ブルックナー:交響曲第2番 若杉弘指揮 ザールブリュッケン (1992) | ~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

ブルックナーを聴こう③
ブルックナーを順番に。今日は、第2番です。いい曲ではあるのですが、ピンとくるCDがなかなかなくて、いろいろ試して右往左往した結果、ここに落ち着きました。微妙なこだわりで選んでいたりするので、考えすぎなのですね。

【CDについて】
作曲:ブルックナー
曲名:交響曲第2番ハ短調 (60:33)
演奏:若杉弘指揮 ザールブリュッケン放送交響楽団
録音:1992年4月23-27日
   ザールブリュッケン Kongreshalle
CD:BVCC-6051(レーベル:ARTE NOVA、発売BMGジャパン)

 

【曲について】

交響曲第2番は初期の交響曲としてまとめ称される作品の中では最後のものになると思います。どこまでが初期なのか?というのはありますが…。ブルックナーのスタイルは、この曲ですでに完成しているようです。冒頭は雲の中から始まるのような、弦のトレモロで始まり(ブルックナー開始)、特有の休止もあちこちでみられます(ブルックナー休止)。構成的にも、これから作曲されるスタイルと同じ形ですね。

 

【演奏について】

若杉弘とザールブリュッケン放送交響楽団の演奏は、先だってベートーヴェンの英雄のCDを聴いたばかりなのですが、今回聴いた感じも、前回と全く同じ印象を受けました。柔らかく包み込むような音で、ゆったりした感じで、起伏も穏やかで、強奏部分も尖った感じがありません。これは美点であり、逆に言えば少々物足りなさを感じるところかもしれませんが、これがこの組み合わせの特徴なのかな?と思いました。

 

ただ、そんな演奏がちょっと特異なものにも感じるので、このスタイルが若杉=ザールブリュッケンの演奏の本質なのか、あるいは録音によるものか、あるいはホールによるものかと考えてしまいます。そこでたまたま手元にあった、スクロバチェフスキがザールブリュッケン放送交響楽団を指揮した、同じくARTENOVA盤の第2番を取り出して、少し触りを聴いてみました。確かに同じ音の傾向もありましたが、もっと尖った感じがしています。オーケストラとホールの特質もありつつも、これがやはり若杉弘さんのスタイルということなんでしょうか。

 

若杉弘さんは、ドイツの歌劇場で研鑽を積んだ職人気質の指揮者だと思っていますが、これはそこから生まれた、飾らないスタイルなのでしょうか?とても柔らかい肌触りです。もっぱら話題になりがちな、キレのいいアクセントのついたスタイルスタイルとは対極をいっているような気がします。こういう演奏は、えてして目立たず、話題にのぼらないものだという気がしますが、匠の技として、感じでおきたい演奏だと思いました。

 

【録音について】

音のレベルが低めで柔らかい音色が聴かれますが、少々輪郭がぼやけ気味かもしれません。

 

【まとめ】

若杉弘さんは、NHK響で全曲録音していましたので、そちらの方も、どんな演奏なのか興味があります。ライヴでは都響でのベートーヴェンを、一度聴いたことがあると思います。このCDも全盛時代の録音だと思うのですが、しみじみ味わえる録音だと思いました。

 

購入:不明、鑑賞:2023/07/03