【CDについて】
作曲:ドビュッシー
曲名:海 (23:45)
牧神の午後への前奏曲 (7:19)
夜想曲 (24:43)
演奏:ブーレーズ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
ジョン・オールディス合唱団(夜想曲)
録音:1966年12月19-21日 ロンドン Barking Town Hall
1968年12月 ロンドン EMI Abbey Road Studios(夜想曲)
CD:30DC 750(レーベル:CBS SONY、販売:CBS SONY)
【曲に関して】
「海」はドビュッシーのみならず、この時期の印象派の音楽を代表する管弦楽曲の一つとなっています。書かれた時期は、ドビュッシーにとっても激動の時期であり、ペレアスの成功で名声が大きく高まり注目を浴びている中で、自身のスキャンダルで世間からはバッシングも受けるというタイミングであったようです。最終的にこの曲は成功をおさめ、名作の地位を確立します。初版の表紙には、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」の一部が描かれていました。
【演奏についての感想】
このCDは、「往年の名盤」なのです。長い間この曲の代表的な演奏のひとつであったのですが、ブーレーズ自身による新録音が出たので、今や新録音の方が名盤になっています。したがって、往年の…という訳です。それはさておき、ドビュッシーの海は、聞き流していても、もやもやしていてなんとなく捉えづらい感じがしつつ、しっかりイメージが植え付けられていくという意味で、まさに印象派を代表する作品だと思います。印象派といえば、小学校の時に松方コレクションの展覧会を見て、モネをはじめとする印象派の絵に感動して、美術と言えば印象派が大好きになったという経緯もあり、この雰囲気は好きです。
初めてこの曲を聴いたのは高校の時で、それもこのブーレーズ盤でした。その時は綺麗な雰囲気のいい曲だとは思いましたが、結局この曲はいつも雰囲気で聴いてしまうのか、あまり細かい所を追って聴いたことがありません。それ以降もいろいろ他の指揮者の演奏を聴いても、同じような聴き方をしているので、実は差をあまり認識しておりません。自分的には、この曲はこのブーレーズ盤の印象がしみついていると思っているので、何を聴いても、ここに戻ってくるという感じになっていると思いました。
改めて聴くブーレーズの演奏。全体的にはこの曲の性格上、普通に聴いていればイメージが結ばれて、その中に入っていくのですが、細かく集中して聴けば、ディティールも鋭くかつ綿密に表現されていて、その上強弱やニュアンスも強め、音も厚くダイナミックに動いています。聴けば聞くほど味があるという演奏だと思います。美しいだけではなく、表現がはっきりしているのではないでしょうか。これは「海」以外の他の二曲も全く同様だと思います。
【録音について】
1966年の録音。細部までクリアな美しい音で再現されています。
【まとめ】
このCDは、録音の長い歴史の中でも、一世を風靡したもののひとつですね。こういうCDは、自分の標準にもなりますし、時折振り返ると新たな気づきもあるかもしれないので、大切にしたいと思います。
購入:不明、鑑賞:2023/08/17(再聴)