもありました。

 

【録音について】

残響の多い、響きに包まれるような録音を楽しめます。

 

【まとめ】

この曲の成立事情と、ハ短調ミサの成立事情を組み合わせて考えても、モーツァルトの活動を追うという意味で、なかなか興味深い作品でした。追加されたアリアはもちろん立派なものだと思いました。モーツァルトの初めて聴く曲を体験できて満足です。

 

購入:2023/08/09、鑑賞:2023/08/23

ブラームスの交響曲 ③
第3回は、交響曲第3番。何か名盤をということで考えましたが、私の全集以外で持っているこの曲はごく少なく、この曲の名盤というのも思い当たらず、カラヤンにしました汗うさぎ。カラヤンは何度かこの曲を録音していますが、これは60年代初頭にDECCAに録音した、一連のウィーンpoとのもの。カラヤンのレパートリーでも中核の充実した録音が揃っている中での1枚です。

【CDについて】
①作曲:ベートーヴェン

 曲名:交響曲第7番イ長調 op92 (34:48)

②作曲:ブラームス

 曲名:交響曲第3番ヘ長調 op90 (32:57)

演奏:カラヤン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1959年3月9-10日①、1961年9月29日-10月8日② ウィーン、ゾフィエンザール
CD:UCCD-9501(レーベル:DECCA、販売:ユニバーサル・ミュージック)

 

【曲について】

初演者のハンス・リヒターが、ブラームスの「英雄」と評したこの曲は、4曲の交響曲の中では、最も演奏時間が短い曲です。英雄と思って聴くと、ん?という感じになります。ブラームスは温泉地ヴィースバーデンでこの曲を作曲。当時あった歌手への恋愛感情もこの曲に影響を及ぼしたともいわれているようです。初演は成功を収めましたが、当時はブラームス派対ワーグナー派の対立が激しく、辛辣な批評も飛び交ったとのことでした。

 

【演奏について】

この曲の往年の名盤というのが思い当たらず、カラヤンの演奏を聴くことにしたのですが、カラヤンのブラームスはまずまず安定感があると思っています。インターナショナルな活躍をしたとは言え、やはり独墺系の曲がカラヤンのレパートリーのメインになっていたと思うのです。そんなCDですが、ベートーヴェンの第7番とのカプリング。むしろベートーヴェンが主なのかもしれません。強弱のメリハリのある演奏であり、いつものカラヤンの感じの安定した演奏だと感じますが、第四楽章の歯切れのいいリズム感は、その中でも素晴らしいと思いました。

 

さて、本題のブラームスです。こちらはベートーヴェンよりも、ちょっと思い切った演奏に感じます。第一楽章はなかなか恰幅が大きく見せてダイナミックに表現されています。強弱のニュアンスも強めで、躍動的に感じました。第二楽章はオーケストラの美しさを発揮して、じっくりと進み、そして有名な第三楽章。カラヤンの演奏ですから、見せ場は最大限に美しくです。有名なメロディを中心に思い切り聞かせていきます。見せ場でない部分はサラッとというのがいつものカラヤンではありますが、それがメリハリでもあるのでしょう。

 

第四楽章は、第一楽章同様、恰幅のいい演奏を見せています。推進力もあって、美しく盛り上がって、静かな結末を迎えます。やはりカラヤンの演奏はカラヤンなのですが、安定の聴かせる演奏です。カラヤンは、なんでもレパートリーにしてしまっているイメージですが、表現は時と共に変化はあるにしても、やはり中心に据えていたのはこのあたりだと思います。

 

【録音について】

DECCAのこの一連の録音は、かなりレベルが高いと思います。このCDは、その中ではまずまずというところではないかな?

 

【まとめ】

カラヤンのブラームスということで、最初期のEMIのモノラルから、60年代のDECCA、その後のDGへと何度も演奏してきているブラームスですが、演奏的にはこの一連のDECCAのものがやはり好きかなと思います。バランスよくいい面が出ている感じがします。

 

購入:不明、鑑賞:2023/09/07(再聴)

買ったCDはちゃんと聴こうシリーズ ⑥

【CDについて】

作曲:メンデルスゾーン

曲名:交響曲第1番ハ短調 op11,MWV N 13 (32:19)

   弦楽八重奏曲 op20より スケルツォ (3:56)

   交響曲第5番ニ長調/ニ短調「宗教改革」 op107,MWV N 15 (30:55)

演奏:アバド指揮 ロンドン交響楽団

録音:1984年2月(op107)、1984年10月(op11,スケルツォ)

   ロンドン Smith Square, St, John's

CD:445 596-2 (レーベル:DG)

 

【曲に関して】

メンデルスゾーンは、第1番から第5番までの5曲の交響曲を遺したことになっていますが、実際は第1番の前に12曲の弦楽のための交響曲があり、また、未完成のものもありと事情は複雑です。おまけに第2番は作品目録では声楽曲に分類されていたりします。そんな第1番と第5番。実は順番で言うと初期の二作品なのですね。作曲順は、1-5-4-2-3となっています。これほど散らかった並びはどうよ…と思わせますえー

 

【演奏についての感想】

このCD、実は他のCDと内容が一部かぶっていたので、ジャケットもオリジナルでないこともあり、長らくほっておいたのですが、まぁ、普段は聴かない曲だし、車の中に常備しておいて聴いてやろうと、コレクション棚から除外していたのでした。ところがですね…。時々車の中で聴いていると、妙に耳に残って記憶に刻まれてしまうではないですか!やたらネアカのメンデルスゾーンの愛嬌のあるメロディや、安っぽくも思える(ごめんなさい)メンデルスゾーンのニュアンスやアクセントが絡みついてしまうのですね。という訳で室内に復帰してしまいました。

 

第1番は、颯爽とした雰囲気で始まり、あちこちに微妙なアクセントで記憶に痕跡を残しながら、快調に進んでいく曲です。若きメンデルスゾーンの作品は、古典派の上に乗っかったロマン派の音楽という感じで、大変心地よいのでした。弦楽八重奏曲からのスケルツォは、第1番のロンドン公演の際に、第三楽章のメヌエットの代替として、作曲者自身により編曲されたもの。これがまた、大変耳に残って仕方が無くて、先日弦楽八重奏曲の全曲を聴いたという訳です。

 

第5番は一歩進んで、管弦楽の交響曲としては第二作となります。立派な序奏がついて立派な第一楽章と、力強い第四楽章。そして間に挟まれた第二楽章のスケルツォが素敵です。メンデルスゾーンはなかなかのメロディメーカーなのでした。アバド=ロンドン響の演奏は溌剌としてこの曲の明るさや楽しさを存分に演奏しきっていると思います。明るく楽しいメンデルスゾーン。最近ハマってます爆  笑

 

【録音について】

残響も豊かで、オーケストラの音が軟らかく表現されたいい録音と思います。

 

【まとめ】

ちょっと見放していたCDが、実はとてもいい曲で、いろいろメンデルスゾーンを聴く羽目になったという現象。きっかけは判らないものです。初期のメンデルスゾーンの溌剌とした明るい音楽や、外連味の無い表現がとても楽しいのでした。

 

購入:不明、鑑賞:2023/08/22

ショスタコーヴィチの時代 ⑦

今回は、交響曲第2番、第10番の組み合わせのCDです。この第2番の演奏は、長らくの間ソ連では演奏されなかったこの曲の復活蘇演の時のライヴ録音になります。ある意味歴史的な録音です。

【CDについて】

作曲:ショスタコーヴィチ

曲名:①交響曲第2番ロ長調「十月革命に」 op14 (16:07)

   ②交響曲第10番ホ短調 op93 (52:02)

演奏:①ブラジュコフ指揮 レニングラード・フィルハーモニー交響楽団/合唱団

   ②テミルカーノフ指揮 レニングラード・フィルハーモニー交響楽団

録音:①1965年11月1日、レニングラード Philharmonic Hall

   ②1973年1月26日、モスクワ Moscow Conservatory Large Hall

CD:RD CD 11 195(レーベル:Russian Disc)

 

【曲と演奏について】

ショスタコーヴィチは、ショパンコンクールでオポーリンに優勝を譲ったあと、作曲家指向に転じていきます。その頃、1927年に国立出版局からの委嘱により、十月革命10周年を讃える曲として、交響曲第2番を作曲しました。この曲は単一楽章からなり、前半は抑圧された民衆の苦しみ、後半は十月革命を讃える讃歌という構成になっています。

この時代は、ソ連ではまだロシア・アバンギャルドの時代であり、この曲もショスタコーヴィチ的な旋律を中心にしながらも、大きくアバンギャルドの影響を受けた音楽になっています。1930年前後から「社会主義リアリズム」の政策が芸術全体を覆う事となりますので、ショスタコーヴィチの真正なアヴァンギャルドが聴かれるのは、この後5年間程度の貴重な時期に書かれた曲という事になります。

アヴァンギャルドな雰囲気は前半に顕著で、冒頭は抑圧された民衆を表現する混沌とした部分、そして曲が活気を帯びてくると、有名なウルトラ対位法と言われる27声のフーガが現れ、最高潮に達しながら行進曲風に展開していきます。その後、間奏曲風の憂いを湛えた部分から、突如工場のサイレンを現わす音楽が現れ、後半の革命讃歌へと入って行きます。

合唱部分は伴奏の音楽は、引き続きアヴァンギャルドな雰囲気もありますが、合唱自体は穏当なもので、最後は革命を讃え、レーニンを讃えるシュプレヒコールで終わるというものです。ショスタコーヴィチ自身は、この歌詞にはうんざりしていたと伝えられています。

 

というような曲なので、普通に音楽を鑑賞するという観点からはいかがなものかという感じもするのですが、この前半のアヴァンギャルドなショスタコーヴィチの音楽が素晴らしく一聴の価値ありというものです。どうせロシア語の歌詞とか判らないので…(笑)。

しかしながらこの曲、社会主義リアリズムの中では封印され、西側では曲の趣旨故に演奏機会は少なく、ソ連国内ではこのCDによる復活蘇演の1965年まで演奏されることはありませんでした。

 

この蘇演を行ったブラジュコフについても書き留めておかねばなりません。キエフ出身のウクライナ人であるブラジュコフはキエフで音楽を学びウクライナの指揮者となりましたが、ムラヴィンスキーに師事し、この時期はレニングラードフィルの指揮者を務めていました。

ブラジュコフは、忘れられた曲や現代音楽の初演者として精力的に活動し、数々の蘇演をこなしていったと言われています。ところが、この時代においても当局から好ましからざる曲(シルヴェストロフなどの現代音楽)を演奏したということで、レニングラードを追われウクライナでキエフ室内管弦楽団、ウクライナ国立交響楽団などを率いて活躍していました。しかし、2002年にウクライナからも追われることとなってしまい、ポツダムに移住しました。2004年と2005年には東北大学交響楽団の指揮の為来日したとのことです。

 

この曲にまつわる、と言ったらいいのか、数奇な運命のお話でした。

 

さて、もう一曲。交響曲第10番が入っています。曲については、最近記事を上げたので、そちらをご参照いただくとして、この演奏は若き30代のテミルカーノフの演奏です。テミルカーノフは生で聴いたことのある、数少ないロシアの指揮者の一人です。マーラーでしたが…(笑)。

 

さて、テミルカーノフの第10番のライヴ。当時のレニングラードフィルの素晴らしいアンサンブルを味わえます。そのアンサンブルに裏付けられた第一楽章。弦が美しくかつ憂鬱で、テミルカーノフは見事にニュアンスをつけながら、滔々と流れるように進めていきます。ちょっと金管が突出しているのが玉に瑕ですが、これはお約束。第二楽章はあまり醜悪にならず、歯切れよく演奏されます。第三楽章は、レミドシ(DSCH)の連発ですが、これがまた、じっくりと強調されて、執拗に繰り返されるのが聴きどころ。この曲の一つのツボを感じさせます。第四楽章も今度は素晴らしくご機嫌なリズム感。派手になることなく、また標題的な捉え方でもなく、音楽を聴かせてくれました。これは、1970年代の名演と言っていいと思います。

 

【録音】

第10番の方は、当時のソ連のライヴにしては、細部まで聞こえるいい録音と思いますが、ちょっとこもり気味な所があるかなと思いました。でも、今までムラヴィンスキーで聴くとあまり印象になかったレニングラードフィルの弦の音がそこそこ美しく感じたのは収穫です。ただし、ちょっと咳が多い…。

第2番は、モノラルかな?

 

【まとめ】

2曲分なので、長くなりました。お疲れさまでした。30年ぶりに聴くCDかも、と思ったり、このあたり、ショスタコーヴィチの一つの核心部なので、ついつい…。

 

購入:1993/10/23、鑑賞:2023/09/01(再聴)

【CDについて】

作曲:ストラヴィンスキー

曲名:①ペトルーシュカ(1911版) (33:55)

   ②春の祭典 (31:12)

演奏:ブーレーズ指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック①、クリーヴランド管弦楽団②

録音:1971年5月11日 ニューヨーク Philharmonic Hall①

   1969年7月28日 クリーヴランド Severance Hall②

CD:MK 42395(レーベル:CBS、販売:CBS Records)

 

【曲に関して】

「春の祭典」は、ディアギレフ率いるロシア・バレエ団のために作曲され、ニジンスキーの振付により、1913年5月29日にシャンゼリゼ劇場で初演されました。楽曲の指揮にあたったのは、ピエール・モントゥーでした。前衛的な性格を持つこのバレエは、センセーションを巻き起こしたことは、20世紀の音楽スキャンダルとして、あまりにも有名です。斬新な作品は、その後20世紀の管弦楽を代表する作品として評価が定着したのでした。

 

【演奏についての感想】

ブーレーズの「春の祭典」と言えば、この演奏を無くしてこの曲は語れないというくらいの名盤なのですが、1963年のフランス国立管弦楽団盤を良しとする者、そしてこのクリーヴランド管弦楽団を良しとする者と別れているようです(91年の新録もありますが…)。私はと言えば、ブーレーズの春の祭典を聴くのは初めてなのでした…。一度は聴いておかないとね…ということで入手したこのCD。ただ、この曲は、新録音が出るたびにもてはやされる傾向があるので、もはやブーレーズとて忘れ去られるかもしれません。それだけ、演奏家が力を入れて取り組み曲でもあるようです。

 

春の祭典に入る前にまずはペトルーシュカから。これはいいですね。ソロの楽器がとてもクリアで描かれて、緻密な見通しのいい音楽が展開していきます。個々のフレーズがとても美しい演奏でした。一つ一つのメロディが美しい曲なので、こういった積み上げがとてもよくあっていると思います。緻密な室内楽てきな雰囲気があるのですが、だいたいその演奏もそういった感じが出ますので、そういう性格の曲なのでしょう。このスタイルはとても合っているいると思いました。

 

さて、本題の春の祭典です。アプローチはペトルーシュカと同じだと思います。細部まできれいに磨き上げられていきます。それはとても美しくクリアなものとなって聞こえ、強奏の部分もよくコントロールされています。ただ、私はこの曲をLP時代かCD初期によく聴いていて、愛聴盤はバーンスタイン旧盤や、フェドセーエフやドラティなど、情緒たっぷりでもあり、音の迫力のある演奏でした。そういうイメージを持っていると、この演奏ちょっと軽く感じ、推進力がもう少しと感じるのも気になったところ。表現のあり方は様々でもありますので、自分の聴いてきた雰囲気とはちょっと違ったかなという気もしますが、大変素晴らしい演奏ではあります。

 

【録音について】

どちらかと言えば、ペトルーシュカの方が緻密でクリアな音かなという気がしましたが、この時代の名録音だと思います。

 

【まとめ】

やっと、ブーレーズの春の祭典を聴くことができて満足しました。美しい演奏だと思います。春の祭典は時代時代に話題の録音があり、話題の有名曲として何となく買ったものの、聴いていないCDも2~3枚あります。ブーレーズの63年盤も興味があるのですが、まずは手持ちのものを聴くのが先かな…。

 

購入:2023/07/18、鑑賞:2023/09/08

ブルックナーを聴こう第2部

 ~巨匠たちのブルックナー②~

第2回:ギュンター・ヴァント

ヴァントは、特に晩年になって大きく評価が高まった指揮者だと思います。それもブルックナー演奏の録音が世界を席巻したという感じでした。これは、晩年に残された、ベルリンフィルとの一連の録音の一つです。

【CDについて】
作曲:ブルックナー

曲名:交響曲第4番変ホ長調 ハース版 (68:11)

演奏:ヴァント指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1998年1月30,31日,2月1日、ベルリン フィルハーモニー(ライヴ)
CD:BVCC-34002(レーベル:RCA、販売:BMGジャパン)

 

【曲について】

交響曲第4番は、ブルックナーの交響曲には珍しく、標題性が議論されるようです。ロマンティックという副題は情緒的なものですが、標題性は曲の内容自体にあります。第一楽章は、ある中世の町の様子で、夜明けから始まる一日。第三楽章は狩りの描写と狩人の前での舞曲。第四楽章は民衆の歌、あるいは一日の終わりの驟雨などなど…。それらを紐解いて聴いてみるのも一興ですね。

 

【演奏について】

ヴァントは、70年代にケルン放送交響楽団と、ブルックナーの交響曲全集を録音し、高い評価を得ていました。そして、北ドイツ放送響に転じて以降は、レパートリーをかなり絞り込み、巨匠への道を登り詰めていきますが、そのレパートリーの中核であったのがブルックナーであり、ヴァントの演奏の中でも特別な位置を占めていました。ヴァントは、宗教的なものと結び付けられて認識されることも多いブルックナーの作品を、宗教とは切り離した形で解釈を行い、純粋に交響曲という位置づけの上での演奏を行ったと言われています。

 

ヴァントは、多くのブルックナーの録音を残していますが、来日公演も含め北ドイツ放送響との演奏が主になると思います。その中にあった、ベルリンフィルに客演したいくつかの録音は、また一つの特別な輝きをもって存在しています。この第4番の演奏も、当時は名演として受け入れられたものだと思います。美しくゆったりと始まっていく第一楽章は、さながら大河のイメージで、非常にしなやかに音楽が流れていきます。溜めて爆発させるような尖った効果は一切狙わず、自然な流れの起伏の中で、確実に美しく盛り上げていくスタイルです。

 

第二楽章も大変美しい音楽で、静かなニュアンスをつけながら進行していきます。そして、終楽章も、無理に誇張することなく、自然な流れで演奏されていくところは、ドイツの中に根付いている伝統的なブルックナーの演奏を極限まで磨き上げたものという事ではないでしょうか。そういったスタイルの演奏は、現代のニュアンスを大きくつけるスタイルが溢れている中では、ややもすると平凡に聴こえ、推進力を失う形になってしまいがちですが、ヴァントの演奏はそういった事は遥かに超越し、ドイツにおけるブルックナーの究極の姿を表現しているのだと思います。

 

【録音について】

豊かな残響と、べルリンフィルの落ち着いた音が聴かれる素晴らしいライヴ録音でした。

 

【まとめ】

と、感想を書いたところで、私はこういったいわゆるドイツ的な?ブルックナーはもしかして苦手なのかな…、思い当たります。前回10曲の演奏を選んだ時も、こういった純粋ドイツ的演奏もいくつか聴いたのですが、選んだのはケンペのみ。他は現段階では感想を書くまでに至りませんでした。さすがにケンペやヴァントになると熱量も質も違いますので、大いに楽しんでいるのですが…。

 

購入:2013/02/04、鑑賞:2023/09/1(再聴)

最近リリースされた新譜から ④

CDの発注時期が前後しましたが、同時に発注したCDがタワレコのお取り寄せ対象で、ずっと待っていたという事情でした。このCDは、レオンコロ四重奏団のデビューCDとのこと。最近活動開始した四重奏団で、各地で好評を博しているようです。ボルドー国際弦楽四重奏コンクール2022で優勝し、2024年4月に来日ツアーも行われるようです。

【CDについて】

①作曲:ラヴェル

 曲名:弦楽四重奏曲ヘ長調 (30:24)

②作曲:シューマン
 曲名:弦楽四重奏曲第3番イ長調 op41-3 (29:30)

演奏:レオンコロ四重奏団

録音:2022年12月14-17日 ベルリン Teldex Studio
CD:MIR674 (レーベル:MIRARE)

 

【曲に関して】

ラヴェルの弦楽四重奏曲は、ラヴェルが27歳の時の作品。ドビュッシーからも絶賛された、20世紀を代表する弦楽四重奏曲の一つです。印象派的雰囲気に満ちた曲になっています。シューマンは、この弦楽四重奏曲を作曲した1842年の室内楽の年。3曲の弦楽四重奏曲op41の他に、ピアノ五重奏曲やピアノ四重奏曲が作曲され、現在ではピアノ入りの作品の方が有名では?と思いますが、弦楽四重奏曲もベートーヴェンからブラームスへのこのジャンルの流れの中で、重要な位置を占める曲になっています。

 

【演奏についての感想】

この二つの曲に関しては、何度も聴いた、というような経験はないので、とりあえず今回聴いた感じ、ということだけにならざるを得ないのですが、まずラヴェルです。ラヴェルのこの演奏を聴いて感じたことは、細部まで丁寧にしっかり演奏された中に、印象派的な雰囲気がたいへんよく醸し出されていること。細かくいろいろとぎゅっと詰まったように感じもしつつ、音楽が力強く湧き出してくるといった感じでしょうか。

 

シューマンに至っては、聴くのも初めてで、なんとも言えないのですが、ラヴェルと同様の感じがしつつ、ロマン派のメロディをこってりと歌う感じにはならず、どちらかと言えば端正に演奏している感じがしました。内なる情熱を込めて、演奏にあたり、第四楽章でしっかりと構築感を作り上げるといった感じだったかなと思います。CD収録とは別演奏で、以下にこの曲の演奏の模様をシンクしておきます。

 

レオンコロ四重奏団は、第一ヴァイオリンとチェロが兄弟で、日本にもルーツを持たれているようで、ヴィオラは日本人と、日本にも馴染みのある編成です。そんな息の合ったグループですで、コンクール優勝を契機に初CDリリースや、各国ツアーとこれからの活躍が期待できそうな四重奏団ですので、これから注目してみたいと思いました。CDは、日本国内では先行発売で、ヨーロッパでは9月発売らしいです。

 

レオンコロ弦楽四重奏団 ボルドー国際弦楽四重奏コンクール2022優勝記念ツアーのPV

 

ボルドー国際弦楽四重奏コンクールの入賞者コンサートにおけるシューマンの第3番

 

 【まとめ】

今回は、新しい才能のデヴューCDを聴くことになりました。大いに活躍を期待したいと思います。二つの曲では、どちらかというとラヴェルかなぁと思いました。シューマンのこの曲は、表現がなかなか難しそうに感じましたが、かなり正攻法で受け止めた演奏だと感じますので、好感が持てると思いました。

 

購入:2023/08/27、鑑賞:2023/08/27