私の耳は底ぢから -7ページ目

大場つぐみ・小畑健 『バクマン。』

週刊少年ジャンプ2008年37・38合併号より新連載

1ページ「夢と現実」


・中学3年生がコンビで漫画家を目指す話らしい。あとヒロインは声優を目指しているらしい。


・「デスノート」はサスペンスものなので、それほど長くは連載できなかった。しかし、このテーマならいくらでも面白いエピソードが挟めて長期連載できそうなので、今後の展開が楽しみ。


・デスノートネタ、ジョジョネタなどが登場したので、実在の漫画ネタや暴露話をもっとやってくれたら面白いと思う。


・大場つぐみ=ガモウひろしの噂が正しければ、「おじさん」のモデルはガモウなのだろうか。作中作の「超ヒーロー伝説」の絵柄が「とっても!! ラッキーマン」と酷似しているし、「ラッキーマン」以降「少年探偵ダン」が当たらなくて消えたという経歴も「おじさん」と似ている。「現在の中学生が小学生の時にラッキーマンを古本屋で買った」というのは、いかにもありそうなことだ。だとしたら、かなり自虐的なネタだと思う。


・登場人物三人のルックスがアニメ「海がきこえる」の三人と似ている。これから三角関係とかになるのか。


・「漫画家になって大儲けする」という会話は現実離れしていて痛々しいが、主人公たちがまだ中学生であるということを考えると、さわやかな感じすらする。これからいろんな大人にあって現実を思い知らされるという展開になるのだろうか。編集志望、営業志望、広告志望、アニメ監督志望、音楽志望など全国の中学校からぶっちぎりのすごいやつが現れて梁山泊みたいになる、というのも面白いと思う。「サルまん」、「まんが道」などの過去作品とどう差別化を図っていくか楽しみ。


以上。

久米田康治『さよなら絶望先生 第十三集』所感

さよなら絶望先生 第13集 (13) (少年マガジンコミックス)/久米田 康治

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 十三集の特徴として挙げられるのは、アニメなどの他メディアの情報、読者のお便りを積極的に作品内に取り入れる傾向が強くなってきたことだと思う。巻末のお便りのページにそうした要素を入れるのではなく、本編に取り入れているのがポイント。たとえば、加筆のページで可符香が合格祈願の報告をするくだりである。今まではキャスバル氏に触れるぐらいだったのが、どんどん拡大しているという印象はある。原作、アニメ、読者の幅を狭めて複合的なエンターテイメントにしようという狙いだろうか。作者の独りよがりになってはいないだろうか。
 また、巻末のおまけページでは、絶望先生らがメディアミックスに夢を膨らませている。しかし読者のほうでは、すでに放送されてどのような内容でどのようなコンセプトなのかを知ってしまっているので、絶望先生がどれだけメディアミックスを訴えても自由なイメージに結びつかない。ここはもう少し工夫してほしかった。



背景ネタ、感想など。


・今回の2ページの加筆部分を見て、「モンモンモン」のサラリーマンを思い出した。


・私事ではあるが、バイト先の書店で「絶望先生」がずっと平済みであったものが先日、棚挿しになってしまってさびしい。


以上。

小林多喜二『蟹工船』

 『蟹工船』が静かなブームらしい。新聞ではワーキングプアの若者がどうたらと書いてあって、確かにそういう人たちにうけている面もあるのだろうが、もっと明白な理由があるように思う。それは、新潮文庫の装丁が格好いいからだ。


蟹工船・党生活者 (新潮文庫)/小林 多喜二
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 黒とスカーレットの刺激的な配色、ルパン三世カリオストロの城のオープニングみたいなシンプルな影絵、中央に槌と鎌のマーク。表紙を眺めているだけでご利益がありそうである。以前の表紙は、冬のオホーツク海に小舟が一艘漕ぎ出してる、みたいな地味なイラストで読む気がしなかった。

 解説を書いているのが蔵原惟人で、主にプロレタリア運動の面から小林を論じているのだか、『蟹工船』には他のプロレタリア作家の作品にはないユーモアやとっぴな比喩があって、そのために今日まで読み継がれているのではないかと思う。

 確か「蟹工船」が共産党入党前、「党生活者」が入党後の作品だったと思うが、前者のほうが文学作品として優れていると思う。

今週のさよなら絶望先生 第百三十八話「曰く、過程の幸福は諸悪の本」

週刊少年マガジン2008年24号

第百三十八話「曰く、過程の幸福は諸悪の本」


 「絶望先生」は作者の思惑や読者の反応まで織り込んでフィクションにしてあり、批判に対する言い訳が常に用意されているところが読んでいてむかつく。今週も、コマ割のトリックをうまく使ってうまくオチにつなげたと思うが、いまいち心に響かない。「成長を描いた人間ドラマである」とか地の文で書かれても困る。
 しかし、キャラクターの笑顔や背景の緻密な書き込みがフィクションであるはずはなく、これを堪能するだけでも「絶望先生」を読む価値はあると思う。何度も言うようだが、私はこの作品を社会風刺の皮をかぶった萌え漫画だと思って読んでいるから、これぐらいのゆるさでよいのである。なぜなら、ギャグがあまりに過激になると、変顔になったり、ヒロインの座を奪われたりした羽美のように、女生徒たちのかわいさが侵食される恐れがあるからである。千里も時折変顔になったり、猟奇的な行為に走ったりするが、かわいさを侵食されるところまでは行っていないと思う。
 それならなぜこんな批判的な文章を書いているのか、という人がいるかもしれない。よい部分だけ抜き出して書くのもストレスがたまるので、批判も含めた感想を平易に書いているのである。しかし、それも不毛な行為の気がする。今後はブログを書く手間を、アンケートやお便りを書く方に注力したほうがいいかもしれない。

 今週のテーマは「過程訪問」。勝てばよかろうなのだあと叫んでいたカーズ様やDIO様やディアボロはジョジョにボコボコにされるというお話でした。


背景ネタ、感想など。



・冒頭の千里ちゃん家までの道のりはよく描けている。



・「日本人」というフレーズが気にかかる。時間があったら作中で「日本人」という単語の出てくる頻度を調べてみたい。


・あのバスケ漫画は愛和学院にうそのようにぼろ負けするからこそ美しい終わり方なのである。過程の面白さの例としては少し違うような気がする。


・「百見さま」でも「読者」でもなく「あなた方」という表現を使ったのが気にかかる。以前、村上春樹訳『ザ・キャッチャー・イン・ザ・ライ』の書評で、マーク・ピーターセンが「省略すべき you を訳しすぎている」と指摘したことを思い出した。


・8ページ3コマ目の奈美ちゃんの「ちゅるむ」の口の形がかわいい。


今週のマガジン感想



・「情報ピモ王」……今週のハリソン・フォードのインタビューは必見。かっこいい。



・「009」……004が亡命に失敗する場面は私も好きです。


・「OverDrive」……最終回。しかし本編よりも、対談で「OverDrive」を熱く語る小栗旬さんに興味を持った。本当にドラマ化が企画されているにしても、単なる社交辞令でほめているようには見えない。このような熱心な読者を持ったこの作品は幸福だと思う。


・これで、05年に始まった新連載は「絶望先生」を除いてすべて移籍か終了したことになる。週刊ペースでこれだけ長く続けている久米田先生はすごい。


以上。


今週のさよなら絶望先生 第百三十七話「おもひこみでぼろぼろ」

週刊少年マガジン2008年23号

第百三十七話「おもひこみでぼろぼろ」


『かってに改蔵』全26巻は、私にとって『罪と罰』や『戦争と平和』を読むより感動した漫画でした。あれほど、「人生をいかに生きるべきか」とか「若者と社会のかかわり」という難しいテーマを真摯に描いた作品はありません。作者がなんと言おうが、私にとってはギャグ漫画の金字塔であり、21世紀のドン・キホーテであり、ジョジョを超える人間賛歌であり、未来への遺産であり、不朽の名作です。

 それほどソウルフルな前作に比べると、『絶望先生』はいくぶんテクニックで描いているように見えて、そこが残念ですが、でも好きです。


背景ネタ、感想など。


・6ページ8コマ目のめるめるの笑顔がかわいい。


・惚れ惚れのまといがかわいい。


・10ページ4コマ目の可符香の太陽のような笑顔がかわいい。


今週のマガジン感想


・「零」……学習漫画。


・「MMR」……またやって欲しい。スエザキさんがかわいかった。



以上。

河合克敏『とめはねっ! -鈴里高校書道部- 3』

とめはねっ! 3 (3) (ヤングサンデーコミックス)/河合 克敏
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 二巻は、作者の高校生に対する認識に違和感があって、あまりよろしくなかった(いまどきの女子高生でもピンクレディーぐらい知ってるだろ)。

 しかし三巻では、鵠沼学園との合同合宿において、三浦先生から直接薫陶を授かるというイベントが出てくるため、物語に動きが出てきた。「部活動で書道をするとはどういうことか」という問いを軸に、「書道」「部活」「青春」というテーマが自然に溶け合っていると思う。

 縁の「望月さんに思いを伝えたい」という動機付けがより克明になり、ラブ米にエンジンがかかってきたのも良い。シンプルながら、恋愛相関図がまとまってきた。

 書道とラブ米の並存のさせ方が大変にうまい。単行本が面白かったので久しぶりに本誌も買ったが、やはり面白かった。休載は多いが、これからも気長に待つ。


以上。

新宿ロフトプラスワン 「百見さまのための『【俗・】さよなら絶望先生』」 感想

・開場20分前ぐらいに現場に着いたが、その時点ですでに整理券の番号が100近くになっていた。中に入ると、立ち見の人こそいないが、かなりのすし詰め状態だった。


・小黒さんは名前からして目黒祐樹のような風貌を想像していたが、実際はいかにも業界人という印象で、ウガンダ・トラに似ていた。龍輪さんは相当背が高くて格好よかった。


・自分の送った質問が採用されたのでうれしかった。


・最初は逐一座談会の内容をメモしていたのだが、途中から集中力が途切れてメモをとるのを忘れた。どちらにしても後で読み返して参考になるようなメモでもないのだが。


・やはりまだ3期の予定はないらしい。しかし私は、前に書いたような理由で、当分は再アニメ化されなくてもいいと考えているので、あまりショックではなかった。


以上。

アニメ『俗・さよなら絶望先生』第十三話

・tvkにて鑑賞。


最終回なのに普通の展開。


OP……「空想ルンバ」


・オールカラーにぐっときた。


Aパート……「鎌倉妙本寺解雇」


・千里ちゃんはもちろん、防寒服を着た奈美ちゃんがかわいかった。


Bパート……「大道寺信輔の音声」


・この漫画で初めて初音ミクというものを知った。しばらくして一般のメディアでも取り上げられるようになった。


Cパート……「あにいもうと、という前提で。」


・最後の全員そろって「絶望した」は圧巻。


ED……「オマモリ」


・インパクトはある。


内容の総括


 1期2期通して、原作の雰囲気を尊重しているのは好感が持てた。しかし、ヒット&アウェイというか、犯り逃げというか、原作の「ギャグがくすぐりの段階でとまってしまっている」感まで再現してしまっているように思えたので、そこは残念だった。

 雑誌の紹介記事などでは、アングラな雰囲気が原作ともども評価されていた。大槻ケンヂやローリーの歌曲はこの雰囲気を強化するのには大変よかったと思うが、既存のファンに向けた最大公約数的な出来のような気がした。もっと新規のファンを獲得したり、新しいイメージを付与して欲しかった。何度も引き合いに出して悪いが、マサルさんと比較するならば、このアニメ版の主題歌はペニシリンの「ロマンス」である。初めて聞いたときはあまりにもマサルさんのイメージとかけ離れていて衝撃を受けたが、それだけに大変なインパクトがあった。

 それから、新房監督はインタビューで「原作で扱われた題材は出来るだけ(伏字になってでも)取り上げる」という趣旨のことをおっしゃっていたが、役者さんに「まるぽっど」(台本には「○pod」などと書いてあったのだろう)などと発音させるのは視聴していて少し不快だった。個人的にはその手の商品名には架空の名詞を当てて欲しかった。

 アニメ化を機に「絶望先生」の他メディアでの露出も増えたし、アニメ化はおおむね成功だったと思う。しかし、これが本当にベストな形でのアニメ化だったのだろうか。なんだか原作によりすぎな気がした。地方局の深夜放送という時点で、サザエさんのような人気を得ることは難しいだろうが、作り方にっては、このアニメ化によって「絶望先生」の新しい魅力を発掘することも可能だったのではないか。無印のころより、より実験的な面が強調されているのはよかった。個人的には俗4話の「本筋」、俗5話の「ニカッ」、俗7話の「みんなの歌」のような実験、演出をもっとやって欲しかった。繰り返しになるが、それらの多くがくすぐり、ジャブの段階でとまってしまい、あまり後に残らなかったのだ。おそらく、そうした演出は新房監督の意図的なものだろうから、そういうものだと納得するしかないが。


今後の展開について


 今後も今年の夏ぐらいまではCD・DVD・OVAなどの発売が予定されているが、主なコンテンツは出尽くしたと見ていいだろう。ネット上では早くも第3期の可能性について侃々諤々の議論が交わされているが、それは早晩わかることだ。

 しかし、個人的には、たとえ第3期が今年の夏に放映されたとしても、去年の無印1話を観た時のような感動はもう味わえないだろうと思う。次回も1クール放映するとすれば全部で38話ぐらいになり、それは私が保育園のころ夢中で見た「21エモン」「ナディア」(当時は意味がよくわからなかったが)の話数にほぼ匹敵する。「無印」や「俗」と同じような演出がなされる限り、どれだけ話数を重ねても、私が前述の作品を超える感動を受けることはないだろう。だから、今のところは次回作はやって欲しくない。ものすごい勝手な論理で申し訳ない。

 講談社はお金持ちだから、その気になれば「絶望先生」を大いに宣伝することは可能だろう。しかし、それでは根本的な解決になっていない。今の段階で、たとえ宮藤官九郎が脚本を書き、三谷幸喜が演出し、中島哲也が監督した「絶望先生」の舞台劇や映画が作られたとしても、それぞれ宮藤官九郎や三谷幸喜や中島哲也の作品がひとつ増えるだけである。それでもいいという人がいるかもしれないが、私はそれでは不満である。「絶望先生」を実写化するのなら、これらの売れっ子作家に拮抗出来るように、原作の力を強めなければならない。

 原作の力を強めるとはどういうことか。それは原作の内容をより充実させ、新たな読者を獲得し、作品内容にさまざまな解釈を生ませるということである。そうした中で再度アニメ化されれば、新鮮な気持ちで鑑賞することが出来ると思う。原作の力を強めるために、読者である私が出来そうなことは何か。アンケートやお便りを出すことは大いに役に立つと思うから、それらのことを地道にやっていきたい。


 これで、アニメ「絶望先生」本編に関する感想を終える。素人の長々とした作文を最後まで見てくださった方は、ありがとうございました。


以上。

これまでのさよなら絶望先生まとめ(2)

こんにちは。

更新が思うように進まないので、たまってる話をまとめてレビューしてしまいます。

週刊少年マガジン2008年18号

第百三十四話「春の郵便配達は二度ベルを鳴らす」


・春のお便りネタ。


・「今期引退か」の清原選手が、コロコロ漫画のかっとばせキヨハラ君のデザイン。


・石破ちゃん。

・奈美のパフォーマンスがなまめかしい。


週刊少年マガジン2008年20号

第百三十五話「チャパーエフと消去」


・過去作の焼き直し感強し。


・2ページ目の着席した奈美ちゃんの立ち絵の股間は見所。


・12ページ目のすっぽんぽんの千里ちゃんも見所。



週刊少年マガジン2007年21・22号

第百三十六話「デモの意図」


・可符香のムームーみたいなファッションと、奈美ちゃんのワンピースが気になった。




マガジン感想


「金田一」……講談社は天元さんと小角部長がヒロインのギャルゲーを作ってくださいお願いします。


「零」……

板倉さん……江口洋介

末崎……石橋蓮司

零……ジャニーズのアイドル

で映画化頼む。

「ウミショー」……「そろそろ終わるかな」と予想を立ててから1年以上たってしまった。最後のページがさわやか。お疲れ様。


「スクラン」……これも終わりそうでなかなか終わらない。「アキレスと亀」の話を思い出す。


「MMR」……懐かしかった。スエザキさんがかわいい。果たしてキバヤシやナワヤの再登場はあるのか。余談が、ドラマ版の宇宙人にさらわれた絶好調の踝はどうなったんだ。

以上。



アニメ『俗・さよなら絶望先生』第十二話

・tvkにて鑑賞。


原作どおり。



Aパート……「着陸の栄え」


・スーツを着た霧ちゃんにぐっと来た。


Bパート……「或る女 役」


・前田君は出すぎ。


Cパート……「海を渡ってくるポロロッカ」


・ポロロッカといえば海藤対天沼。


以上。